1-4 油断の代償一ーその一撃は突然に。取り戻した"本当のハルカ”
闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇
へと
一体どうなるのか!?
——どれくらい、時間が経ったのか。
「……っ」
最初に目を覚ましたのは、カイトだった。
「ここは……どこだ……?」
体を起こすと、視界いっぱいに広がるのは青い海と白い砂浜。
波の音だけが、やけに静かに響いている。
「なんで俺……こんな場所に……」
記憶をたどる。
Dr.ジグゾー。
地下研究所。
カプセル。
「……っ、そうだ!」
「カイト!」
振り返ると、サクラがいた。
「無事だったか……!」
「うん……でも」
サクラは不安そうに周囲を見る。
「なんか……ここ、変じゃない?」
「変?」
「うまく言えないけど……前にも来たことあるような……」
「……いや、俺は覚えてない」
そう言いながらも、どこか“違和感”が残る。
夢と現実の境目みたいな、妙な感覚。
「それより」
カイトが顔を上げる。
「ハルカは?」
「……いない」
空気が一気に重くなる。
「マジかよ……」
周囲には二人以外、誰もいない。
足跡すらない。
「チップ……埋め込まれたのかな……」
「……わからない。でも」
体を確認する。
異常は、ない。
それが逆に、不気味だった。
「これ……」
サクラが足元の紙を拾う。
開く。
そこには——
『よく来たな。
女を助けたければ、島の中心にある山の洞窟へ来い。
そこで決着をつけよう。
P.S カイト——今度こそ、お前を殺す』
「……ジグゾー」
カイトの目が鋭くなる。
「完全に誘ってるね」
「罠だな」
「でも」
サクラが言う。
「行くしかない」
「……ああ」
即答だった。
森を抜け、山道を進む。
空気が変わる。
重い。
息苦しい。
「この辺……魔力、濃くない?」
「感じる」
嫌な予感が強まる。
奥へと入った
洞窟の奥は、ひどく静かだった。
風もないのに、空気だけが重い。
「……どこかにいる」
サクラが、かすれる声で言った。
肌が粟立つ。
確かに、そこに“誰か”がいる。
しかも——とても強い魔力。
でも。
その気配は、どこか懐かしかった。
「……ハルカ?」
カイトが、そっと呼ぶ。
返事はない。
ただ、沈黙だけが返ってくる。
一歩、足を踏み出す。
その瞬間だった。
ぞくり、と背筋をなぞるような冷たい感覚。
「……来たか」
低い声が、暗闇の奥から響く。
聞き慣れた声。
なのに、まるで別人のように冷たい。
影の中から、ゆっくりと姿を現す。
「……ハルカ……?」
サクラの声が震える。
そこにいたのは、間違いなくハルカだった。
けれど。
その瞳には、何も宿っていなかった。
感情がない。
温度がない。
ただ、こちらを“対象”として見ているだけの目。
「排除対象、確認」
機械のような声。
それが、胸に突き刺さる。
「……おい」
カイトの声が、かすれる。
「冗談……だよな……?」
返事はない。
「ハルカ!一体ジグソーに何されたって言うの?」
ハルカはゆっくりと手を上げる。
魔力が、静かに集まっていく。
「危ない!!」
サクラが叫ぶ。
「葉っぱ…ダークネスカッター」
淡々とした詠唱。
感情の欠片もない。
次の瞬間。
黒い刃が、一直線に飛ぶ。
「っ……!」
カイトが剣で受ける。
衝撃が腕を震わせる。
「……強い……!」
息が詰まる。
明らかに、以前よりも強い。
「ハルカ!!やめろ!!」
叫ぶ。
必死に。
それでも。
何も返ってこない。
「次の対象——排除」
再び、魔力が膨れ上がる。
「……ふざけんなよ」
カイトの声が低くなる。
怒りとも、悲しみともつかない声。
「俺たちだぞ……!」
サクラが、震える手で杖を握る。
「ハルカ……お願い……」
声が、崩れる。
「戻ってきて……」
ただ、祈ることしかできない
その声はまったくハルカに届いてないみたいだ。
ハルカが、歩いてくる。
ゆっくりと。
確実に。
「……やめろ」
カイトが前に出る。
「それ以上来るな」
それでも。
止まらない。
カイトが踏み込む。
剣を振る。
——当てないように。
「止まれよ……!」
ガンッ!!
