レベリングがスタート
俺は腕を組んでいた。
俺の前では、セシリアとシヴァニが、デュラハンと戦闘中。
俺は別に鬼監督というわけではないが、ここで手出しは無用だろう。俺は、剣を打ち合わせて一歩引いたシヴァニに声をかけた。
「もっと、流れるように!」
「は、はい!」
シヴァニが頷く。
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隠し部屋に入ると、ずらりと奥の壁際に並ぶ10匹のデュラハンたちが一斉に襲ってきた。いや、デュラハンは騎士だから匹はおかしいか。10騎と呼ぼう。
その10騎のデュラハンは、迷わず真っすぐに俺たちに向かってきたが、それをセシリアとシヴァニが迎え撃った。
まずセシリア。
デュラハンの剣技は、レベル50だとさすがSSSランクの魔獣だけあって見事な神技を披露してくれている。
しかし、セシリアの技はそれを軽く上回っていた。
ヒュンッ!
剣がぶつかる音すらしない。ぶつかる瞬間流している。デュラハンの剣が斬ったのは空気だけ。そしてセシリアは、まるで舞うように剣を流しながら、そのまま右に左にとデュラハンを一撃で切り伏せていた。
次にシヴァニだが……
彼女にはブーストをかけているから、ステータスはデュラハンを十分に上回っている。しかし、剣技がまだ体に追いついていない。
ガキッ!
セシリアとは違い、鈍い音で剣と剣がぶつかる。
「もっと、流れるように!」
「は、はい!」
その時、一騎のデュラハンと打ち合って剣の押し合いになったシヴァニに、もう2騎のデュラハンが横から駆け寄ってきてゴゥと剣を揮ってきた。
どうやらデュラハンの騎士道は、人族や鬼人族の騎士道と違うようだ。まあ、見た目は騎士のような姿をしていても、本当は魔獣ななのだから仕方がない。
その両脇から揮われた剣がシヴァニの体を斬るかと思った瞬間、シヴァニが転がって何とか避けた。
ちなみに、もしもデュラハンの剣がシヴァニに当たっても、俺が【まもる】のひらがなスキルをかけているので何も問題はない。
そして、シヴァニが転がりながら揮った剣が、打ちあっていたデュラハンの足を薙ぐ。
ガシャン
見事、片足を切断できたことで、斬られたデュラハンがバランスを崩し倒れた。
そのまま、シヴァニは両脇から迫ったデュラハンを左、右の順番で斬り倒す。そして、立ち上がろうとしてデュラハンに容赦なく剣戟をぶつけていた。
真正面から袈裟懸けに斬られたデュラハンが黒い粒子へと変わる。
「おお……」
この前、修練場で戦った時よりもスムーズな動きに見えるのは、ステータスが上がったせいだろうか?
シヴァニは、俺が考えていたよりも善戦できている。
そして、数分後、シヴァニは5騎のデュラハンを何とか討ち果たした。
■□■□
「はぁはぁはぁ」
肩で息をしているシヴァニは、それでも目は輝いている。
その隣では、十秒ほどで同じく5騎のデュラハンを斬り倒したセシリアが「私もやりました!」という目で俺を見ている。
「師匠! オレ、どうでしたか?」
「うん。良かったよ」
「そうですか!!」
嬉しそうだ。
「ルイ。私は……?」
「危なげなかった、と思うよ」
「ふふふ」
セシリアも嬉しそうだ。
もっとも、セシリアとデュラハンのステータスを比較すると、100倍以上セシリアの方が上だし、もともと「勇者」の職業も持っているから楽勝で当たり前なんだけれどね。
「「あっ……」」
その時、二人が軽く身もだえする仕草を見せた。
「レベルアップしたみたいだね」
「はい!」
「ええ」
どれどれ。
まずはシヴァニを鑑定してみる。
名前:シヴァニ・メリディナル
種別:鬼人族
年齢:16歳
性別:女
職業:神官
レベル:584
攻撃力:7,016(350,800)
魔力 :7,601(380,050)
防御力:6,909(345,450)
精神力:14,058(702,900)
運 :40
スキル:【剣術(★★★)】、【結界(★★)】、【灯り(★)】、【縮地(★★)】、【治癒(★)】、【浄化(★)】
レベルアップは56。5騎のデュラハンを倒したということは、5,000騎分の経験値を得られたということだ。レベルが上がれば上がるほど、次のレベルアップに必要な経験値の量は増えるから、まあまあといった感じだろうか?
新しいスキル、【浄化(★)】も手に入れている。
見た目は、ただの鬼っ子に見えるシヴァニだけれど、こういった聖なるスキルを手に入れられるのは神官という職業のお陰だな。
次は、セシリア。
名前:セシリア
種別:人族
年齢:17歳
性別:女
職業:勇者(■■■)
レベル:1,137
攻撃力:150,439(7,521,950)
魔力 :122,317(6,115,850)
防御力:121,991(6,099,550)
精神力:139,482(6,974,100)
運 :84
スキル:【剣術(★★★★★:剣聖)】、【回復(★★★)】、【縮地(★★★★)】、【耐性(★★★)】、【灯り(★★)】、【集中(★★★★)】、【限界突破】、【鑑定(★)】、【魔力剣(★)】、【お■■く】
さすがにレベルアップの伸びが弱いが、これはレベルが高いから仕方がない。
素のステータスでも、シヴァニが50倍にステータスをブーストさせた値の半分近くあるのだから、【ふやす】のスキルを外してシヴァニと戦ってもいい勝負になるだろう。「勇者」としての技術は尋常ではないからね。
いざとなれば、俺のバフがなくても、【限界突破】を使えば、時間限定とはいえど、すぐにステータスを10倍にできるのだから、シヴァニとセシリアが戦ってセシリアが負ける姿は想像できないな。
「師匠、何か戦闘で、オレ、まずいことしていませんでしたか?」
「うん、一戦目としては、上手くやっていたと思う」
これはお世辞ではない。斬られる前に回避しながら、同時に剣を揮って足を落としたのは見応えがあったからね。
「ありがとう! 師匠!」
「でも、これからレベルが上がれば上がるほど、ステータスは上がらなくなっていくからね」
「うん、オレ、頑張る!」
そう。レベルアップに必要な経験値は、レベルが1上がる時に1必要だったとすると、100上がるときは100必要かというとそうじゃない。おおよそ二乗分の経験値が必要になる。つまり10,000だ。
俺はセシリアが20万、シヴァニが10万という目標値を設定したけれど、実はこの目標値はかなり困難な目標になる。
まあいい。
とりあえず、今日はこの20階層の隠し部屋3つをを20周ほどしてみよう。
それで、どれぐらい上がるのかを確認しておこう。
俺は、二人に水を差さないように気を付けながら、「じゃあ、次の隠し部屋に向かおうか?「」
「「はい!」」
元気な二人を連れて、俺はここから数キロ離れた二つ目の隠し部屋を目指すことにした。




