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異世界の透明人間~魔道具を駆使する暗殺者~  作者: 城戸一
七章 ストーク・シュテット
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64 不穏な気配

 【クロ視点】


 スラム街を歩く。


 先程ストーク君と話してからどうにも落ち着かなかった。


 昔の仲間がスラムに戻ってきている。


 そう思うと寝床でじっと待っていることなど出来なかった。


 どうしてもすぐに昔の仲間に会いたい。


 じっとしていられず寝床を出ようとするとフォールゥが斜め後ろに位置取った。


 「お供します」


 そう言い出したフォールゥを振り切り一人でスラムの路地裏を歩く。



 (なんで昔の仲間と会うのにフォールゥ同伴じゃなきゃいけないんだ、恥ずかしい)



 ストーク君が行きそうな所は何箇所か心当たりがある。


 食事をするなら屋台街。


 魔道具を探すなら商業地区。


 物を売るならウルスの所。




 何処を探しても良かったが今居る場所から一番近い場所はウルスの店だった。


 ウルスの店には最近足を運んでいない、最後に会ったのはダンジョンで機械兵に遭う前だろうか。


 みんなを探すついでに久しぶりにウルスの顔でも拝んでもいいかもしれない、それにウルスもストーク君と面識があるから何か情報がある可能性があった。



 ウルスの店へ続く坂道を登っていく。


 しばらく歩くと古くさび付いたウルスの店の屋根が見えてきた。


 その建物の店先で椅子に座りながらボーっとしている人物が一人居る。


 ひじ掛けに肘をつき掌の上に顎を乗せて口を半開きにしていた。


 「ウルス、久しぶり」


 「んん?クロか、久しぶりだな」


 ウルスはこちらに気がつくと肘掛から腕を下ろす。


 「クロ、お前黒角族に追われて逃げていたのではなかったのか?」


 「黒角族とのことは何とかなったよ、もう逃げなくても大丈夫」


 「何とかなるのものなのか?黒角族は随分お前の事を探していたからな、もうここには戻ってこないと思っていたぞ」


 もう追われることは無い、別の意味でフォールゥには追われているかもしれないが。



 「それよりウルス、ストーク君を見なかった?スラムに帰ってきてるみたいなんだ」


 「ストーク?あのスラムのガキ大将だったストークか?」


 「そうだよ、さっきストーク君と久しぶりに会ったんだ」



 そう言うとウルスの顔が曇った。


 なぜウルスがこんな顔をするのだろう。

 


 

 「ストークがお前の所に顔を出すなんて意外だな、何の用だったんだ?」


 「それが用事があるっていって直に帰ってしまったんだ、でもなんだか気になっちゃって」


 そう言うとウルスは何か考えるそぶりをした。


 だがすぐに溜息を吐き再びこちらに問いかける。 



 「お前、ストークの奴が今何をやっているのか知らないのか?」


 何をしているかはしらない、さっきはそんな事を聞く暇などなかったし。

 ウルスの問いには首を振って答える。


 「知らないのならいい、関係ない俺が何か言うのもおかしいからな」


 そう言うとウルスは店の奥へと戻ってしまった。


 


 ※




 その後、屋台街と商業地区を探した。

 しかしストーク君は見つからない。


 そもそもストーク君はスラムに居るのだろうか?


 街に宿を取っている可能性もある、そもそも都会で成功するためにスラムを出て行ったのだからここで活動しているのも不自然な気がする。



 先程みたストーク君の格好はお金に困っているようには見えなかった。


 スラムに来たのは僕に会いに来ただけなのかもしれない。



 だとしたらやはり街の方にいるのではないだろうか。



 街は広い、道にもあまり詳しくない。

 都会で成功したストーク君の行き先に心当たりなんて無い。



 これは大人しく寝床で待っているのが一番いいかもしれない。



 そんな事を思いながら寝床に戻ろうとしていたところ、一人の人物が朽ちたビルから出てきたのが見えた。



 あそこは反社会勢力がたむろするエリアだ。出入りしている人間など碌な人間ではない。


 そこから出てきた一人の人物は辺りを見回すと、さらにビル郡の奥へと向かっていった。


 この辺りは奥に行けば行くほど治安は悪くなる、本来ならば関わるべきではない。


 だがそこから出てきた一人の人物が探し人に似ているような気がしたのだ。


 気のせいかもしれない、一瞬そう思ったがあの後姿は僕の知っている探し人にとても似ていた。


 朽ちたビルから出てきた人物が向かった方向へ足を向ける。


 懐にしまっていた『霧の小型灯』を取り出した。


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