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異世界の透明人間~魔道具を駆使する暗殺者~  作者: 城戸一
四章 忘れられた機械兵
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41 歴史の資料

 ハーマンとニックの後を追う。

 二人は周囲を警戒しながらも慎重に足を進めている。

 ニックが先行し、安全を確認した後ハーマンが後に続く。

 道中壁に謎の像が何対か設置されており、ハーマンはその像をくまなく調べていた。


 「設置されている像はどれもアルデラの像ですね」


 ハーマンは階段の途中に設置されている像の前で立ち止まり腕を組んで考え事をしていた。

 

 しばらく動く気配もないし先を見てこようかな。


 ダンジョンの階段を進む、踏み外さないよう慎重に歩くと円形の開けた部屋に出た。

 円形の部屋の隅には入口と同じように壊れた機械兵が乱雑に積まれている。

 

 


 部屋の端には壁を削って作られた一体の像があり、部屋の中心を見下ろしているようだった。

 像の頭部はフードを被っていて良く見えない。像の右手には槍を、左手には腕輪を手にしている。

 


 先程途中にあった像よりこちらの像の女性は老けて見える。目元には皺が表現されていた、同じ人物に見えるがモデルにした年が違うのだろう。

 腕輪と槍は石材で出来ているようだ、この二つは壁を削って出来たものではなく、跡付けしているように見えた。


 像が手にしている腕輪に手を伸ばす、軽く触れただけのつもりだった、だが腕輪は鈍い音を立てて床に落ちてしまった。


 幸いにも床に落ちた腕輪は壊れたりはしていない。

 元に戻したほうがいいだろう。

 先ほどまで力説していたハーマンの台詞がよぎる、これは貴重な歴史の資料だと。

 石の腕輪を拾い上げる。


 ええっと、どの向きで付けられていたっけ、鳥の模様がある方が正面だったかな。


 落とした石作りの腕輪を像に付け直す。重かったがなんとか収まった。

 これでよし、元通りだ。


 満足して像を見上げていると僕が降りてきた階段から足音が聞こえた。

 ニックとハーマンが部屋に入ってきたようだ。


 「ここにもアルデラの像がありますね」


 ハーマンがニックを押しのけ部屋に入ろうとする。


 「旦那待ってくれ、機械兵がいないか確認する」


 ニックが円形の部屋を調べ始めた。

 しかしアルデラの像か、今僕が触っていた像のことだろう。


 アルデラ、かつて黒角族を統べていたという王の名前だ。

 黒角族は今は辺境で暮らしているがかつては世界を制覇し、世界中に拠点を持っていたらしい。

 このダンジョンはその時代の名残なのだろうか。


 ハーマンが像に近づいてアルデラの像を調べ始めた。

 


 「しかしこの像は変ですね、本来ならば左手に持っている腕輪は雲の模様が正面を向いているはずです、ですがこの像は鳥の模様が正面を向いています、何か意味があるのでしょうか」


 すまない、それは僕が入れ替えたんだ、逆だったか。



 「偶然では?付け間違えただけとか」


 部屋の探索を終えたニックが戻ってくる。


 「いえ、ここは祭壇に近い場所、アルデラを称える場所の近くです。そんな場所で古代人が着け間違いをするとは思えません」


 「古代人じゃなくてもここに進入した冒険者がやったとかありそうですよ」


 「この像の成り立ちを知ることで失われた歴史を知ることが出来るかもしれないのです、それをあろうことか外してしまって付け間違える、そのような行為歴史への冒涜です。そんな人間がいるとは思えません」


 おおう


 ボロクソに言われている、ショックだ。

 僕はあまり心が強くない、これ以上二人の会話を聞きたくない。

 声が聞こえない所まで離れよう。


 部屋の端、下へと続く階段の近くまで来る。

 すると下へ続く階段へ四足歩行の機械兵が歩いていくのが見えた。

 四足歩行の機械を目で追う。

 機械兵はゆっくりと階段を降っていった、そうして徐々に機械兵の姿は見えなくなった。



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