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第86話 翼人


 時は少し戻って、


 翼人が住まう天空光輝翼都市アヴァロン、に非常事態警戒の発令がだされた。


 地上を管理している第9都市研究管理部門の管理局からアストリア大陸南西、最果てにある奈落のダンジョンから1匹の魔物が出てきてしまったと言う連絡がはいったのである。


 ・・・


(第9管理研究局室内)


 研究署室内に怒号が響きる。


 「どういうことだ、奈落のダンジョンから1匹の魔物それもローパーが出てきてしまっているのではないか」


 「落ち着け、オーガス」 

 管理研究室の職員の一人イカロスがなだめる。


 「まだこちらの結界の範囲中だ。

 私たちが張ったあの結界にはローパー1匹では到底破れん」


 「しかし管理者がいるのではないか」


 「あのダンジョンには魔物を出さない結界があったのだ、それが解かれているんだぞ。

 管理者が意図的に出したとしか思えん」


 「しかしそれでも管理者では我々のこの循環型光粒子結界は破れはしない。

 それに幸いにもローパーだ。

 ジュブ・ニクラウスではない。

 こちらに危害がかかるとは限らない」


 「だがな終末戦争で使われたローパーの個体には、あきらかにジュブ・ニクラウスと同じ能力をもったやつがいたぞ。

 もしあの能力が放たれたら我々は滅びの道をたどることになる」


 「そうだな、急ぎ調査をしよう」


 ・・・


 (中央管制室)


 「フェリオン様。

 特殊戦闘員ワルキューレ を派遣しますか?」

 中央管制室職員の一人、レヴァータンが聞いてくる。


 「それは時期早々だ。

 今しばらく様子を見たい」

 フェリオンが答える。


 ・・・


 (フェリオン) 

 翼人を束ねる指導者で長きにわたり翼人の管理統治をしている。


 年齢30歳前後金髪の長髪で背中に6枚、橙色の翼をはやして白い布をまとった男だ。


 ギリシャ神話に出てくる神々のような見た目をしている。


 先駆者が去ったあと地上を事実上、支配し管理し調整をおこなっている人物である。


 ・・・


 ここでいう支配、管理とは文明の発展の調整で、進みすぎた文明、技術を人知れず間引いてしまうという事をやっている。


 翼人にとっては進みすぎた文明はおのれの領域のいに入って来るのを防ぐ目的がある。


 行き過ぎた技術の発展でなく、ある一定の水準まで到達の傾向があれば、それ以下に下げると言う事を秘密裏にやって来たのである。


 神のご意向という形で人類に示し導いてきた。


 人類にとって不利益な事柄でも信仰と言う名のもで人類は従ってきたのである。


 今それが崩れようとしている。


 ・・・


 「ローパーはこちらの張った結界の中だ。

 まだ外に出てはいない。

 それに特殊戦闘員ワルキューレ を出したとしても短時間しか地上には降り出せない。

 出せたとしても現在では13名のみ。

 それも1時間も満たないだろう。

 もし許容時間範囲を超えれば落ちてしまうことになる。

 そうなればフォールダウンするしか道はないのだ。

 だがフォールダウンして黒翼人になってもジュブ・ニクラウスに殲滅されてしまったのではないか。

 それにワルキューレがフォールダウンしたらどうなる、こちらにも敵対してきたらまた光魔戦争の二の舞いだ。

 それだけは絶対避けなくてはならない」


 「わかりました」


 「出撃準備は整えておいてくれ」


 ・・・


 まさかこんな事態になるなんて、予測もしていなかった。


 情報管理局の怠慢さを咎めるのには今となっては遅いか。


 結界の能力維持は万全なのであろうな。


 それを信じるしかあるまい。


 フェリオンは考え深く思う。


 ・・・


 「フェリオン様、奈落のモンスターはどうして出てきてしまったのですか?」 


 「奈落のダンジョンに派遣した一件が関わっているのは確かだと思う。 

 私は反対したのだが、元老院の方のご意向があってはいたしかたなく許可を出したのだ。

 奈落のダンジョンに派遣する要請したのは元老院のお三方だ」

 責任はとってもらうことにする」


 ・・・


 「レヴァータン、イシスをここに呼んでくれ、聞きたいことがあるのでな」


 ・・・


 しかし調査隊の報告によれば、アレス一行は全滅、他の魔法宮廷管理官及び傭兵の戦士、魔法使い多数が死んだと言う


 奴らはこの世界でも屈強な戦士達だぞ。


 私達でもそれなりに準備をしていかないと勝てない相手だ。


 それもすでに2年以上前に全滅しているらしい。


 参加したアレスは古代神の血をもつ末裔だ。


 以前、我々と対峙し苦しめられた一族だ。


 臭獣人が暗躍した魔王グラトニー・パイロンも打ち滅ぼしている。


 それに加えイシスが預けた神剣・神威を所持しているのだ。


 そんな化け物どもが遅れをとって死んだと言うのは、未だに信じられん。


 それも先日わかった次第だ。


 今までどうしてわからなかったのだ。


 ネイビスから諜報員が出されていたなんて聞いていないぞ。


 これも諜報部の怠慢だな。


 ・・・


 「イシス来たか」 


 「なあに、フェリオン私、忙しいんだけどね」

 眠そうな顔してイシスは答える。


 ・・・


 (イシス)

