6/8
当日
「ハーミ様、森精域からの侵攻の活発化、どう思われます?」
憔悴をにじませる防人の女性は、指揮権を持つハーミに訊ねる。
「現段階では、何とも判断がつきませんね。森の連中の気まぐれかもしれませんが……ただ、雷精域の攻撃と解放派の手引きと思われる火精域方面からの侵入事例を考えますと……」
初老の男性が、傷痕だらけの顔を歪めて、言い出しにくそうに切り出す。
「時が……来たのではありませんか? 隣接する地域も焦りが見え始めていますし……」
「……ッ」
女性は絶句した。ミィが静かに頷く。
「ダツラさん……そうですね。水精に対する意識の統制と、使役のノウハウは既に整っています。森精域の防衛に向かっていた者達も日暮れまでには戻る頃でしょう。やるならば今が好機かもしれません。解放派に気取られる前に、さっそく準備を始めましょう」
「…………ごめんなさい……すみません、こんな月並みな言葉しか出て来なくって……」
暗い顔でうつむく彼女達に向けて、青年はふにゃりと微笑みかける。
「謝らないで下さい。いいんです。俺は、この日のために生き続けて来たんですから」
父さん、やっと……ハーミは声には出さず宙を仰いだ。




