第64話 地上界
アストリア大陸の北西方面にある、ネイビス大公国、ここは人間たちが集まり住み分けている一つの国家である。
その中の各地の領地を治める貴族達の代表が集まりはじめている。
この国を治めるネイビス大公が、近隣諸国を治める貴族達に緊急招集をかけたのである。
もともとこの国は30年前まではカズサライズ王国という国であったが、国王による悪政と度重なる国民への弾圧により、周辺を治める貴族の領主たちが反旗をひるがえし、王国を打ち破って建国した国である。
当時の貴族連合軍を指揮していたのが、ネイビス伯爵、今は国家をになう重鎮ネイビス大公その人物だ。
彼の若き日は、勇敢な戦士でもあり、また冒険者として世界各国を渡り歩いて名を轟かせた優秀な冒険者でもあった。
祖父が原因不明の死を遂げ、また父も何者かにより襲撃を受け領地を治められなくなり、彼が直系の家系から推薦され領主となるべく、冒険者をやめて戻ってきたのである。
若きながら爵位を受け領地を統治しはじめてから、王国からの過度の搾取の要請やまた国民の弾圧などするように命じられ、いままで自分の生まれた領地が王国によって虐げられたことを知り、不満を持つ各地の地方貴族をまとめ反旗をひるがえしたのである。
国王に加担する門閥貴族達と、ネイビス伯爵が率いる貴族連合軍は3年もの激しい戦争が繰り広げられ、ネイビス伯爵が率いる貴族連合が勝利した。
王属と共に加担した門閥貴族どもは、一掃される。
若きネイビス伯爵は戦勝により称えらる。
簒奪だが、国民や貴族達に指示され、爵位を賜り大公となる。
ネイビス大公の名を受け、新たに建国された国である。
この国を統治するネイビス大公からの緊急招集である。
・・・
ネイビス大公国、首都ディバイン・ヒルの中央に位置する大城、通称ブラッド・ヒル、簒奪によって奪った城なのでネイビス大公自ら戒めの為、そのような悪名で呼んでいる。
城の離れにある塔の一室が会議場となっており、各諸国の大貴族の代表が集まりはじめている。
ネイビス大公と共に戦い、参加した貴族たちが戦勝によって手に入れた土地を各自に治めている貴族連合9の代表団だ。
貴族達は独自の地域を治め、税収は各自その国でまかなうことになっている。
ネイビス大公が各諸国を治めているわけではないが、おのずと首相の役割をにない、この西方地域の出来事を治めている。
各貴族が協力連携しうまくこの人間界をを治めてきた。
幾度とない他の種族やモンスター達からの脅威を跳ね返し西方の人間界を守護してきたのである。
18年前突如起こった魔王軍との戦争も各貴族諸国が協力し強固な貴族連合国を形成し人間界を守りぬいた。
今回のネイビス大公からの招集は、実に8年ぶりであり、魔王グラトニー・パイロンが討伐された時の戦勝報告以来の初めてのことである。
今回は戦勝でなく、不報ということを念頭に置いているので各貴族たちの代表も足並みは重い。
すでに手紙で内容は知らされているのである。
ブラット・ヒル城の会議室中各国の代表は集まってきた。
城の離れの塔にある会議室は円形状に作られた一室だ。
5階建て建物になっておりネイビス大公国が全土見渡せる作りになっている。
以前は前国王が保養施設と使用していた場所を改装して作られた会議場だ。
会議場には、中央には大きな円形の大理石でできたテーブルがありその周りを囲むように椅子が並べ置かれている。
席は9席ほど用意されており、ネイビス大公をのぞく、8の大貴族又は代表が今回来る予定になっている。
会議が始まるのはまだ1時間以上あるが、ネイビス大公はすでに席についており始まるのを待っている。
・・・
ネイビス・マクアレン大公、御年54歳、年齢よりは見た目がかなり若く見え、30代中ごろといっていいほどだ。
髪型をオールバックの長髪にし黒い長い髪を肩のところで結わいている。
身長は190センチ体重100キロを超える大柄の男で歴戦の戦士といった風貌がうかがえる。
会議の場であるが、赤黒い専用の鎧を装着して、各人集まるのを待っている。
・・・
ネイビス大公国は周辺国家を合わせると、9国家からつなっている貴族連合国である。
おもに大貴族達がそれぞれ統治している貴族連合国家だ。
アストレア大陸の北西側に位置し、人間たちが住み分け治めている地域である。
各地に人間の住む地域は存在するが、アストリア大陸では最大の勢力をほこっている。
東には大樹林が広がっている。
かつてはこの地域も人間たちが入り込んで統治し繁栄を栄させていた。
300年前に突如として南西に存在する、神々の嗚咽と呼ばれる奈落のダンジョンから1匹の竜が出てきたこにより、人間界は滅びの道を歩んでしまった。
当時人間達は、アストリア大陸全土を手中にしようと他の部族やモンスターなど排除し又弱い部族を従え弾圧などをくりかえしていた。
人間至上主義を唱えていたのである。
その結果、神の怒りをかい、1匹の竜が使わされたと言われている。
竜はとてつもない力を使い、人間界を蹂躙し、滅びの道を負わせた。
竜はアストリア大陸の全土の人間界に攻め込み甚大な被害をあたえて、突如として消え去ったと言う。
神による戒めだと伝われている。
それから300年、生き残っていた人達が神の教訓だと伝え、人間界を形成し存続させてきたのが現在の人間界である。
東の地域は獣人たちが多く暮らしていて、様々な獣人の一族が村を形成し住み分けているという。
南東はエルフが治める地域だというが人間界と交流は少なく情報がほとんどない。
隣接した地域の人々だけまれに交流する程度しかない。
魔獣やモンスターと呼ばれる存在もも大森林地帯には多く生息している。
魔獣とモンスターは区別される存在である。
魔獣に関しては基本的に獰猛で野蛮な獣だが、時には人やその他の種族と分かり合え、必要ならば協力し又従い、話を理解できる魔獣も存在する。
力ある魔獣であるならば土地神として崇められる存在もいる。
魔獣とはモンスターとは別に区別される種族も多く存在する。
モンスターといわれる生物は知識などなく、ただ本能で生きる凶悪で危険な存在だと思われている。
人間界では見つけ次第討伐対象になっていることが多い。
決して分かり合えない存在がモンスターのようだ。
・・・
今から約18年前突如して、魔王の一柱と名乗る、獣王グラトニー・パイロンが北東の地域より多くの魔獣を、従え人間界に攻め込んできた。
十年という長い月日を、魔王軍と戦いをおこなっていた。
貴族連合軍は各地を連携を強め各所対応をおこなってきた。
魔王軍と熾烈な戦いをしていたが、勇者アレスが魔王グラトニー・パイロンを打ち滅ぼしたことにより、人間たちは勝利し世界に平和が訪れた。
だがここ数年、平和が崩されるかのように、魔獣の活動が活発になっている。
人間界にも被害が出てきてしまったようだ。
人々の間では魔王がまた現れたのではないかと囁かれ不安な日々を陥っているのである。
そんな中の緊急招集会議が開かれる最中であった。




