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ぷらすわん ~1しか上がらないけれど、最強が目指せます~  作者: 雷風船
第一章 運命の扉

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追憶(5)レベルアップ……?



 壁際の方で、少年少女も並んで見ている。


「ぼく、頑張って!」


(くっ……)


 少女のにこやかな応援の言葉が心に刺さる。


「君ならできる!」


 少年の応援の言葉は、勇者からかけられた言葉だと思えば、力が湧いてもよさそうだったが、なぜか心には『お前が言うか!』という言葉が浮かんだ。

 子どもに対してい「君」と呼びかけられたのが、小説で良くある「正しい」と言われた言葉を、真に受けてしまうように見える「正義の勇者」のイメージにつながり、反発心を生んだのだろうか?


 それにしても……


 彼らですら、俺から見れば若人のはずだが、俺はさらにその下をいっているようだ。というか、それも当たり前か。

 この世界に来て、まだ鏡を見ていないから分からないけれど、手足のサイズは、小学生の低学年ぐらいしかない。


「見た目は子ども、頭脳は大人、その名はなんちゃら」という知識が思い浮かんでくる。


 子どもにしか見えない俺への呼びかけが「ぼく」なのは仕方がないのだろうが、記憶はなくても持っている知識から自分が成人だったと思っている俺は、釈然としない。


 そういえば、いまだにあの二人の名前を聞いていなかったな。まあ、俺は自分の名前も分からないのだけれど……


(いや、まてよ?)


 さっきレベル1になれば、ステータスが見れる、と言っていたはず。もしかすると、そのステータスに名前が書かれている可能性はあるんじゃないかな?


「さあ、剣で刺せ!」


 召喚士ブリュノが、俺に命じた。


 気がつくといつの間にか、目の前にスライムが運ばれていた。薄い青い色をしたスライムだ。ぶよぶよと蠢いている。

 その中央部分には、丸い碁石のような粒が見える。これが核だ。


 これに剣を突き刺すのか……


 板に乗せられたスライムは、板の四隅に立つ棒のようなものがその動きを止めているのだろう。結界かな?


 スライムは蠢いているが襲ってくるような仕草は見せない。そのせいか、怖くは感じない。


 目も鼻も口もないので、生き物にも見えず、命を奪うことへの抵抗感は、今のところ感じていない。


 剣を持たされて改めて確認できたが、俺の身長は一メートルとちょっとぐらいか。

 だって、この剣は俺の身長と同じぐらいの長さがある。そして、さっき少年少女が持っていたときに、体の半分より長く見えた。


 そして、それは同時に俺の非力さを実感させていた。


 つまり……重い!!


 何キロあるんだろう? 少なくとも、この剣を振り回すことは絶対に無理だ。


「何をしている? それぐらい持ち上げられるだろう?」


 手間取っている俺に、少しイライラしながらブリュノが声を上げた。


(分かってる、つうの)


 それでも文句は言わずに、剣を持つ手に力を入れた。


「ふんっ」


 気合を入れてなんとか持ち上げることはできたから、「うんせうんせ」と声を出しながら、剣をスライムの頭上に運ぶ。


(ふぅ……)


 持ち上げたまま維持するのは無理だったから、すぐにストンと核をめがけて剣を落とした。


 ブスッ


 どうやら上手くいったようだ。


 スライムの中央に落ちてくれた剣は、そのまますんなりスライムの体に埋まり、そして核を壊してくれた。スライムは悲鳴を上げない。口もないから無理か。


(おっ?)


 スライムの体が解けるように消えるのと同時に、目に見えない、じゅわんとした何かが、一瞬、俺の体を包んだのが分かる。


(もしかすると、これがレベルアップ?)


 たぶんそうだ。


 まあ、ゲームじゃないのだから、ファンファーレは鳴らなくても当たり前か……


 その時、タブレットのような何かを見ていた召喚士ブリュノが「ん?」と呟き、不思議そうな表情を見せた。


(なんだ……?)


「……まあいいだろう。次だ」


 首を捻りかけた召喚士ブリュノが続行を告げる。


(まあいい?って何がまあいいのだろう?)


 俺は、次のスライムが運ばれてくる間に心の中で『ステータスオープン!』と呟いた。さっき、レベルが1になれば見れると言っていたはずだし。


 ブン


 そしてその言葉通り、小さな異音が耳に聞こえ(たぶん、俺にしか聞こえていない音だと思う)、俺の前に空中ディスプレイのような半透明の板が現れた。


(おお! これって魔法だよな)


 ステータスを表示させることが魔法の力かどうかは分からないが、少なくとも地球上で機械を使わずに同じことができないことが分かる俺は、改めて異世界の雰囲気を味わい、少し感動しながらその半透明の板を眺めてみると、そこには…………



 名前:ルイ

 種別:人族(異世人)

 年齢:7歳

 性別:男

 職業:■■■■


 レベル:1

 攻撃力:1

 魔力 :1

 防御力:1

 精神力:1

 運  :1


 スキル:ぷらすわん



 文字が読める。というか、日本語に見える。たぶん、このステータス板(でいいのか?)には、認識している言語で表示されるのだと思う。


 だが……


(ん?……んんんん?)


 俺は思わず目を、手の甲で擦っていた。


 種別の人族の後ろにかっこ書きで「異世人」と書かれているのはまあいい。

 年齢が7歳と表示されたのも、自分の体を見れば分かる。それぐらいの年齢だ。名前も「ルイ」と表示されているのは、元の地球での名前が「琉生」とか「瑠偉」だったからもしれない。


 職業が「■■■■」と伏字なのも、見えない以上、特に違和感を覚えることはない。


 しかし、レベル、攻撃力、魔力、防御力、精神力、運の数値、そしてスキルに表示されていた名称を見た俺は、首を捻っていた。


(オール1に、ぷらすわん?)


 なんじゃ、こりゃ?



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