風の温もり
名前:セシリア
種別:人族
年齢:17歳
性別:女
職業:勇者(■■■)
レベル:1,021
攻撃力:135,276(1,352,760)
魔力 :109,989(1,093,070)
防御力:109,696(1,096,960)
精神力:125,423(1,254,230)
運 :84
スキル:【剣術(★★★★★:剣聖)】、【回復(★★★)】、【縮地(★★★★)】、【耐性(★★★)】、【灯り(★★)】、【集中(★★★★)】、【限界突破】、【鑑定(★)】、【魔力剣(★)】、【お■■く】
元のセシリアのステータスはこちら。
名前:セシリア
種別:人族
年齢:17歳
性別:女
職業:勇者(■■■)
レベル:1,000
攻撃力:132,494(1,324,940)
魔力 :107,727(1,077,270)
防御力:107,440(1,074,400)
精神力:122,844(1,228,440)
運 :84
スキル:【剣術(★★★★★:剣聖)】、【回復(★★★)】、【縮地(★★★★)】、【耐性(★★★)】、【灯り(★★)】、【集中(★★★★)】、【限界突破】、【鑑定(★)】、【魔力剣(★)】、【お■■■】
レベルが21上がって、1,021になった。ゴッドシープの経験値は、すごいものだったことがわかる。
レベルが1,000台だと、SSSランクの魔獣を一人で倒しても、レベルが1上がることはないんじゃないかな。
それに今回、ボスを討伐したのは俺だ。セシリアは補助的に立ち回っただけだから、経験値が得られる配分は俺の方が多いはず。まあ、俺の場合は、どれだけ経験値を貰おうと、そこに意味はないんだけどね。
そしてセシリアには、【けいけん】のひらがなスキルが、かかったままになっていたから、得られた経験値は1,000倍なんだけれど、それでもこのレベル帯で21も上がったのは、すごいことだと思う。
そして、合わせてステータスも上がっている。【ふやす】で底上げした魔力が少し減っているのは、このボス部屋の戦闘で使ったものだろう。
運が上がっていないのは、なぜかなと思うところはあるが、これはまあいい。
俺が驚いたのは――伏字のスキルだった。
また、新たに一文字「く」が露わになった。
セシリアが、師匠の転生体ならば、このスキルは【おんがく】のはずだから、「く」が現れたことに驚きを得たわけではない。
俺がドキリとしたのは、この伏字が全て明らかになったとき、「何が起きるのか?」ということだ。
「お」が現れたのはセシリアと会って、まだ一か月もしない頃。
そして、「く」は「お」が現れてから一週間も経っていない。
セシリアが生まれて17年、一切姿を現すことがなかったこの伏字が、たった2、3週間で2文字も明らかになった。
その原因は――――たぶん、二つある。
一つが俺だ。
そしてもう一つは、「お」が現れた状況、そして「く」が現れた状況を考えれば、セシリアを取り巻く環境が大きく変化したときのように思える。
ゾクリ
言い知れぬ感覚が俺の背中を走った。
セシリアが不思議そうな表情で俺を見つめている。
何か言葉をかけようと考え、そして俺は何も言葉を口にすることができないでいた。
それは、前にも考えたいろいろな想いのせい。
このまま「おんがく」の文字が全て現れた時、セシリアはどうなるのだろうか?
師匠の魂が目覚め、セシリアの魂は封印されるのだろうか?
あるいは、師匠とセシリアの魂が入り混じる感じで新しい目覚めを迎えることになるのだろうか?
そして――――
もっとも大きな問題は、いや俺がもっとも考えなければならないのは、俺はどうなって欲しいと考えているのか、ということだ。
セシリアと会う前なら、「師匠に会いたい」という思いだけで突っ走ってきたと言える。
この1,000年と言う年月を、幾度も【かいしゅん】のひらがなスキルを使って、若返りながら、ひたすらに生を続けてきた。
試したことはないけれど、【かいしゅん】を使わなければ、俺は無事に寿命を終えることができたはずだ。
しかし、その選択肢は、俺にはなかった。
なぜなら、師匠に会いたいという強い想いを抱えていたから。1,000年と言う長い時間は、その想いに比べて決して長くなかったのは確かだった。
でも……
僅かな時間しかセシリアと過ごしていないはずなのに、もう遥か昔から一緒に歩んできたような感覚を俺は覚えている。
(ふぅ)
俺がセシリアと共に行動を始めたその根本には、間違いなく師匠ともう一度会いたい、という思いがある。いや、その想いこそが俺の1,000年という長い長い時間を支えてくれたことは間違いない。
かといって、このままセシリアの伏字が一文字、一文字露わになっていくのを見ていると、俺はなぜかセシリアを失ってしまうイメージが頭の中に浮かんでしまうのを覚えていた。
そして――――そのイメージは、師匠と再会したイメージよりも、俺の心に強く残り続けているように思えて仕方がない。。
分かっている。
その原因は、今、現在、セシリアが目の前にいるからだ。
(師匠……)
俺は思わず、忘却の彼方にいる師匠に、「どうしたらよいと思いますか?」と尋ねようとして、その問いが師匠の哀しそうな笑みに重なってしまい、どうしようもなく体が震えそうになって、それを必死で抑え込んでいた…………
■□■□
「ルイ、大丈夫? どうかした?」
セシリアの声に、俺はハッとした。
いけない、いけない。
あの「お」の文字を、セシリアのステータスの中で最初に見つけた時、詳しい話は伏字が全て明らかになるまで待って欲しいと言って、セシリアはそれを了承してくれた。
セシリアもたぶん、自分の伏字が明かされていくことに不安を覚え、そして同時に希望もそこに感じているんじゃないかと思う。
「うん……伏字がもう一文字、明らかになったよ」
俺は、セシリアを真っすぐに見ないで、少し下を向いて答えた。
「え! うそ!」
その表情は、確かに不安と希望が入り混じっていた、――――と思う。
そして、ステータスを確認したセシリアは、俺に笑いかけた。
「ふーん、今回は『く』なのね」
俺は、その言葉を聞いて、思わずセシリアを見上げていた。
「え?」
「ふふふ。ルイが何を考えているのか、今の私には分からないけれど大丈夫。何が起ころうと、私はルイを信じているし、どのような結果でもそれを正しく受け止めるから」
「…………」
戦闘が終わった迷宮のボス部屋は、環境としては穏やかに落ち着いている。もちろん、決して隙間風が吹くことはない場所だ。
でも……
俺は、確かに一筋の風が頬を撫でたことが分かった。
その風には、俺の愚かな迷いを、あきれ笑いしているかのように少しだけ温もりがあるように感じさせてくれていた――――