 特殊研究製造管理局の筆頭職員でフェリオンとは古きなじみである。

 若い20歳前後の美女だ。


 水色の透き通る長い髪を腰あたりまで伸ばしている。


 6枚の白い羽を生やし上位天使また神の風貌を見せる絶世の美女と言っていい。


 ・・・


 眠そうなだな、それにだらしない格好だ。


 フッ、いつものことだ、まあいい、フェリオンは思う。


 「今の現状聞いているな」


 「ええ、聞いているわよ」


 「それでは、あれを見ろ」


 巨大な水晶の投影機のようなものが奈落のダンジョンを映し出されている。


 「あれってさっき話していたローパーだよね?」


 「そうだ」


 「でもそれがどうしたの?」


 「ああ、あの魔物の背中に張り付いている剣らしいものだよ。

 あれをどう見るかって言っているのだ」


 イシスは大きな水晶の投影機を見て口を押えながら驚く。


 「やはりそうか。

 あれはお前が作った神剣だな。

 あの神剣について情報は資料を見せてでもらったので頭にはいっている。

 この星のエネルギーを使い、この地の住人が魔法と言う超能力を使えるよに古代神が施した能力と同じ作用をおこなえる武器だよな。

 あれについて元になった材料は資料で把握できているが、プロテクトに関する記述がないのだ。

 それについて聞きたいと思ってな」 


 「プロテクトもなにも試作品で持ち出したのよ。

 そんなものつけているはずがないでしょうに」 


 「そうか、そうだろうと思ったけどあくまで確認だ」


 「そんなことわかっているのなら私を呼ばないでよ。

 失礼しちゃうわね」


 ・・・


 「それじゃ確認だが、剣の保護の為の消滅装置とかもはいっていないのか」


 「あたりまえでしょうに、入れる前に持ち出したのだから、どうせたいした効果のない剣だったでしょう。

 だから、あのくさい獣人が動いた時に持っていってあげたんじゃないの」 


 「そうか」


 「それよりなんであのローパーなんで私の作った剣を持っているの?」


 「お前さっき話を聞いたって言っていたじゃないか。

 まったく、アレス達がが死んでどうやらあのローパーが持ってきたらしいのだ」


 「はあ、馬鹿じゃないのフェリオンあなた。

 あの化け物アレスが死ぬはずがあるわけないじゃないの?」


 「死んだよ、調査隊、アレスを含め全員全滅だ。

 それも2年以上前にすでにやられてしまっている」


 「そんな馬鹿なこと!」


 「そうでなくてはあのローパーがお前が作った神剣持っているはずがなかろう」


 「でも剣よ、剣をローパーが使えるなんて、できるわけないでしょ。

 馬鹿じゃないのあんた、少し考えればわかるでしょうに」


 「そう思いたいが、あのローパーは現も持っている。

 それも見た感じ皮のベルトでぶら下げ、からだから出ている触手で張り付かせ帯剣しているのだ。

 見ればわかるだろう」


 「・・・確かに、でもどうやって使うの?」


 「それを観察してもらいたくてお前を呼んだんだよ、イシス。

 しばらくここにいてあのローパーを見ていてくれ。

 それと、もう一度聞くがあの剣に消滅装置はついていないのだな」


 「しつこいわね、そんなもの無いって言ったら、ないのよ」


 「そうかそれは残念だな」


 ・・・


 「フェリオン様、今しがた諜報情報局より連絡がありました。

 獣神の一人が奈落のダンジョン付近の森林地帯に現れたそうです。

 対策を如何いたしましょうか?」


 「くさい獣人か。

 レヴァータン、獣神と呼ぶのはやめてもらいたいな。

 くさい獣人で結構だ。

 10年前の戦いで我々が加勢した人間と争わさせたやつだな。

 あの魔王の動いた一件はこちらにも都合が良かったからな。

 人間達がこちらを仰ぎ力を求めてくれたおかげで、人間界に入りやすくなった。

 しかし魔王グラトニー・パイロンが討伐されてからまだ10年ともたっていない。

 動きだすのは早すぎる。

 そんなことをすれば管理者も黙っておるまい」


 ・・・


 そうかくさい獣人が動いた為、管理者がローパーを派遣してきたと考えるられるか。


 まったくあのくさい獣人は時の流れを読むことを知らない。


 あれだけの規模の争いをおこしたのだ。


 もう少しおとなしくしてればよいものを、


 そうか奴らにとってローパーは天敵だったな。


 管理者が動いた件がわかったような気がする。


 いっそ結界を解いてローパーをたきつけてしまおうか。


 くさい獣人は数が減ったが問題がはなかろう。


 フェリオンは思う。


 ・・・


 「イシス、ローパーの状況はどうだ」


 「それがね、結界を前に魔法らしきものを唱えているのだけど、無駄だと言うのに馬鹿なやつよね。

 でもなんかあのローパー見ていると面白いわ。

 私の作った神剣・神威を取り出して器用に触手で掴んで使ってるのよ。

 ある意味感心するわ。

 私あのローパー捕まえて研究対象にしたいと思うんだけど,どうかしらフェリオン、あのローパー捕獲してくれないかな。

 それだと外に出てきた事も解決するから安心でしょ」


 「・・・」


 「ねえねえそうしない。

 そうしたら私は責任をもってあのローパー管理してあげるわ」


 「お前な、いい加減にしろよ。

 そんなことできるわけないじゃないか。

 後ろには管理者がいるのだぞ。

 それにくさい獣人が動いているのだ。

 今はそんな悠長なこと話している暇はない。

 それよりローパーの監視続けてくれ」


 「はーい、まったく、いい提案だと思ったのにね」

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