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第88話 天罰


 イシスはローパーを観察している。


 異常事態がおこり恐怖した。


 ・・・


 魔法が結界を貫通した?


 それも穴が開いた瞬間、間があいてから閉じるとは、


 ありえないあの結界は私達が完成させた最先端の光の粒子を収束させた循環型の結界だ。


 貫通さえできるとは思っていない。


 光粒子を物理流動化にした、その先の最先端技術を用いているのに。


 もしも穴が開いたとしても瞬時にふさぐことをできる。


 穴が開いたのさえ気づかないほどに。


 驚いた事に、貫通した穴のふさがり方が間があいて閉じたのだ。


 貫通もした、もしもの事が起きてしまった。


 予測不可能なでき事が起こってしまったのだ。


 考えられないことである。


 それにあのローパー銀色のフォルム形態に変化した。


 古代神が去っていった時見た、船の外装のように、


 なぜか古代神が去って行った銀色の船を思い描く。


 未知の船、星の海を瞬時に航行できる技術、


 私達より遙か先にいく技術、そして力。


 イシスは恐怖感に襲われる。


 ・・・


 なんなのよあのローパーは、


 おかしい、おかしすぎる。


 もしかしたら私達では知らない古代神が施した力を持っているというの。


 これは結界が破られるのは時間の問題かもしれない。


 嫌な予感がする。


 ・・・


 「フェリオン、

 大至急、一般市民を非難させて、それからあのジュブ・ニクラウスが使う光粒子分散攻撃イレイサー を防ぐ防御結界を今すぐ施して」


 「なにを言っているイシス、光粒子分散攻撃イレイサー を防ぐ結界は試作段階だぞ。

 それにあの結界は第8、第9都市の研究部門と、この第1都市の中央管理一部のみで、実験がてらに配備しただけだ。

 他の都市まで配備はおこなってはいない。

 それに避難するにしたってどこへ行けばいいというのだ」


 「どこでもいいわ、都市を切り離して、この星のいたるところに分散させて」

 なるべくこの中央管理都市から離れるように、結界のほうも試作段階でも構わない。

 無いよりは増しよ、そうしないと私達は全滅するわ」


 「わかったすぐさま取り掛かろう。

 レヴァータン、私のキーを使いすべての都市のセーフティロックを解除してくれ、今すぐにだ。

 解除したら移動開始だ。

 都市の放出先はランダムでかまわん。

 多少の犠牲がでてもいい、急げ」


 ・・・


 イシスは感がいい。


 ああ見えてもあの動体視力と観察眼は秀でている。


 まるで未来予知でもできるのではないかと錯覚させられることが前に何度か合った。


 あのローパーを見てなにかを感づいたのだろう。


 ジュブ・ニクラウスの光粒子分散攻撃イレイサー をあのローパーが持っているのは確定と言っていい。


 我々には今、対処できることは少ない。


 生き残る為やれることだけでもしなければいけない。


 ・・・


 問題は元老院の上役連中か、あちらの都市のセイフティキーは私で解除おこなっても上書きされて都市を動かせないであろう。


 ・・・


「フェリオン様 第2及び第3都市の運営長から至急お取次ぎのメッセージが入っております」


 ・・・


 思った通り反発のメッセージが来たな。


 奴らと話し合っている時間はない。


 「レヴァータン 第2、第3都市の運営長にコード108と伝えればいい。

 意味がわかるだろう。

 あとは各自判断に任せると伝えて通信をきれ、奴らにかまっている暇などない。

 今はいち早く市民をできるだけこの場所から遠ざけることに専念する」


 「ファリオン様 第3から7の都市はそれぞれ切り離しできました。

 切り離したせいで分離場所の近くにいた何人かの作業員又一般市民に犠牲者が出てしまっているいですがどうしましょうか?

