0-3話 神様…?魔法の使い方聞いてないんだけど!?
ついに異世界へ!
目を開けた瞬間——
「……草?」
視界いっぱいに広がる緑。
私はその場でくるっと一回転した。
「すごーい!見渡す限り緑なんだけど!」
「田舎どころじゃないね、これ……」
「東京じゃ絶対見れない景色だな」
三人もきょろきょろしてる。
いやほんと、建物ゼロ。道路ゼロ。文明どこいったってぐらい何もない。のは当たり前か〜
「……これ、本当に何もないところに飛ばされたってことだよね?」
「だと思う」
「ていうかさ」
朱音ちゃんが手をぽんっと叩く。
「魔法使えるって言ってたけど、使い方聞いてなくない?」
「……あ」
「……あ」
「神様ァ!?」
いやいやいや、一番大事なとこ!
「どうすんのこれ……」
「とりあえず街行けば誰か教えてくれるんじゃない?」
「ナイス!」
「じゃあ行こっか!」
——というわけで。
私たちは“どこにあるかもわからない街”を目指して歩き始めた。
「ねえこれいつ着くの???」
「まだじゃない?」
「もう1時間くらい歩いてる気がするんだけど!?」
「方向あってるかもわかんないしな……」
そのとき。
「あれ、見て」
桜ちゃんが指をさす。
その先にいたのは——
「……犬?」
いや、違う。
頭に角。やたら鋭い爪。
そして——
「こっち見てるよね?」
「見てるね」
「……走ってきてない?」
「走ってきてるね!!」
「ええええええ!?!?」
完全にロックオンされてる!!
「ちょっと待って!?私たち魔法使えないんだけど!?武器もないよ!?」
「逃げる!?」
「無理!あの速さ追いつかれる!」
「じゃあどうすんの!?」
「もうやるしかないでしょ!!」
朱音ちゃんが叫ぶ。
「アニメみたいに技名叫べばなんとかなるやつ!!」
「それ賭けすぎない!?」
「でも他に方法ない!」
「……やる!」
私はモンスターに向かって手をかざした。
(お願い……出て……!)
「葉っぱカッター!!」
私はそれっぽい魔法を唱えた
——シーン。
「……出ないんだけど!?」
「だろうね!!」
「うわもう目の前!!」
モンスターとの距離はゼロだ
「……あ、終わった」
私の異世界人生——
短かったなぁ……。
——気づいたら。
「……またここ?」
あの白い空間。
「「「……」」」
全員何も喋らず神様の方を見た
そして。
「なぜじゃああああああああああ!!?」
神様、ブチギレた。
「なんで戻ってきておるのじゃ!?こんなこと初めてなんじゃが!?!?」
「いやそれはですね」
私はスッと手を上げた。
「理由、言っていいですか?」
「ぜひ頼む!!」
「魔法の使い方、教えてないからです」
「……あ」
「完全にそれです」
「……あああああああ!!忘れておったあああ!!」
神様、頭抱える。
「いやいやいや一番大事なとこ!!」
「すまん!!ほんっとうにすまん!!」
神様からの全力謝罪がきた。
そのあと。
私たちはみっちり魔法講座を受けた。
・魔力を意識する
・体の中の流れをイメージする
・手に集めて放出する
・詠唱は補助(短縮も可)
「なるほどね……」
「使えるようになったよ!」
「今度はいけそう」
「ありがと、神様!」
「本当にすまなかったのう……」
めっちゃ落ち込んでる。
「大丈夫だよ、1回死んだだけだし!」
「軽く言うのう!?」
「では、今度は死ぬ直前に戻すぞ」
「お願いしまーす」
「もう死ぬのではないぞ?」
「努力します」
「よし!」
パチン、と指が鳴る。
——次の瞬間。
「あ、いた」
さっきのモンスター。
完全に同じ状況。
「リベンジ戦だね」
「春香、いける?」
「……うん」
今度はちゃんとやる。
教えてもらった通りに。
魔力を意識して、手に集める。
(流れてる……これが魔力……!)
「私に力を貸して——」
手を突き出す。
「葉っぱカッター!!」
——シュンッ!
緑の刃が一直線に飛ぶ。
ズバッ!!
「……え」
モンスター、一撃で真っ二つ。
「倒した……?」
「倒したね」
「春香つよ」
「やば……」
自分でもびっくりしてる。
「え、なにこれめっちゃ強くない?」
「神様の補正じゃない?」
「チートじゃん」
「やったー!」
(春香たちはうかれているがモンスターが弱いだけなのである)
「……で、これどうする?」
魁斗くんがモンスターを指さす。
「あー、解体とか?」
「解体?」
「ほら、アニメでよくあるやつ!素材とか魔石とか!」
「あー、なんか見たことある」
「でもこの世界でも同じかわからないよな」
そのとき。
「あ、見て」
遠くに人影。
「ほんとだ!」
「チャンスじゃん!」
私は大きく手を振った。
「おーい!そこの人ー!」
近づいてきたのは、数人のパーティ。
いかにも“冒険者”って感じ。
「どうしたの?」
一人の女性が話しかけてきた。
「えっと、私、星乃春香っていいます!ちょっと困ってて……」
(……あれ?)
今さら気づく。
(これ、日本語通じてる……?)
「私はシェノハ。ブラックスターっていうパーティーよ」
「通じてる!?」
「え?」
「あ、いえなんでもないです!」
セーフ。
「名前、ちょっと珍しいわね。どこから来たの?」
「えっと……遠いところから」
異世界です、とは言えない。
「ふーん。短くしたほうがいいかもね。変な名前ってだけで警戒されるし」
「なるほど……」
じゃあ“春香”でいいかな。
「で、何に困ってるの?」
「このモンスター倒したんですけど、解体の仕方と、街の場所を知りたくて」
「ああ、それね。教えてあげるわ」
「ほんとですか!?」
「ちょうどさっき逃がしたやつっぽいし」
「え?」
「え?」
「それ、私たちが追ってたモンスターなのよ」
「……あ」
気まずい。
「ごめんなさい」
「いや、むしろ助かったわ」
後ろの男性が苦笑する。
「取り逃がしてたからな」
「ほんと、危なかったんだから」
(いや一回死んでるんだけどね!?)
「それで、教えてほしいことだっけ?」
「はい!」
こうして私たちは——
近くで活動していたパーティ《ブラックスター》に、いろいろ教えてもらうことになった。




