6.部長の幼馴染、部長の刺身のつけあわせ
いやタイトル謎すぎますね。
説明すると長くなりますね。
うーん、省略すると・・・
「悠貴部長の自宅にお邪魔させていただこうと思っています。」
「ごふっ・・・!あいつの家?」
あいつって・・・上司に対しても余裕のチャラさですね。
悠貴部長とは違って常に両端が上がっている唇から紡ぎだされた代名詞に、チャラ男らしさの一辺が垣間見えます。
「あー、で?どこのマンションかわかんなくて困ってる感じかな?」
はい。
「さすが先輩、お見通しですね!さすがです。」
「ん?」
・・・やってしまいました。
心の声と逆に・・・!
「そ、そっか。俺も俺だけど、君も結構ナンパに向いてるよね。」
「お褒めの言葉ありがとうございます!」
「ほめてると思った?・・・で、あいつの家だけど、俺の部屋の隣だよ?」
今度は私がむせる番でした。
「お、鍵持ってんだ。ふーん、あいつがね。」
「「悠貴部長とどういう関係?」」
かぶりましたどうしましょう。
少し高い位置にある顔を見上げてかたまりました。
「とりあえず入って話そうか。」
「ですね・・・。」
もう遠い記憶の中で受け取った鍵を、鍵穴に差し込みました。
初めて、自宅以外の部屋に入ります。
あれ、でもこれからは自宅なのでしょうか。
一歩踏み入れると、生活感のない香りと景色が広がっていました。
知ってましたが・・・。
「あいつ、何か月帰ってきてないのかなぁ。」
月単位なんですね。
さすがブラック・・・。
「あれ?何年?」
変なところで悩み始めた先輩を玄関に取り残して、リビングらしきところまで進みました。
すっと足を動かすと埃がもうもうと舞いました。
「ぅげっほ、ごっほ・・・ひ、ひどい・・・。」
何年も人が住まなければこうなりますよね・・・うぅ苦しいです。
玄関からは1直線にリビングまで廊下が伸びています。
部屋は寝室、水場、リビングの3つですね。
キッチンはリビングにあるようですが・・・。
「3年6か月か!!」
叫んだ先輩が走ってきました。
よかったですね、長いですね、ブラックですね、でもそんなに走ると・・・
「ごほっ、げほ、げほ・・・ひぃ、苦しい。」
デスヨネー。
中に入ったかといって全く落ち着ける環境ではありませんし、いやむしろ体には悪い・・・。
まさか部長、掃除させる目的で私を家に住まわせるつもりなのでしょうか?
「もしかして、あいつが君を使用人代わりにしようとしてると思ってる?」
ギクッ
埃だらけのフローリングと、先輩の顔を交互に見ます。
「違うよ。あいつは、君にそんなことしない。大方、考えが及ばなかったんだろ。あいつ不器用だからさあ、許してやって。」
根拠はないのに、こんなにチャラいのに。
先輩が語る悠貴部長の姿は、真実のごとく心に響きます。
「呂木先輩は・・・部長と幼馴染ですか?」
「おっ、惜しいね。26年の付き合い。」
先輩は26歳で、部長は27歳。
つ~ま~り?
「俺が生まれてから一緒だったよ。でも詳しいことは今度ね?」
丸め込まれた気がしなくもないですが、先輩とも部長とさえも、こんなに話したのは今日が初めてです。
プライベートに踏み込みすぎるのは気が引けますし・・・流しますか。
「あ、で、私ですよね。私は部長の妻です。」
「つま?あぁ、刺身の下の大根?」
・・・なんかそんな気はしてました。
つま・・・刺身の下にある、大根をほそーくした、刺身の付け合せ。
食べる人も食べない人も。
僕は炒めて食べる派です。




