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ぷらすわん ~1しか上がらないけれど、最強が目指せます~  作者: 雷風船
第一章 運命の扉

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追憶(34)師匠から譲られたスキル



 朝。


 目覚めはいつもと同じ時間だった。


 寝たのは朝方だったから、丸々一日を寝ていたようだ。


 起き上がった俺は、隣に師匠の姿がないことを確認して、落ち込むのはこれで最後にしよう、と決めた。


 後悔することは、もう山のようにある。だが、後悔する時間は、俺の「目標」を達成することに役立たない。


(あ!)


 その時、俺は、あることに気がついて、再び落ち込んだ。


(俺は、どれくらい寝ていたんだろう?)


 そう、もしかして、数日、寝っぱなしだったらどうしようと思ったが、確認する方法がないことに気がつき、一日だけ寝ていたと信じることにする。


 ベットから降りた俺は、【洗浄】のスキルで顔を洗い(実際には洗ったわけじゃないけれど……)、【しゅうのう】に保管していたおにぎりを取り出して食べてから、外へと向かった。



 ■□■□



 祠の前で、魔草原を見下ろす。


 今朝も、良い天気だ。


 穏やかな風が、魔草たちを揺らしている。


「よし、始めるか!」


 俺がまず行うこと。


 それは、師匠が渡してくれたスキルを確認すること。


 これからの行動に、何か関わるかもしれないし。


 ステータスオープンと心の中で呟くと、目の前にウィンドウが展開されて、スキルが表示された。


 2,700以上ものスキルがあると、いちいち確認するのにも時間がかかるが、スキルにはソート機能が備わっている。


 新しく入手した順番に並び替えると…………


【つうはん】【かんてい】【しゅうのう(2)】【なおす】【洗浄】、、、、


(なるほど……)


 うん、洗浄が、直近で俺に生えたスキルだったから、師匠が俺に譲ってくれたのは、【つうはん】【かんてい】【しゅうのう(2)】【なおす】の四つということだ。


【つうはん】は、これからの生活を考えると非常に有益であることは理解できる。元の地球の商品を取り寄せることができるからね。


 というか、師匠が休眠してしまった今、食事の用意とかを自分でしないといけない。【しゅうのう】には、非常用として師匠から渡された食料が入っているけれど、数は多くない。

 もちろん、生活スキルの中に【料理】スキルはあるし、★5レベルだけれど、いかんせん俺は食材を持っていない。

 でも、この【つうはん】のスキルがあれば、食事の心配はいらなくなる。

 ありがたい。


 食料品は対価も少ない、って師匠が言っていたし……


 次の【かんてい】は、どうだろう?一応、特殊スキルの【鑑定】は★5レベルの状態で持っている。

 ひらがなスキルの【かんてい】の方が【鑑定】の★5よりも優秀であることは分かるが、どれぐらい違うのだろうか?


(よし。ちょっと、使ってみるか)


 俺は、【かんてい】のスキルで、【つうはん】のスキルを確認してみることにした。


(かんてい!)


 心の中で、スキルの発動を意識する。鑑定の対象は【つうはん】。


 あっさりと、ウィンドウが現れて鑑定した内容が表示された。この挙動は、【鑑定】のスキルと同じだな。



【つうはん】使用魔力:0~1

「対価」の欄に提供されたもので価値判定を行い、所有者が元居た世界の物質を取り寄せることができるスキル。取り寄せた際には、1回の使用で魔力を1消費する。参照は魔力を消費しない。



 念のために【鑑定】のスキルでも見ておこう。


(鑑定!)


【つうはん】

 異世界から物を取り寄せることができるスキル。有料。



 ひらがなスキルの【かんてい】を使えば、魔力を消費するタイミングまで教えてくれる。実際に取り寄せない限り、見るだけなら魔力の消費はないということだろう。


 まあ、予想通りだ。【鑑定】の方が表示される内容、説明される内容が乏しい。


 よし、次は【つうはん】を試してみよう。


(つうはん!)


 再び心の中でスキルを意識しながら呟くと、再び目の前にウィンドウが現れた。


 目の前にウィンドウが開かれるのは、俺のイメージが強く関わっている。師匠は脳裏に浮かぶだけ、と言っていたし。



 ■――簡易バージョン 詳細バージョン どちらかを選んでください。



(お? 会話だ!)


 地球のスマホに備わっていたアシスタント機能が脳裏に浮かんできた。

 まあ、音声じゃないけれど。


(簡易バージョンと詳細バージョン?)


