39 待ち続ける機械兵
三月中旬に投稿予定でしたが投稿を再開することにしました。更新は四章が終わるまで週に1回か2回ペースで投稿しようと思っています。
地下へと続く巨大な建造物、私はそこを守護する機械兵である。
我が主は気さくなお方で機械兵にもよく語りかけるお方だった。
「安心して留守を任せられるのはお前達のおかげだよ」
当然だ、私の使命は主と財を守ること。どんな侵入者が相手だろうが守ってみせる。
主はよくお出かけになる方だった。主の不在中この広大な敷地を守るのが私の仕事だ。
主からの命令は忠実にかつ確実にこなす、それが私の存在意義だ。
主には快適に過ごしていただきたい、清掃を行う機械兵は毎日かかさず起動させている。
早くお帰り下さい主、主の喜びだけが我らの存在意義なのですから。
だが、ある日を境に主は姿を見せなくなった。
なぜだ?私は言いつけを守り続けている。何か粗相をしてしまったのだろうか。
主は帰ってこない、一年もだ、今まで一月以上空けることは無かったのに。
私に出来る事はここを守ることだけだ。いつ主が戻ってもいいように施設を維持しなければ。
主のことだ、いつものようにふらっと帰ってくるだろう、その時いつも通り迎えるのが私の役目だ。
主が帰ってくるまでここを守り続けよう。
何年でも何十年でも。
*
主が帰ってこなくなってからどのくらいの時が経っただろうか。
一瞬意識を失っていたようだ、私はどれくらい機能を停止していた?
情報を手に入れようと外部機関に通信を行う。
しかし応答が無い、いままでこのような事はなかった。
何が起こったのだろう?
外に出るわけには行かない、私の役目はここを守ることだ、外に出ている間に侵入者に財を奪われたらどうする。
主が帰ってくる日を信じて私はこの施設を維持し続けるしかない。それが私の存在意義だ。
だが魔石の残りが気になった、このままではいつか全ての機械兵が起動できなくなってしまう。
私は苦渋の決断をする事にした。
毎日起動していた清掃の機械兵を止めることにした。
*
久しぶりに住居の扉が開いた、主が帰って来たのかと思った。
だが入ってきたのは主ではなかった。
武装した複数名の人間だった。
奴らは入ってくるなり施設に設置した財を引き剥がしていく。
客ではない、侵入者だ!
侵入者は排除しなければならない。
私は急いで自立歩行型の機械兵を複数体起動させる。
機械兵達よ、侵入者を排除せよ!
その日を境に機械兵を使って侵入者を排除する日々が続いた。
最初は大量の魔石を消費し侵入者を排除することは容易かった。
だが機械兵や施設の維持に使う魔石が徐々に尽きてくる。
そうなると侵入者に財を奪われる事も増えてきた。
失態だ、今日は複数の財を奪われてしまった。
主のお気に入りを何個か奪われてしまった。
不甲斐ない、こんな事では主から見捨てられてしまう。
それは嫌だ、それだけは嫌だった。なんとしてでも挽回しなければ。
だがそれからも侵入者は絶え間なく来る。
魔石の不足した我々では全ての侵入者に対応する事は不可能だった。
*
どれ位の年月が過ぎただろうか。
施設の財はもう殆ど残っていない。
だが主が一番大切にしていた財だけは必死に守り通している。
施設の奥深くの中心部、通路に差し掛かる場所に隠し扉がある、人が数人ほど入れるくらいの部屋、主がよく利用していた部屋だ。
施設に僅かに残された財は全てここに隠してある。
これだけは守り通さなければ。
主が残した財をながめる、随分と減ってしまった。
私が財をみながら感傷に浸っていると残り少ない魔石で動いていた偵察機から連絡があった。
侵入者が現れたか、財を奪いつくしてからというもの侵入者は殆どいなかったのだが、性懲りも無くまた現れたか。
侵入者を確認する。二人、いや巧妙に姿を隠しているが三人だ。
一人の侵入者の姿がはっきりと見えない、だが、その侵入者に何か懐かしいものを感じた。
なんだ?
派遣しようとしていた機械兵への命令を止める。
私は何か重大な間違いを犯そうとしていないか?
思考を続けるが答えが出ない。
偵察機からは侵入者の情報が絶え間なく伝えられてくる。
私はその情報を精査する為、偵察機との接続を切った。




