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ダンジョンゲート 2話

『ようこそダンジョンゲートの世界へ』


頭に直接響くような声がして視界が開ける。


「・・・ここは?」


無機質な部屋に事務机がポツンとあり、そこに1人の女性が座っていた。


「こちらはメイクルームとなっております。

これからキャラクターメイキングを行っていただくようになります。」


先ほどの声はこの女性のようだ。

黒いセミロングにやわらかな眼差し。受付嬢の制服を着て座っている姿はどこかのデパートに来た気分だ。


「貴方は?」


「私はこのゲーム全てを管理しているマキナと申します。

しばらくの間よろしくお願いします。


丁寧なお辞儀を受け、こちらもつられて返してしまう。


「あ、はい。

よろしくお願いします。」


マキナは俺の返答に満足したのか、ニッコリと微笑む。


「まずはお名前ですが、実名をお使いになりますか?それとも、別に設定なさいますか?」


キャラ名はすでに決めている。

本名をもじって"タナ"だ。


「別に設定しようと思います。」


俺の言葉にマキナは顔を曇らせる。


「別に・・・ですか?」


どうしたんだろう。何か変なことを言ったか?


「勝手ながらご忠告させて頂きます。ダンジョンゲートの世界では、少しの判断で死に至る可能性があります。

直ぐに反応出来るよう、呼ばれ慣れた名前の方が良いかと思われます。」


なるほど、そういうことか。

このゲームは蘇生方法が無い。

なら、少しでも長く遊べるようアドバイスもしてくれるって所か。


「大丈夫です。

普段友人から呼ばれ慣れているアダ名が"タナ"と言う名前ですので。」


この答えには満足したようだ。


「それは失礼いたしました。確かに本名からとった名前ですね。

・・・はい、他の方と被りもないようなので登録させて頂きます。

それではタナ様、職業をお選び頂けますか?」


職業は幾つもあるが、最初は4つの中から選ぶ。


剣士-言わずと知れた前衛職業だ。前人気でも剣士と魔道士に2分されていた。

魔道士-攻撃魔法の使い手。魔法が使えると言う事で面白そうではあるが、死に易いのがネックだ。

僧侶-回復魔法と対アンデッド魔法の使い手。蘇生が無いこのゲームではライフラインになるだろう。

狩人-弓と罠を取り扱う。特に罠や宝箱を開けるため、パーティに1人は欲しい存在だ。


どの職業も楽しそうではあるが・・・


「適正を見てもらって良いですか?」


やはりこれだろう。

このゲームではマキナに適正を見てもらい、どの職業が合っているか判断してもらえる。


マキナとしても嬉しいのか、笑顔が先程までの営業スマイルより本物っぽい。


「畏まりました。

それでは適正を判断するため、幾つか質問を行わせていただきます。」


「はい。」


頷くと、空中からフリップを取り出す。

何もなかった場所から急に現れたので驚いたが、同時にバーチャル世界ということを再認識させられる。


「戦闘中、仲間の1人が陣形を無視し、突出した挙句足を切断される程のダメージを受けました。他の仲間は交戦中で助けに行けません。

もちろん貴方も今の戦闘を放り出せば陣形が崩れます。

その時、どのように行動しますか?」


マキナの質問と共にフリップに文字が投影される。


「・・・いきなりエグい例題ですね。」


「心理テストの側面もありますので。素直に思った通り答えてください。より正確に判断するためですので。

もちろん、この答えを公表することはありませんし、ゲームに反映することはありません。」


・・・なら、素直に答えるか。


「それじゃ、突出した仲間には悪いけどなんとか耐えてもらいます。

もちろん、助けに行けるよう全力を尽くしますけど、下手に陣形を崩したら全滅ですからね。

助ける前に死んでしまったとしても、考えも無しに陣形を崩すような仲間では、他の仲間も巻き込みかねませんので。」


「なるほど。次の質問です-----」


その後も似たような質問を幾つか受けるとマキナは満足そうに頷いた。


「ありがとうございます、大体の適性は判断出来ました。

最後の質問をします。

貴方はこのダンジョンゲートに本気で挑むつもりがありますか?」


・・・どういう事だ?

そりゃ、ゲームといえ、やるからには本気で挑むつもりだ。


「もちろん。」


俺の答えにマキナは笑みを深める。


「それは良かったです。」


瞬間、背筋を冷たい手で掴まれたような悪寒が走った。


だが、マキナから目を離すことができない・・・

目を離すことに恐れている?・・・そんな馬鹿な・・・


「この先の世界へご招待しましょう。」


マキナは微笑みながら右手を差し出す。


ゴクリ・・・


逃げ出したい気持ちとは裏腹に、俺は自然とその手を取った。


そして世界は反転する。

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