衝撃。
ハルカの一撃が、カイトを吹き飛ばす。
「カイト!!」
地面に叩きつけられる。
息がうまくできない。
「……なんでだよ……」
立ち上がる。
ふらつきながら。
「なんで……お前が……!」
ハルカは、無表情のまま。
何も感じていないように。
再び魔力を集める。
その姿が、あまりにも痛々しくて見ていられない
「……違うだろ」
カイトが、ぽつりと呟く。
一歩。
また一歩。
ハルカへ近づいていく。
「そんな顔で戦うやつじゃねえだろ?
お前は誰かを助けるために、救うために戦ってるんじゃなかったのかよ!!!」
「やめて!!カイト!!いかないで」
サクラが叫ぶ。
「いいんだ」
カイトは止まらない。
ハルカが剣を振り上げる。
「来いよ」
カイトは、構えない。
「それでも、お前なら——」
剣が振り下ろされる。
ギリッ、と。
その刃が、止まる。
カイトのすぐ目の前で。
「……っ」
ハルカの腕が、震えている。
「ほらな」
カイトが、苦しく笑う。
「まだ……いるじゃねえか」
「ハルカ!!」
サクラが泣きながら叫ぶ。
「私たちだよ!!」
「思い出して!!」
ハルカの瞳が、揺れる。
ほんのわずかに。
「……ノイズ……エラーエラー」
かすれた声。
「排除……不能……」
「そうだよ」
カイトが優しく言う。
「お前は、そんなことできねえ」
「仲間だろ」
沈黙。
やがて。
ハルカの剣が、ゆっくりと下がる。
「……カイト……」
「……サクラ……」
その声を聞いた瞬間。
胸の奥が、ほどける。
「ハルカ!!」
サクラが駆け寄る。
——その瞬間。
「……遅い」
背後から、声。
Dr.ジグゾーだ
「え——」
グサッ。
鈍い音。
時間が、止まる。
「……え?」
カイトの胸から、刃が突き出ていた。
「カイト……?」
ハルカの声が、震える。
血が、溢れる。
ゆっくりと。
確実に。
「……っ」
カイトの体が崩れる。
「いや……」
「いやだ……!!」
ハルカが駆け寄る。
手が震える。
「水の天使!!」
魔法をかける。
光が包む。
でも。
止まらない。
「なんで……!!」
「止まってよ……!!」
血が、止まらない。
命が、零れていく。
「……ハルカ」
かすれた声。
「しゃべらないで!!」
「……ようやく戻ってきたな」
「……よかった」
涙が、ぽろぽろと落ちる。
「……ハルカのこと守れなかった」
「違う!!」
「私が……私が……!」
言葉にならない。
カイトが、少しだけ笑う。
「……泣くなよ」
その一言で。
堰が切れたように涙が溢れる。
「……頼む」
「……生きろ。またそのありったけな優しい笑顔を見せてくれ」
「死ぬんじゃないよ」
「うん、わかったよ、、もう私絶対に…」
その言葉を最後に。
カイトの手が、静かに落ちた。
「カイト……?」
動かない。
「……カイト?」
「……やだ……」
「いやああああああああああ!!」
洞窟に、叫びが響く。
(もう、戻れない)
「いい光景だ」
声。
振り向く。
——本物のジグゾー。
影から現れる。
「最初からこうすればよかったんだ
女よ、ありがとう。」
狂った笑み。
「許さない」
ハルカの魔力が暴れる。
「絶対に……!」
二人で魔力を合わせる。
限界を超えて。
「精霊よ——」
「おいおい待てよ、まだ話は終わってない」
「そんなの知らない!!」
「ダークネストルネード!!」
闇の嵐。
「なっ……!?」
防げない。
ジグソーを貫通した
「ば……かな……」
光の散りとなって消滅していった
静寂。
「……カイト」
もう、動かないカイトの手を握る。
そして祈った。
二人は墓を作る。
土をかける。
静かに。
「……絶対に」
ハルカが呟く。
「生き返らせる」
「復活の門だよね……」
神様から教えてもらったのだがこの世界には神様と直接通じれる場所があるんだとか
サクラがうなずく。
「探そう」
——ここからが、復活の門を探す本当の物語。始まりだ。
コロコと研究者
「ジグゾー、死亡したのか」
「ふん、予想通りだ」
女が笑う。
「だが——確認できた」
「リゲートは“危険”だ」
「排除対象に指定する」
第2話へ続く




