経験値
(おっ!?)
どうやら、レベルアップしたことで角も変化するようだ。
やがて――
光が落ち着くと、そこにはオレンジ色の角が。人族で言えばAランク相当か。
角の間隔はまだ縮まっていないが、とりあえずこれで二段階アップだ。
光が消えた角をシヴァニがペタペタと触っている。
「師匠、オレの角、どうなった――どうなりました?」
これまでも幾度も角が変化したことはあったはずだが、何かが違ったのだろうか?
「何か感覚が違っている?」
「はい。熱いです。熱いです。熱いです」
同じ言葉を三度も繰り返したところをみると、普通の出来事ではないようだ。
「うん、立派なオレンジ色の角になったよ」
「え????」
シヴァニの目がまん丸になる。口もポカンと開けている。
「お、オレンジ? だって、オレの角、緑色だったのに……」
「おめでとう。二段階アップだ」
「…………ここって、こんな簡単に色が変わる迷宮なんですか?」
「一応、シャドウはAランクの魔物だから。それを1,000匹倒した計算になるから、そんなもんじゃないかな」
「…………」
口を開けたまま固まっているシヴァニ。
まあ、まだ出だしだから、これぐらいで固まっているのじゃ困る。
なぜか、セシリアが憐れみを含んだ視線をシヴァニに向けているような気がするんだけれど…………?
そういえば、セシリアは何も変わった様子がないか、レベルアップしなかったのだろうか?
一応、今のステータスは確認しておこうか。
セシリアを【かんてい】すると…………
名前:セシリア
種別:人族
年齢:17歳
性別:女
職業:勇者(■■■)
レベル:1,021
攻撃力:135,276
魔力 :109,989
防御力:109,696
精神力:125,423
運 :84
スキル:【剣術(★★★★★:剣聖)】、【回復(★★★)】、【縮地(★★★★)】、【耐性(★★★)】、【灯り(★★)】、【集中(★★★★)】、【限界突破】、【鑑定(★)】、【魔力剣(★)】、【お■■く】
変化はなかった。
セシリアのステータスレベルは1,000を越えている。
Aランクの魔物だと1,000匹ぐらいでは、足りないようだ。
おっと。そういえば、【ふやす】で増やした分を表示させていなかった。
もう一度、【かんてい】スキルで確認してみる。
名前:セシリア
種別:人族
年齢:17歳
性別:女
職業:勇者(■■■)
レベル:1,021
攻撃力:135,276(6,763,800)
魔力 :109,989(5,499,450)
防御力:109,696(5,484,800)
精神力:125,423(6,271,150)
運 :84
スキル:【剣術(★★★★★:剣聖)】、【回復(★★★)】、【縮地(★★★★)】、【耐性(★★★)】、【灯り(★★)】、【集中(★★★★)】、【限界突破】、【鑑定(★)】、【魔力剣(★)】、【お■■く】
うん、前回【ふやす】で増やしたときは10倍だったけれど、今回はシヴァニもいるから50倍にしたから、セシリアも50倍になっている。
【ふやす】でブーストした分で見ると、ステータスは全て500万を越えた。このステータスがあれば、迷宮内で危うくなることはもうないな。
一応、シヴァニもブーストした状態を見ておこう。
名前:シヴァニ・メリディナル
種別:鬼人族
年齢:16歳
性別:女
職業:神官
レベル:218
攻撃力:2,616(130,800)
魔力 :2,834(141,700)
防御力:2,576(128,800)
精神力:5,241(262,050)
運 :34
スキル:【剣術(★★★)】、【結界(★★)】、【灯り(★)】、【縮地(★)】
ふむ。ブーストした状態でようやく素のセシリアと同じぐらいか。
それでもセシリアにステータスの値が並んだなら、額の角の色は白になってもおかしくないはずだから、角はブーストされた分はカウントしない、ということだな。
これぐらいのステータスがあれば、浅い階層ならばデュラハンと戦っても大丈夫だろう。というか、デュラハンを何度か倒して【けいけん】のひらがなスキルが1,000倍の経験値を与えてくれたら、角の色も白になるかもしれない。
というか、あれだ。
シヴァニとセシリアのステータスレベル差は5倍ぐらいだけれど、ステータスそのものの値は50倍の差がある。
これは、勇者の職業を持つセシリアが特別だということを意味しているはずだ。
あとは、シヴァニに求められている経験値が、どれくらいなのかということだ。
こればっかりは、個人差が大きいから分からない。
俺の場合は、経験値が関係なく、魔物を一匹倒す、だけれどね。
ただ「神官」と「勇者」の職業差を考えると、「神官」の方が上がりやすい気はするんだけれど……
俺の知識の中にある、地球のRPGのゲームとこの世界の現実は等しいわけじゃないから、少し様子をみるしかないか。
とにかく、シャドウを一匹倒してAランクなら、一日100匹、3週間を目安にして修行したとするなら、2,100匹、経験値で考えると210万匹分の経験値が得られることになる。
デュラハンを倒さなくても、角の色が白にというのが決して夢物語ではないはずだ。
あとここでの討伐は20階層に置こうと思っていたけれど、ダークエルフ族の冒険者たちが降りてくる日以外は、そこまで深く潜らなくてもよさそうだ。
たぶんシヴァニのステータスレベルが1,000を越えても、ステータス自体は1万を越える程度で終わりそうだしね。
楽な階層で叩けた方が、シヴァニが一人で戦闘できることを考えれば修行として相応しいはずだ。
「シヴァニ、頑張って序列戦出場も目指そう」
「え? 序列戦に? オレが?」
「うん。大丈夫。せっかくだから決勝トーナメントもベスト4ぐらいを目標にしよう」
「え? 決勝トーナメント出場じゃなく、ベスト4?」
「そうそう。目標は高い方が良いからね」
たぶん、このまま3週間頑張れば、角の色も上から2番目となるピンク色、人族の冒険者ランクでSSランクは固いはずだ。上手くいけばセシリアと同じ白色も考えられる。
そして、目を白黒させているシヴァニを引っ張るようにして、俺たちは下の階層を目指すことにした。




