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ぷらすわん ~1しか上がらないけれど、最強が目指せます~  作者: 雷風船
第一章 運命の扉

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追憶(12)選択肢



 俺が首を傾げていると、ラヴィンが指を二本立てた。


「まず一つ目ね。ルイが訪れた祠は、いわゆる転移の魔道具といった役目を持っているの。だから、魔石を使って、祠からルイをどこかに転移させるという方法。ただ問題は、転移石を使うわけじゃないから、どこに転移させることができるのかが、私でも分からないということかしら?」


「な、なるほど……転移先は、やっぱりどこかのダンジョンになるんですか?」


「残念だけれど」


「しかも……ボス部屋?」


「そうね。残根だけれど」


 残念を繰り返さないで欲しい。


 というか、一つ目の選択肢を選べる理由が分からない。

 うん、一つ目の選択肢はないな。無理。


 ただ、ラヴィンの表情を見ていると、それを選べとは言っていないことが分かる。単に可能性の一つとして提示しただけだ。


「じゃあ二つ目は?」


「二つ目は、私が協力してあげるから、魔草を自分でしっかり抜けるようになるまで修行をすることね」


「パワーレベリング?」


「パワーレベリングって、ゲームの?」


「はい」


 召喚されたときのスライムを剣で刺していた方法を俺は思い出していた。


「違うわよ。あなた自身が少しずつ育って、強くなれるように協力してあげるわ、と言っているのよ。レベル上げは、全てあなたが自分で行わなければならないわ」


「なるほど……じゃあ、自分でしっかり魔草を抜くためには、ステータスがどれくらいになればいいんですか?」


「そうね……最低でも1,000あれば、1日で何本か抜けると思うわ」


 1,000ということは、千本の魔草を抜くということか。


「ちなみに……俺が千本の魔草を抜くための時間って、どれぐらい必要なんですか?」


「うーん、正確な時間は分からないわね。少なくとも周辺部の一番抜きやすい場所で、そうね……魔草は、抜くというダメージを与えると、そのダメージは回復せずに蓄積したまま残るわ。だから、日をまたいでダメージを与え続けることができる。寝る時間と魔力の回復を考えると…………最初は二、三週間ぐらいで1本が抜ければ御の字かしら?」


(二、三週間に一本か……)


「ということは千本の魔草を抜くためには…………2週間で1本と計算すると―――――2,000週?――40年!」


「そんなにはかからないわよ」


 ちょっと、呆れた目で見られてしまった。でも師匠のそんな表情も可愛い。


「ステータスが伸びれば抜くための時間もどんどん減るわけだし。そうね、数年、というところだと思うわ」


 それもそうか。ステータスが上がれば、魔草に与えるダメージ量も増える、ということだ。問題があるとすれば、俺のステータスは、1レベルが上がっても――正しくは1本の魔草を抜けば、ということだけど……――ステータスが上がるのは1だけ、ということか。


 攻撃力が4から5に上がっても、さほど上がってはいないんじゃないかな。だって、この世界の人たちはレベル1に上がった時点で、攻撃力は最低でも10以上あるようだし。


 ということは、目に見てダメージを与える量が増えるのは、相当な時間が経ってから、ということだ。師匠は、40年もかからないと言っていたけれど、実際には数年じゃ収まらないんじゃないだろうか?


 それに、俺が思う数年だと4~5年だけれど、師匠の数年がどれくらいなのかが分からない。


 とはいえ、10年まではかからない、ということだろう。

 その期間を期間を長いとみるか、短いとみるか……


 難しい判断だけれど、俺の年齢が7歳ということを考えると、決して長くはないはずだ。

 仮に5年だったとすると到達するのは12歳。この世界の平均寿命がどれくらいかは分からないけれど、残りの数十年は、強さを身に着けた状態で生活ができることになる。


 うん、選択は一択だな。


「……分かりました」


 そして、俺は座りなおして姿勢を正すと深く頭を下げた。


「ラヴィンさん、いえ、師匠。俺を鍛えてください。お願いします」


「いいのね」


「はい。ステータスの上がり方がしょぼい俺が、この世界で自由に生きていくためには、師匠に鍛えてもらって得られる力が必要だと思うので」


 この島には、俺が倒せる魔物は魔草しかいない。そして、俺が外の世界で生きていくためには、それも自由に生きていくためには、千単位のステータスが必要、だと思う。


 何より、ラヴィン自身も分かっているはずだ。最初の選択肢を選んだ俺が、どこかのダンジョンのボス部屋に転移した場合、生きていられないということは。


 そう、最初から選択肢は一つしかなく、ラヴィンは俺が自分で決意することが何よりも大切だとだと考えていたのだろう。


 しばらくラヴィンが――師匠が俺の顔をじっと見つめる。


 俺も、師匠を見つめた。


 師匠はさっき、自分も「ひらがなスキル」を持っていると言っていた。ということは日本人なのだろうけれど、銀色が映える白い髪と白い肌は女神にしか見えない。


 美貌も凄いし。


 女神と名乗られたら、「ははぁぁ」とその場で土下座できる自信がある。


 俺と視線を重ねていた師匠だったが、やがて小さく頷いてくれた。


「――――わかったわ。じゃあ、とにかく一度、レベルアップにチャレンジしましょう」



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