 今から移動しますが、各都市運営長から苦情が来ております。

 これより移動しますと多数の犠牲者が出ると思います」


 「そんなことはかまわん。

 全滅するよりはましだ、急いで切り離して分散させろ

 今すぐにだ」


 「わかりました。

 移動開始、はじめます。

 この中央管理室の第一都市はこの場で結界を発動させます。

 第2、第3都市フェリオン様のマスターキーも効果も解除され今は止まった状態になってしまいましたいかがいたしましょう」


 「あの都市は元老院のお三方が治める都市だな。

 まさか私のマスターキーを使っても動かせないとはな。

 予想どうりだ、仕方ない放っておけ」


 「また第8から第13の軍事、研究部門も拒否され止まった状態です」


 「なんだと、そんな馬鹿な話はありえないだろう。

 統括指揮しているのは私だぞ、私のマスターキーが使えないとは、コードが発令されて動かないとはおかしいだろう。

 いや元老院の連中がかかわっているか。

 軍事、研究部署には奴らの息のかかったのが多すぎるからな。

 天下りした連中が関係して止めたのだろう。

 致し方はないか」


 だが軍事都市が私の管理下に置けていないとは、何の為、中央管制官やっているのかわからないな。


 非常事態でこのようなことがわかるとはまったく嘆かわしい。


 この件を片付いたらアヴァロンを私の完全な支配下に置かないといおけないな。


 無事、生き残れたらの話だがな。


 「レヴァータン、特殊戦闘員ワルキューレ の部隊はこの都市に入っているのか」


 「ご命令どうり13名この都市で待機させております。

 他サポート部隊として第8部隊のボルテック隊長率いる1個中隊を控えさせております」


 「それはよかった。

 最悪軍事部門はワルキューレと第8部隊のみになるかも知れない。

 それもこの都市がローパーの攻撃に耐えられればの話だがな。

 レヴァータン、特殊戦闘員ワルキューレ 13名とボルテック隊長をここへ来るように連絡してくれ。

 大至急だ」


 「わかりました」


 ・・・


 フェリオンはイシスを見ると指をくわえ震えている様子が伺える。


 陽気な彼女がこんな姿見せるのははじめてだ、どんな切実な場面でも冗談や馬鹿にした態度で今まで私に接してきた彼女が初めて見せる姿だった。


 ・・・


 「イシスどうした。

 指をくわえているなんてお前らしくない」


 「ローパーは日の落ちと同時にダンジョンの中へ戻っていったわ、いまのうちにできるだけ都市を遠ざけて。

 次は無い。

 出てきから得体の知れない力がふりかかるわよ」


 イシスは透き通る水色の目を金色に輝やかせて、まるでなにかを見えているように言葉短く答えた。


 ・・・


 (第9管理研究局室内)


 「イカロスどうだローパーの様子は」

 同じ研究部門の職員のオーガスは話す。


 「どうやら我々の張った結界に対し魔法を唱え始め使いだしたようだな。

 魔法で結界を解除をしようとしているみたいだ。

 だが今見る限り心配はないだろう。

 あの程度の魔法ではダメージさえあたえられないはずだ」


 「そうか、それだったらいいが、万が一という考えもあるからな。

 それにどうする直に私達が行ったほうがいいのではないか?」


 「それだと結界の調整が他の職員では不十分だろう。

 今のところは安定しているが、エネルギーの量も増やして強固にしなければならない。

 そうなると細かい設定ができるのは私達だけだ。

 行きたいのはやまやまだが、我々にできる対策はないであろう。

 結界の維持を優先にしよう」


 「そうだな、今はそうしよう。

 しかし、あのローパーなんなんだ。

 剣のようなものを触手で掴んで結界を切り裂いてきたぞ。

 それにあの剣どこかで見たことがあるような気がする。

 気のせいだろうか?

