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26年前

 水精域(リグ・ヴァルナ)の住民は、遥か海を越えて来たのだという。


 遠い海の向こうの大地で、行き場をなくした人々の辿り着いた先は、身動きをとることも難しい沼地であったのだと。


 それでも人々は、力を合わせて土壌を整え、持ち込んだ穀物を育てた。


 やがて水精の寄辺であると気が付けば、まじない(アタルヴァ・リグ)の鍛練に励んだ。


 けれども、より良い土地に暮らす先住民に比べたら、水精域(リグ・ヴァルナ)の住民の力は見劣りする。アドバンテージは覆せない。


 雷精域(リグ・インドラ)の連中はずるい、必死に耕した田圃(たんぼ)の収穫を奪う。


 森精域(リグ・アラニアーニー)の連中はずるい、やっと増えた住民を贄として拐(さら)う。


 それに……火精域(リグ・アグニ)にある貴金属の鉱脈が、水精域(リグ・ヴァルナ)にはない。その貧しさが、近隣の付け入る隙となる。悪循環だ。


 変わるんだ。


 まるで世界中に居場所がないような、現状から変わるんだ。

 俺たちを苦しめた分だけ、今度はお前らが苦しめばいい。


 水精(ヴァルナ)よ、万物に公平な性質は、俺たちを悪だと罰するだろう。


 だが俺たちの正義を通させてもらう。

 例え同胞を手にかけようと、同胞の手にかかろうとも。


 俺たちの代で果たせなければ、次の世代、それでも駄目ならまた次の世代。


 虐げられた末裔は、水精の性質を変容させ、いつか必ずやその全てを使役するだろう。

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