表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/87

第70話 森からの帰り道。なぜに、貴方が隣にいるか?

また長めです。

「おい」

 なぜか森での帰り道で、ユーリ殿下がクローディアの隣を歩いている。

 そしてなぜ話しかけてくる。

 もう目的の花の妖精を視たんだから、さっさと生徒会室へもしくは自分の教室へと消えて欲しい。

 そう思っても話しかけて来たなら、返事をしない訳にはいかない。

 相手は王子様である。

 機嫌を損ねれば、廃部どころか、お家までぺしゃんこにされかねない。

「なんでございましょう?」

「なぜ、あれに俺を紹介しなかった?」

「あれと申しますと?」

「花の妖精だ」

「申し訳ございません。殿下がお話をされたいとは思いませんでしたから」

 話したいなら最初からはっきりそう言ってくれないとね。人間言葉にするの大事だよ。

「次の機会にはあやつらと話せるように交渉しろ」

 何? 君も妖精の虜になったのかい? いや、そういう顔ではないな。

 これは要注意だ。

 妖精や精霊を、王家に都合よく、利用をされたらたまらない。

「申し訳ございません。お約束はできかねます」

「貴様! ユーリ殿下の申し出をつっぱねるつもりか! これだけ殿下に手間をかけさせておきながら!」

 後ろを歩いていたヴァレンチノが吠える。

「黙れ」

 それを片手をあげて制す王子。

 前を歩いて動物の奇襲を警戒していたエルネストもちらりとこちらを見る。

「なぜだ」

「妖精や精霊は優しいですが、反面恐ろしくもございます。見た目とは全く違う激しさもみられたりします。その為、彼らとの会話は慎重に進めないといけません。まずは彼らに敬意を持って接する事が重要です。彼らには人間の身分は通用しません。わたくしはユーリ殿下の事をよく存じ上げません。そのような人物を彼らに紹介もできません。もし万が一ですが殿下が彼らの機嫌を損ねるようなことが起ったら、わたくしの前に彼らは姿を見せてくれなくなってしまうかもしれませんから」

 花の妖精をあれ呼ばわりする輩に紹介はしないよ!

「ほう? それは俺の事をもっと知りたいということか?」

「違います!」

 違う違う! とんでもない。

 クローディアはぶんぶんと首がもぎれるかと思うほどに首を振る。

「無礼だぞ!」

 後ろからまたヴァレンチノが吠える。

 もう。近づくと怒られ、遠ざけるとまた怒られる。どうすればいいのよ。

 思わず憮然としてしまう。

「くっ! あははは! お前は本当におもしろいな!」

 なに? 王子よ! 今のどこに笑うところがあった? そして前から思ってたけど、いくら男爵家の娘と言えど、お前はないでしょう。ひどい。

 なんだか、王子の私に対する対応が雑になっている気がする。

 こき使われる予感がひしひしとする。

 やめて。放っておいてほしい。

 王子は笑いを収めると、頷いた。

「わかった。お前の力は借りず、自分で話しかけてみよう」

 またお前って。もうそれに力を借りないと言いつつ、まだモノクルつけてよね。

 それ、私とエルネスト様の共有財産だから。力借りてるよ。言えないけどね。

 まあいい。私も大人だ。そこは追及しないにする。

 王子が妖精や精霊に興味を持ってもらったのはプラスだし、部の発足意義を一つ達成したという事だしね。

 そして私は優しいから一つ忠告する。

「殿下、恐れながら、妖精精霊は大変気まぐれです」

 神様たちもね。

「その為、彼らの特徴を本などで勉強してからの方がよろしいかと存じます」

 彼らが視えない殿下には実践で学ぶ事ができないからね。

 実践で失敗すると心が痛いから。まずは本などで学ぶといいよ。

「俺に指図するとは、偉くなったものだな、男爵家の娘よ」

「申し訳ございません! 出過ぎました!」

 王子に向き直り、クローディアは頭を思い切り下げた。

 ひーーー!! 調子に乗った訳じゃないよ!

 だから廃部もお家ぺちゃんこもやめてーーー!!

「ただ、わたくしは殿下が妖精や精霊にひどい事をされないといいと思いまして!!」

「お前はひどい目にあった事があるのか?」

「はい!! 小さい頃妖精の機嫌を損ねて、家への帰り道、スカートの後ろのすそをずっと妖精に持ち上げられて恥ずかしい思いをしました! はう!」

 クローディアは慌てて自分の口をふさぐ。

 なぜだ。なぜ私は、よりにもよって、なんでこのエピソードを選んだ!

 顔がみるみる熱くなる!

 くそおおお!

「ぷは! ははははは!! なるほどな! 俺も気を付けよう!」

 ユーリ殿下、そんなに思いっきり笑わなくても。

 しかし笑われる事で、何とか廃部やお家ぺしゃんこは免れそうである。

 まだ笑っているよ。ほら、もう笑うのやめてよ。

 エルネストやシュタイニー、サーラ、カレン、ヴァレンチノさえも驚いているからさ。

 私も恥ずかしいし。

 くっ。王子だから、文句も言えない。

 そうしているうちに森の入り口が見えて来た。

 どうやら、動物たちの襲撃もなかったようだ。

 まあ、これだけの人間が入れば襲ってこないか。

 よかった。

 森を出ると、クローディアは頭を下げた。

「殿下、今日は早朝よりお付き合いいただき、ありがとうございました」

 付き合ってくれなくてもよかったんだけどね、建前でもお礼はいわないとね。

「ああ、朝から有意義な一日だった。また誘ってくれ」

 王子はモノクルをクローディアに渡すと、ヴァレンチノを連れて、校舎に入った。

 ちょっと! 私、誘ってないよね! 殿下!

ここまでお読みいただき、ありがとうございますvv

少しでもおもしろいなって思っていただけましたら、評価、ブクマをよろしくお願い致します(*^^*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