 あのローパー異常すぎるだろう。

 殊な個体のローパーなのかもしれないな」


 ・・・


 「オーガス様伝令です。

 今しがた情報局の諜報部隊から奈落のダンジョン付近に獣神が現れたと言う伝令が入りました」

  研究部門の職員の一人が話してくる。


 「獣神だと、なんでまたこんな時に。

 そうか、それでローパーが出てきてしまったのか。

 くそがあの獣神め。

 10年前魔王を放った獣神だろう。

 奴が動き出したせいで管理者がローパーを放ったのだな。

 十中八九間違いないだろう。

 獣神は我々の張った結界が通れないと思って動き出したのだな。

 先日結界の能力上げたのが裏目に出たか。

 あの獣神たち好き勝手動いてくれる」


 「たぶんそうだろうな、こちらの動きもうまく利用されているという事か、抜け目のない奴だな。

 しかしこちらとしては結界を緩めるわけにもいかん。

 おそらくだが結界の近くに来て状態を確認しに来たんだろう。

 それでダンジョンからの刺客は無いとふんで動き出したに違いない。

 まったく油断ならない奴だな。

 10年前同様にアストリア大陸を混乱させる気か。

 しかしこちらとしては結界の維持が最優先だ。

 軍事部門がどう動くか判断を仰ごう」


 「しかしあのローパー見れば見るほど、変わった行動をする。

 まるで知能があり結界の性質を調べているようなおこないをしている。

 まさかと思うが知能があるのではないか?

 確かジュブ・ニクラウスの指揮個体は高い知能があり、我々と戦った時確実にウィークポイントを狙って殲滅してきたな」


 「ああ、あれほど恐ろしい生物はいないと思ったよ。

 黒翼人の指揮個体を先に狙って作戦行動を封じていたからな。

 ちりじりになった黒翼人がいくら力があろうとも、造兵に殲滅されていったな。

 人間などより的確でたちが悪い。

 もしかしたらあのローパーも特殊な指揮個体が出てきたのかもしれない。

 そうなるとかなり問題だぞ」


 ・・・


 「ドドドドドッ ドドドドドッ ドドドドドッ ドシュン」

 重力飛連弾グラビティガトリング が結界を突き破った。


 ・・・


 「ありえない」


 「ああ、本当だありえないな」


  二人は青ざめた顔して話し出す。


  今しがたローパーの魔法により結界が貫通したのだ。


  職員たちはいっせいに立ち上がりその状況を見ていた。


 「あれは、なんの魔法だ。

 結界を破壊するのではなく貫通していったぞ」


 「見たことのない魔法だ。

 それにあのローパー、銀色に変化している?

 あんな姿一度も見たこと無い」


 「獣神を本気で殺すため特殊個体のローパーを送り込んできたという事か」


 「今すぐ中央管制室のフェリオン様に指示を仰ごう」


 「ああそうしよう、研究部門の面子とかそんな話ではなくなっている」


 ・・・


 「イカロス主任、中央管制室からファリオン様の指示ですぐさま各都市に移動命令が発動されております。

 マスターロックセーフティ解除されており、今から中央管制室の自動航行システムで、この研究施設が動きます。

 研究途中の施設と職員その他多数のモノが被害を受け大惨事になりますがいかがいたしましょう。

 フェリオン様のマスターコードです。

 すでに動きはじめています。

 こちらでは止められません」

 研究員の職員の一人が話す。


 「やむをえん元老院のアバトール・シューバッハ様のコードキーを使わせてもらおう。

 大至急連絡を入れてくれ。

 あの方には多額の出資をしてもらっている。

 内々に事を進めてもらっている研究施設もある。

 壊されてもらっては困るだろう」


 「わかりました至急連絡を入れます」


  ・・・


 「返答きました。

 コードの書き換えをおこないます。

 またフェリオン様から108の緊急命令が発動されたと聞きました。

 各自の都市で判断に任せると言う通達がなされております」


 「108か深刻だな。

 生存を優先し、各自すべてのできる事で対処しよとはな。

 フォールダウンしても構わないという事か、

 地上に落ち汚染された状態でも生き延びる事優先とは。

 それほど今は危険な状態なのだな。

 了解した。

 試作型だがジュブ・ニクラウスが使う光粒子分散攻撃イレイサー を防ぐ防御結界の発動をこの都市へ急げ、もうなるようになるしかないだろう。

 天命にかけるしかないな」


 ・・・


 日が昇る。


 夜明けとともにすさまじいエネルギーの奔流がアヴァロン第一中央管理都市、中心に襲った。


 眩い光がすべてを飲み込むように静かに包み込んでいった。

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