 意味が分からないが、とりあえず「簡易バージョン」を選んでみた。


 ■――簡易バージョンですね。次に、希望するものを入力してください。


(入力?)


 どうすればいいのだろう? キーボードは現れていないから、音声起動?

 いや、違うな。【つうはん】のスキルで食料を取り寄せるとき、師匠は声で指示していない、何かを操作する様子もなかった。

 ということは、念じれば良いのかもしれない。


(食品を!)


 ■――希望する食品を入力してください。


 どうやら正解だったようだ。


(じゃあ、夕食!)


 ■――希望する夕食を入力してください。


 なるほど。入力方法は念じれば良いことが分かった。そして、具体的な品名を指定しなけりゃいけない、ということか。


(味噌ラーメン!)


 ■――容器や用具はどうしますか?


 ああ、そうか。そういえば師匠は、食料品は必要な対価がたいしたことがないけれど、それ以外は物によって対価が大きく異なると言っていたか。


 たぶん、容器や用具(箸やレンゲかな?)は結構高いのかも。


 試してみよう。


(用意して)


 ■――承知しました。対価は、味噌ラーメンが500円、容器が50,000円、箸が30,000円、レンゲが35,000円です。支払いますか?


 日本円で表示されるのか。まあ、これは俺が日本人、ということを示しているのだろう。


 それと値段だが、確かに食料品の味噌ラーメンが500円で、容器と箸とレンゲが合計で115,000円と聞くと食料品以外がめちゃ高いことが分かる。


 俺は、消費税はかからないのかな、とどうでもいいことを考えていた。


(支払方法は?)


 ■――現在、「対価」にセットされているのは魔石です。利用可能な残高は279,365,880,470円です。


「ぶっ!」


 表示された金額を見た俺は、思わず吹き出していた。


 いち、じゅう、ひゃく、せん、まん・・・・・・2,793億円か。


 まあ、味噌ラーメンを頼んで10万越えだから、モノによっては平気で億を越えそうということを考えると、それほど余裕がある金額じゃないのかもしれない。


 まあいい。


 だいたいの使い方は分かった。

 最初に聞かれた簡易バージョン、詳細バージョンだけれど、詳細バージョンを選ぶと、細かな選択ができるんじゃないかな。例えば味噌ラーメンなら、メーカーとか麺の太さとかいろいろと。


 これは、あとで検証しよう。


 俺は、いったん注文した内容をキャンセルして、【つうはん】のスキルを終了させた。


 最後は【しゅうのう(2)】を見ておこう。


 末尾に「(2)」と記されているところを見ると、俺が持つ【しゅうのう】と同じスキルのようだけれど、違う扱いということでいいのだろうか?


 もしも、【しゅうのう】そのものにレベルがあって、それで(2)と表示されたなら、もともと俺が持っていた【しゅうのう】が消えているはず。

 でも、今の俺のスキルが表示される欄には【しゅうのう】と【しゅうのう(2)】の二つが見えている。


(かんてい!)


 俺は、【しゅうのう(2)】を。ひらがなスキルで鑑定してみた。



【しゅうのう(2)】使用魔力:0~1

 所有者「ラヴィン」の異次元ボックス。収納は魔力を必要としないが、取り出す際には一回ごとに魔力を1消費する。

 ⇒【現在の収納物はこちら】



 ああ、なるほど。師匠が、自分が収納していたものを全て俺に渡すため、スキルごと俺に譲渡したということか。それと、アイテムボックスじゃなくて異次元ボックスなんだ……

 今、収納しているものも確認できるようだから、あとで見ておこう。


 最後は【なおす】。



【なおす】使用魔力:1

 対象を元の状態に戻すことができるスキル。1つの状態を元に戻すたびに、魔力を1消費する。



【治療】のスキルの上位バージョンかと思ったら、全然違った。

 治療する意味合いの「治す」ではなく、元の状態に戻す「直す」だった。ということは、何か壊れたものを直すこともできるということだし、例えば、生まれた時点で片腕がなかった人は、その腕を生やすことは難しい可能性が高い。


 でも、これも間違いなく役立つスキルだ。


(それにしても……)


 師匠は、本当に俺のことを考えてくれていた。


 渡されたスキルの貴重さは言うまでもない。


 この世界から師匠を奪われることがなくなれば、どうやって師匠にこのスキルを返すのかを考えなきゃいけないことを考えた俺は、少しだけ笑みが浮かんだのが分かった。



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