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獅子の記憶
これは城に居た頃の獅子の記憶。身分高き者でありながら孤独だった獅子は、同じ城に居ながらも家族と話す事を許されなかった。それでも城にいれば人と会う。人と会うなら当然家族とも会う。
「おはようございます、母上。」
獅子は正面から歩いてきた母、この国の女王に挨拶をした。前日に魔獣を討ったから、きっと笑顔で褒めてくれるだろう。獅子はそんな浅い希望を抱いていた。
「その出来損ないの口で、気安く声をかけないで。」
暖かさとは逆の冷たい女王の言葉に、獅子は何も言えなかった。女王もそれ以上は何も言わずに去って行った。一人立ち尽くす獅子。これはいつもの事。獅子の日常の一部。しかし母の言葉を聞く度に獅子は俯いていた。母の冷たい言葉も、愛の無い眼差しも、もう慣れているハズなのに。




