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ぷらすわん ~1しか上がらないけれど、最強が目指せます~  作者: 雷風船
第三章 天下無双剣闘会

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デュラハン、レベル10


 翌日。朝6時。


 隠し部屋の中にテントを設置して、一泊してから俺たちは20階層へと向かうことにした。

 この隠し部屋の中では、数時間おきの間隔でリポップを繰り返すシャドウも、自動撃退するためのスキルを持つ俺にとっては障害にはならない。


 万が一のことがあったとしても、セシリアとシヴァニには【むこう】のひらがなスキルもかけてあるから、シャドウの攻撃も完全に無効化されるので安心だ。


 そして、テントの中でぐっすりと寝ることができた俺たちは、朝を迎えた。


 俺にとっては、玄孫、来孫よりも下にあたるから、二人の美女との同衾も特に思うところはないし、もちろん何のハプニングもなかった。


 朝早く起きた俺は、二人を起こさないように気をつけながら、そっとテントから出た。

 隠し部屋の中には、自動撃退スキルで討伐されたシャドウが落とした無数の魔石が散らばっている。それを集めてから、【まっぷ】で誰かが迷宮に入場していないかを確認するが、まだ人の気配はどの階層にも見られない。


 どれくらいの時間から入場が始まるのかは分からないが、5階層まで人が降りてくるまでまだしばらくの猶予があるはずだ。


 俺は、二人が起きるまでの間、ゆっくりと朝食の準備を始めた。



 ■□■□



 7時過ぎにセシリアが、そして続いてシヴァニが起きて、テントの中でごそごそと朝の準備を始めていた。


 俺は気にしないが、二人とも女性として準備の時間は必要なようだ。

 セシリアは俺と二人で過ごしていた時には、ほぼスッピンだと思うのだが、シヴァニもいることで女性としての自覚が芽生えたのかもしれない。まあ、いいことだ。


 そして朝ご飯。


【つうはん】のひらがなスキルを使って取り寄せたのは、モーニングセット。


 なぜ、モーニングセットが通販で販売されているのか、少し不思議な感じがするが、まあそんなものだと思っておいた方が良い。


「これは?」


 皿に乗せられたトーストとゆで卵、そしてサラダ、コーヒーのワンプレートを渡されたシヴァニが困っていた。


「朝ごはん」


「そ、そうですか。師匠は、いろいろなものを持っているんですね」


「まあね」


 セシリアは、顔色も変えずに受け取るとさっさと食べ始めた。


 このセットを最初に見たころのセシリアは、今のシヴァが見せている反応と変わりはなかったはずだが……

 慣れって大切なんだな、ということが分かった。



 ■□■□



 8時過ぎ。


「セシリア。デュラハンがいる」


「はい」


 朝の準備を終えて、20階層に向かおうと隠し部屋を出ると、【まっぷ】に反応が現れた。デュラハンだ。

 真っすぐにこちらに向かっている。


 俺は、チラリとセシリアを見た。


「どうする?」


「やらせて」


「わかった。シヴァニは、見ておいて」


 シヴァニが、こくこくと頷いた。

 5階層に登場するデュラハンなら、ブーストをかけた状態ならシヴァニでも簡単に倒せるはずだから、まずは見て慣れてもらおう。


 ゆっくりと俺たちは、デュラハンが近づいてくる方向に向かって歩き始めた。


 やがて――


 カツン、カツン


 洞窟に何かを叩くような音が響いてきて、向こう側にシルエットが現れたのが分かった。


 首のない鎧。いや、首は手に持っているか。


 地球のアイルランドの伝説で伝わるデュラハンとは少し違う。馬に乗っていないし、鞭も持っていない。手にした首が何かを告げることもない。


 そして、0.3ヤド(30メートル)ぐらいの距離まで近づいたデュラハンは、無言のまま手にした首を元の位置に戻した。今の状態なら、ただのリビングアーマーといったところか。


 昔、この迷宮を訪れてデュラハンと初めて戦った時、「戻んすんかい!」と突っ込んでしまったことが思い出される。

 だが、この浅い階層でもランクはSランク。実力はそれなりにある。あくまでそれなり、だけれど。



 種別:デュラハン

 レベル:10

 攻撃力:10,000

 魔力 :10,000

 防御力:10,000

 精神力:10,000

 運  :10


 スキル:【剣技(★★★)】、【防御(★★)】



 10階層までに出現するデュラハンは、全てレベル10。Sランク相当だけれど、まあそれなりだ。

【剣技】のスキルが★3だし、【防御】のスキルは★2だから、シヴァニでも苦戦はしない。ブーストされた攻撃力が600万あるセシリアなら一撃だ。


 セシリアがだらりと剣を下げた状態で、こちらに向かって歩いてい来るデュラハンに近づいた。


 0.1ヤド(10メートル)ぐらいの距離で、セシリアとデュラハンは向かい合って立ち止まった。

 どうやらデュラハンは、騎士道を知っているのかもしれない。普通の魔物なら、様子を見ることはあっても勝負前の対峙はしない。


 そして――


 先にデュラハンが飛び出した瞬間、合わせるようにセシリアも動いた。


 カキン


 乾いた鋭い音が聞こえ、一瞬で二人が交差する。


 ドサッ


 鎧を斜めに断ち切られたデュラハンの上半身が地面に落ちて、首がコロンと転がり、黒い靄に包まれる。

 そして残った下半身も、そのまま黒い粒子になって空中に溶け込んでいった。


「す、すごい……」


 今の戦闘を見つめていたシヴァニがポツリと呟いた。


「大丈夫。すぐにこれぐらいはできるようになるから」


 俺の言葉が聞こえているのかいないのか、シヴァニは、剣をゆっくりと鞘に納めるセシリアを頬を赤らめながら見つめていた。


「あっ」


 セシリアが小さな声を上げる。

 どうやらレベルアップしたようだ。


 まあ、【けいけん】のひらがなスキルをかけているから、今討伐したのはデュラハン1,000頭分。ただの魔物ではなく、Sランクの魔獣だから経験値も多い。


「見てもいい?」


「ええ。どうぞ」


 セシリアの同意が得られたので確認する。



 名前:セシリア

 種別:人族

 年齢:17歳

 性別:女

 職業:勇者(■■■)


 レベル:1,102

 攻撃力:145,797(7,289,850)

 魔力 :118,543(5,927,150)

 防御力:118,227(5,911,350)

 精神力:135,178(6,758,900)

 運  :84


 スキル:【剣術(★★★★★:剣聖)】、【回復(★★★)】、【縮地(★★★★)】、【耐性(★★★)】、【灯り(★★)】、【集中(★★★★)】、【限界突破】、【鑑定(★)】、【魔力剣(★)】、【お■■く】



 おう! レベルが68上がっている。

 デュラハン1,000頭分の経験値は、シャドウ10万匹以上よりも相当多いようだ。


 20階層隠し部屋にいるデュラハンは、ステータスレベル100だから、経験値はさらに多くなるだろう。


「うん、いい感じだね。セシリアもせっかくだから各ステータス、20万を目指そうか?」


「わかったわ。頑張る」


「シヴァニは、10万を目標にしよう」


「え?」


 何を言っているのか分からない、といった表情をするシヴァニ。


 大丈夫。頑張って欲しい。



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