ダンジョンゲート 1話 ※シリアス系VRMMO物
シリアスタイプのVRMMOものが書いて見たくなったので、区切りのいい所まで書いてみました。
良かったら読んでください。
「本日はお集まり頂きまして、誠にありがとうございます。
『ダンジョンゲート』先行試遊会参加の方は、整理券を持って右手の列にお並び下さい。
メディアの方は係員の指示に従って行動してください。」
会場にアナウンスが流れる。
『ダンジョンゲート』それは、世界初となるVRMMORPGだ。
一昔前は妄想の産物と言われたVRだが、一つの発明から現実の物となった。
全ての始まりは、とある大学の研究室と大手ゲームメーカーが共同で偶然作成した、進化するAI『マキナ』。
このAIは文字通り、"進化"したのだ。
元々のコンセプトは、MMORPGのGMとして学習し、最終的にはマキナのみで管理出来るシステムを構築する。・・・だったか。
学習するAIとMMORPGにおける多種多様な会話。
この2つが合わさった時、奇妙な反応が起きた。
ゲームに関することだけでなく、インターネット上に浮かぶありとあらゆる情報。
経済、政治、科学、etc・・・を学んで行った。
結果、世界の全てを学んだに等しいマキナは様々な技術革新を起こした。
その中でもマキナが力を入れたのがVRシステムである。
5年をかけて完成したVRシステムは、様々な分野で浸透し今や無くてはならないものとなっている。
その中の一つが、これから行われるVRMMORPG『ダンジョンゲート』である。
元々MMORPGの管理用に作られたからか、そのこだわりは半端ではなかった。
人間の持つ5感の再現が完璧のようで、テストプレイヤーの一部は「今が現実なのか、ゲームの中なのか・・・うまく言葉にできないです。」と、現実との見分けが曖昧になった人までいたそうだ。
そして今日、先行試遊会が行われる。
一般公募の中から5000人が選ばれ、北海道、仙台、東京、名古屋、大阪、福岡の6会場で一つのサーバーにアクセスすることとなる。
俺は運良くその公募に選ばれた。
会場は東京A、秋葉原の一角に建てられたビル自体がプレイルームとのことだ。
まるまるゲームの為の施設とか、相当儲けてるんだろうな・・・
「ここからここまでの方、ビル3Fへ着いて来てください。
詳しい説明は開始前に行われます。」
どうやら俺は3Fらしい。
女性の誘導員が前の男性を案内し始めたのでついて行く。
どうやら50人毎に案内しているようだ。
ビルの中はあまり広く無い。
入り口から見えるのは階段とエレベーター、それと大きな扉だけだ。
「こちらの扉は一般開放後に受付が設置される予定となっております。
大変申し訳ありませんが、本日は受付は閉じさせていただいております。
気になる方は、後日、一般開放後にもう一度来て見てください。」
なかなかうまいセールストークだな。
「また来たら、その時もお姉さんが案内してくれるんですか?」
前の男性がにやけながら質問する。
・・・こういう奴はどこにでもいる。
「そうですね。
それはもう一度来て頂ければわかります。」
さすがプロ、かわし方もうまい。
「次のグループが来るので、少し急ぎますね。」
女性はにこやかに言うと、階段の方へ向かった。
3Fまで階段で移動するのか・・・少しだるい。
「こちら、右手側の部屋に入ってください。」
3Fまで上がると、通路を挟んで両側に扉があった。
右手側の扉を見ると、3-1と書いてある。
向かいは3-2か、1フロア100人収容というところだろうか?
案内に続いて部屋に入る。
「え?」
思わず声が漏れ出てしまった。
後続の人たちも中を見ると驚いたように口々に戸惑いの言葉が漏れている。
「こちらのカプセルがプレイヤールームとなっております。
右上のカプセルから順にお並びください。」
部屋の中には文字通りカプセルが並んでいた。
長さ3mぐらいのカプセルが、横一列に並んでいるのを見るのは壮観だ。
俺は指示に従って右上から2番目のカプセルの横に立った。
全員がカプセルの前で待機すると、案内の女性が大きな声で説明する。
「準備ができた方から靴を脱いでカプセルに入って行ってください。
靴下は脱いでも脱がなくても構いません。
女性の方は中に布が入っていますので、スカートなどの抑えに使ってください。
横になるとヘルメットが自動装着され、カプセルが閉じられます。
ゲーム時間は準備時間も含め、2時間を想定していますが、ゲーム内では約1週間分の時間となっております。
こちらは『胡蝶の夢』をご存知の方なら分かると思いますが、一生分の夢が一晩で見ることが出来るようなものです。
詳しくはゲーム内でマスターでもある『マキナ』にお聞きください。
ゲーム内容については、ヘルメット装着後のゲーム世界におけるチュートリアルで説明されるようになっています。
何か質問がある方も多いと思いますが、全てマキナへお聞きいただければと思います。
私もサブマスターとして一緒にゲームを行います。
よろしくおねがいしますね。」
説明が終わると女性はカプセルへと入って行く。
「ちょっといいですか?」
他の人達も指示通り準備して行く中、先ほども質問していた隣の男性が声を上げる。
「はい、なんでしょうか?」
案内の女性は準備の手を止めてこちらを向く。
「これって体に悪く無いですよね?」
「はい。
身体に悪影響を与えないよう、充分なセキュリティがかかっておりますのでご安心ください。
それと、カプセルは1度閉じられますと、非常事態意外では中からしか開けられませので、ゲーム中の身体や貴重品についてはご安心ください。」
女性はそれだけ言うと、1度だけお辞儀をしてゲームの準備に戻った。
「ちっ、無駄にセキュリティが、しっかりしてるのかよ。」
隣の男性がボソッと呟くのが聞こえた。
ここは聞かなかった振りをしておこう・・・
カプセルの中に横になるとかなり体が支えられるようだ。
それでいて柔らかい。
これなら長時間寝ていても体が痛くなったりは無さそうだな。
右手を置く位置の横にスイッチがついている。
ー準備が整いましたら押してください。ー か。
案内の説明忘れだな。
まぁ良い。揚げ足を取るのは趣味じゃない。
ボタンを押すと、かすかな起動音が聞こえて来た。
カプセルが閉じて来て、真っ暗に・・・
なんか心地良いな、このまま寝てしまいそうだ・・・
なんか・・・眠く・・・




