決別
「ふざけるなシャルリーナ!!」
魔術の王国のある夜。国政を担っていた国王の声が城の会議室中に響いた。
「いきなり大声を出さないで。いちいち感情を出さないと喋れないの貴方は?」
「これが静かにしてられるか!このまま家臣削減の話を通したら、魔術師以外の家臣を追い出す事になるぞ!?」
「そのつもりよ。」
魔術師長を務める妻は当たり前かのように答えてきた。
「政は知性のある者で成り立つもの。それは王である貴方が一番分かっておく事でしょ?」
「お前、それは本気で言っているのか?」
「と言うと?」
不思議に思う妻に、国王は拳を震わせながら話した。
「城が建てられたのは魔術のおかげか?町が創られたのは、作物や武器を造れるのは魔術師達だけの力か?魔術が使えなくとも己の力で生きようとする者達と共にこの王国は築かれたのだぞ!お前はその民達をも蔑ろにするというのか!?」
怒りを露わにしながら話す国王。その目には民を想う王の怒りがあった。
「で?何が言いたいの?」
本気で理解できないといった顔をする妻。その顔に国王は怒りが爆発した。
「お前はもっと、民の声を聞け!!」
家臣達が全員驚くほどの怒声が響き渡る。だが妻は全く意に介さない態度で、それどころかため息をついた。
「私達の役目は国を存続させる事。ならば国を維持する為に知性の無い者を切り捨てるのは当然でしょう?」
「何だと……?」
「知性の無い者は、魔術師よりできることが少ない。ならば政から外すのは合理的。感情論で政を続けるほうが国益を損なうわ。」
それを聞いた国王は静かに妻を見つめた。その瞳には深い失望が込められていた。
「……それがお前の民意か。」
「そうよ。やっと分かってくれた?」
「ああ。お前がどういう人間かもな。」
そう言うと国王は踵を返した。
「どこに行くの?まだ議会はまだ終わってないわよ?」
「民意を問う。俺のやり方でな。」
そう言って国王は会議室から出ていく。大賢者を含めた国王派の家臣達もそれに続いて出て行った。
国をかけた戦争が起きたのは、それから間もなくだった。




