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ぷらすわん ~1しか上がらないけれど、最強が目指せます~  作者: 雷風船
第三章 天下無双剣闘会

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対エルダーリッチ


「コーーーーッ!!」


 エルダーリッチが口を開けて叫ぶ。


 エルダーリッチは、見た目は言ってしまえば骸骨だ。

 そして、その声は空気が骨の隙間を抜ける音だと思えるから、王冠を被り、マントを背負って、それなりの恰好をしていても、威圧感は感じられない。


 攻撃に使える技は【暗黒弾】のスキルのみだから、たいしたことがない魔獣にも思えるが、この【暗黒弾】のスキルは、接触すると肉体と精神の両方に大ダメージを受けるやっかいなスキルだ。


 今、【さげる】のスキルでエルダーリッチのステータスは大きく下げているが、それでも全てのステータスが8,000は残っている。★5の【暗黒弾】のスキルで放たれた暗黒弾が触れれば、少なくとも精神力が最低でも8,000ないと、意識を奪われる確率が高い。


 肉体的なダメージは、触れた部分から腐り落ちていくことになる。防御力が3ケタしかなければ即死、8,000あったとしても★5のスキルだからダメージは受ける。回復には強力な【治癒】のようなスキルがなければ、一週間は持たない。というか、状態異常の治療も必要になる。


 単純な一つの技しか使わなくても、それが致命傷クラスの技ということを考えると、どれだけ強敵なのかが分かる。もしも、ステータスが800万のままだったら、ここスヴァルタルの最強の戦士であっても、よほどのスキルがない限り勝てない。


 エルダーリッチが腕を大きく真横に広げる。

 その両手に、それぞれ小さな黒い球体が現れた。バチバチと音を立てる黒いスパークを伴っていて禍々しい。


【暗黒弾】のスキルだ。


 それを見たセシリアとシヴァニは、それぞれ逆方向、斜め前へと走り出した。


【まもる】のスキルで守られているとはいえ、ぶつけられても平気なことが当たり前の戦闘と思わないで戦えていることに、俺は、その後ろで少し感心しながら見ていた。


 さらに――――


 今、二人はお互いに顔を見合わせることなく動き出した。

 それぞれの役割と、どう動けばよいのかがしっかり判断できている、ということだろう。


 その二人に向かって、エルダーリッチが【暗黒弾】を放った。


 シュパッ!!


 乾いた小さな音は、次の瞬間、放たれた【暗黒弾】を二人の剣が切り裂いた音だ。


 二人は、そのまま【縮地】のスキルを使って一瞬で近づくと、それぞれ右と左から切りつけた。

 僅かにセシリアの方は早いのは、【縮地】スキルの、★の数の違いだろうけれどコンマ何秒かの差に過ぎない。


 ドカン!

 ガキッ!


 異なった二つの音が重なる。「ドカン!」は、セシリアの剣がエルダーリッチの左腕を破壊した音で、「ガキッ!」がシヴァニの剣が右腕に跳ね返された音だ。


 エルダーリッチは★5の【無効】スキルを持っているが、防御力は俺が使った【さげる】のひらがなスキルで8,000まで落ちている。

 一方、セシリアの攻撃力はブーストした状態で約800万、そしてシヴァニは約60万だ。


【無効】のスキルが、無条件で無効にできるのは【防御力】や【精神力】の値の数値までだ。それを越えると、確率によって攻撃は通ることになる。


 セシリアは千倍、シヴァニは80倍だったから、その差が結果として現れたということだろう。


 剣が弾かれたシヴァニは、一瞬、驚いた顔を見せたがそのまま構うことなく剣を揮う。


 左腕を破壊できたセシリアは、油断なく剣を構えたまま、シヴァニの戦いを見ている。


 エルダーリッチの右手が光ると一本の杖が現れた。

 その杖で、シヴァニの剣を捌いているが8,000のステータスは、やはり重荷になっていたようだ。


 やがて――――


 ドカン!


 シヴァニは、セシリアと同じように杖ごと右手を叩き折っていた。


 その攻撃を待っていたかのように、セシリアも再びエルダーリッチの懐に飛び込んだ。


 ボカンッ!!!


 鈍い音と共に、二人の剣を胴体に受けたエルダーリッチの体が、大きく弾き飛ばされた。


 マントが外れ、そして王冠が転がる。


「コ、コ、コ…………」


 倒れたまま、弱弱しく首を上げたエルダーリッチの声は途切れ途切れだ。


 そして――――


 カコン


 その首が床に転がる音が聞こえると、エルダーリッチの体は黒い粒子になって空気中に霧散した。


 しっかりと首を含めて全てが粒子に変わるまで、二人とも無言のまま、剣を構えて残心の姿勢を取り続けていた。


「お見事」


 俺はパチ、パチと拍手を送った。


 負けることがないとは思っていた、いや分かっていたけれど、もう少し苦戦するはずだったのに、特に危なげないところはなく、完封できたと言って良いのではないだろうか?


「「あっ!」」


 俺の言葉に振り向こうとした、二人は両手で体を抱えたままうずくまった。レベルアップだ。


 おそらく、今戦ったエルダーリッチは、この階層に現れたことを考えれば、本物の迷宮ボスではないはずだ。だが、ステータスレベル800と、各ステータスが800万という数値は、ここの迷宮ボスに匹敵している。


(さて、どれだけレベルアップしたのか…………)


 よく見ると、シヴァニの角も光っている。


 俺は、二人に【かんてい】のスキルを使ってみることにした。


 まず、セシリア。

 迷宮ボスクラス1,000頭分は、どれだけの経験値を得られたのか…………



 名前:セシリア

 種別:人族

 年齢:17歳

 性別:女

 職業:勇者(■■■)


 レベル:1,544

 攻撃力:205,335(10,266,750)

 魔力 :166,961(8,348,050)

 防御力:166,517(8,325,850)

 精神力:190,392(9,519,600)

 運  :88


 スキル:【剣術(★★★★★:剣聖)】、【回復(★★★)】、【縮地(★★★★)】、【耐性(★★★)】、【灯り(★★)】、【集中(★★★★)】、【限界突破】、【鑑定(★)】、【魔力剣(★)】、【回復(★)】、【看破(★)】、【お■■く】



 おっ!


 当初の目標だった、ステータス20万に攻撃力が届いた。

 レベルも400近く上がったから、エルダーリッチ1,000匹は相当な経験値を得られた、ということだ。

 もし、俺が倒していたら、全てのステータスが上がった数値は「1」だけ。自分に【けいけん】をかけても、なぜか1,000にはならないからね。


 新しいスキルは【回復】と【看破】。

 俺のひらがなスキルの【かんぱ】とは違うが、見破ることができるスキルだから育てれば、戦う相手の弱点も見抜けるようになるはずだから重宝するだろう。


 そして、シヴァニだが――――



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