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隣にはアイドルが座っているけどハッカーな俺には関係なかった 〜『修学旅行で消えた生徒を探せ』編〜  作者: ゆずさくら


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20/31

任務未達成

 通話が切れた後、後ろのタクシーを気にしていると、そのタクシーは次の交差点を左に曲がって消えた。

 顎髭サングラスは藤原から指示を受けて『南京都』へ向かったのだろうか。

 だとしたら『藤原』とつながっている事になる。

 藤原と直接つながっていないにせよ、藤原から出た情報の先にこの男たちがつながっていることになる。

 少し時間が稼げた。

 俺はそのまま行き先を変更して、高橋がいるはずの住宅街へ向かった。

 周囲に誰も見えないことを確認し下りる。

 俺はメッセージを入れる。

『高橋? どこ?』

 赤いジャージに黒いマスク、サングラス。

 このクソ暑い午後に、そんな格好でいるなら、すぐに目に止まりそうだ。

 メッセージに既読はつかない。

 何かがあったのだろうか。

 俺は事務所に電話してみる。

『住山くんだね』

 以前の一日警察署長イベントの時、仕切っていた金田マネージャーだった。

「あの、高橋の居場所が分からなくなってしまって」

『分かった。調べてみるよ』

 まるで動揺していない。

 金田さんにとっては、よくあること、あるいは想定内の出来事、といった感じだ。

『君はターゲットの捜索を続けてくれ』

「えっ? 高橋の捜索ではなく?」

『今の君が持っているタスクの優先度はターゲットの方が高い』

「は、はい」

 次の言葉を待っていたら、通話が切られていた。

 俺は日陰に入って、塀に背中を預けるとノートPCを開いた。

 体温測定用の中華タブレットが送ってきた情報は、最初に上がってきた本屋以外にもいくつか上がっていた。

 そのどれもがこの住宅街を中心とした生活圏であることを示している。

 次に俺はこのパソコンでずっと動かしていた『定期的に接続可能なWiーFi』の履歴を追った。

 失踪前の携帯は破棄されていたが、さっき見た七星は携帯を持っていた。

 変に設定をいじってなければ、七星のスマフォがテザリング、あるいは、近接スマフォとのデータのやり取りを行う為の、WiーFi電波を飛ばしていたはずだ。

 しかも、携帯なので割と個人名に近いものを設定していることが多い。

 時間帯などから七星の携帯が出しているWiーFiと思われるものをピックアップする。

 彼女のスマフォ(と思われるもの)が近づけば、この『定期的に接続可能なWiーFi』を調べるソフトからアラームを出すよう仕掛ける。

 後はこの住宅街を地道に歩けば……

「!」

 いきなりアラームが鳴った。

 慌てて停止すると、感じている視線の方に、ゆっくりと振り返る。

「私を探してる?」

「……」

 七星を見つけた。

 だが手足を縛れるわけでもなく、どうすれば良いのかわからなかった。

「住山、だっけ」

 俺は頷く。

「君、何を知ってる? ちょっと!」

 彼女は数歩退いた。

「これ以上近づくなら逃げるわよ。君のからだ強くないのは知っているんだから」

「何故あなたを探すのか、その理由を、俺は知らないんです」

「……話す気も、捕まる気もないわよ」

 マズった。

 もし彼女がこの周囲に住んでいたとしても、今日はここに戻ってこないかもしれない。

 そうなるとこの京都を丸ごと探さねばならない。

 今ここでなんとか捕まえないと。

「俺の作ったスクリプト」

「……」

「にせ札作るためだ、なんて聞いてないです」

 七星は、目線をずらした。

「そう。そういうこと気にしないと思ってたけど…… 君に迷惑かかってるってことね。そこだけ説明しよっか…… じゃあ、向こうの通りにあるお店に行きましょうか」

 Tシャツにスエットの七星について行くと、住宅街を抜け、車通りの多い道にでた。

「そこの店なら騒がしいから大丈夫かな」

 大手チェーンのハンバーガーショップだった。店内は賑わっており、BGMも掛かっていて、会話が聞こえたとしても意味をとるには難しいだろう。

「奢ってあげるよ」

 俺は七星に飲み物とポテトを頼んだ。

「ポテト、私も食べようと思ってたんだけど、私はあまり食べれなから、ワンサイズ大きいのにしてシェアするんでいい?」

 俺はお礼をして、トレイを運ぶと、七星が先に壁側に座った。

 対面する側の席に座ろうとすると、彼女は左手で席を叩いた。

「ここに来ないと話せないじゃない」

 よくわからないが、俺は壁側の席に座った。

「ここだと店内側に顔を見えてしまいますが」

「もしかして、私、そんな状況なの?」

 俺は正直なところを話すべきか、悩んだ。

 必要以上に警戒されると、この後捕まえるのが困難になる。

 かと言って、警戒心を緩められると、半グレ集団に先に捕まえられてしまうだろう。

「俺には良くわかりません」

 七星は、俺の服を引っ張って、近づくように指図する。

 彼女は小さい声で言った。

「君に『にせ札』のこと言ってきたんだとしたら、警察関係者ね?」

「……」

「どうしてか? 実際、にせ札は作ったけど『私は』使ってないわ」

 にせ札を印刷しているのに、使わないというなら、何のために……

「だって、にせ札の事件、報道されてないでしょ」

「ええ。俺も調べましたが、一切出ていません」

「それが答えよ」




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