51 エリアとロザリオ
街の中心にある住宅街。
以前にも来たことのある一軒屋に足を運んだ。
門に設置されているノッカーを叩く。
「豊穣神様?」
中からでてきたのはエリアだ。
以前は白火病で苦しんでいたが、元気に過ごしているようだった。
「エリア、お願いしたいことがあるんだけど今いいかな」
「いいですよ、どうぞ上がってください豊穣神様」
門をくぐり家に上がる。
板張りの床は窓から入る日の光で軽い照り返していた。
こまめに掃除もしているようで日の光に晒されても埃一つ見えない。
「豊穣神様、仮面を変えたのですか?」
「うん、何時もはこの仮面を着けているんだ」
「前の仮面も良かったけど、今の仮面も味があっていいと思います」
さすがエリアだ、この仮面のよさを良く分かっている。
「エリア、ご家族は」
「遠出しているのでしばらく戻ってきません」
エリアの後を付いて二階まで上がる。
「豊穣神様、お願いしたいことって?」
「うん、この前くれた指輪の対を使わせて欲しいんだ」
「指輪ですか?ちょっと待っててください」
エリアは立ち上がり、机の引き出しから一つの指輪を取り出した。
この指輪は対になっており互いの位置を光で示す。
指輪を使っていなくなった黒角族の居場所を特定したかった。
互いが同時に触れていないと光を発さないが試してみる価値はあると思った。
「光りませんね」
「そうだね」
指輪が光りだすまでエリアと雑談をするとこにした。
ダンジョンを探索したこと。
機械兵を間近でみたこと
その中には喋る機械兵がいたこと。
話が面白くなるよう少し脚色して話した。
勿論体が透明なことは隠してだ。
エリアも身の上を少しだけ話してくれた。
両親との仲は一先ず落ち着いたようだった。
ロザリオに関してはなくした事にしたらしい。
「ロザリオは母が所持していた開かずの金庫から出てきました」
(ロザリオって最近盗まれたんじゃなかったっけ)
最近盗まれた物が開かずの金庫から出てくるのはおかしい。
色々考えたが今揃っている情報だけでは答えは出なかった。
お互い色々話して話題もなくなってきた頃、指輪が突如光を発した。
立ち上がり光が指す方向を確かめる。
指輪が示しているのは南西の方角だった。
窓から南西の方向を眺める。
南西の方角はスラムだ、光の直線状にはスラムにある朽ちた塔があった。
今は朽ちて骨組みだけになっている高い塔の跡地だ。
あの辺りは普段殆ど近づかない。
治安が段違いに悪いからだ。
道を歩けば直に人の死体が見つかる危険地帯。
進んで踏み込むような場所ではない。
エリアの家を出る、振り返ると窓からエリアがこちらを見ていたので手を振る。
そうしてその場を後にした。
次話は少し残酷な描写があります、苦手な方は一つ飛ばしてください。




