2.5徹は限界ですよね。
のうぇっ!ブクマが1件増えてる・・・!!!
本当にありがとうございます感謝の念しかございません精進します!
ただ!『お義兄様は無自覚転生者(以下略)』のブクマが1件減りました( ;∀;)
途中で飽きられたのではないことを願っています。
最後まで読んでから外してください、お願いします。どうか・・・!
定時さん来ないでください定時さん来るな頼むから定時来るな・・・。
おっと、お口の治安が悪くなってしまいました。
というか、定時っていつでしたっけ?
その存在自体あるのか定かではなかったのですが・・・んん~?
仕方なく・・・注意されたのに懲りないと自分でも思いますが・・・隣で茶色の髪を振り乱す(?)ユイカに訊ねることにしました。
「ユイカ、定時とはいつでしょうか。」
「・・・。」
「ユイカ?」
「い、いつやった?覚えてないわ、うわぁ・・・重症やなぁ。」
重症・・・まさかユイカは病気を患っているのでしょうか。
それで記憶が混濁しているか、記憶が消えているか・・・。
・・・ということは、同じ症状が出ている私も病気!?
あぁ・・・でも上司様の呼び出しの前に病気で倒れることができたらそれもそれでよいのかもしれませんね。
「・・・病気やと思ってるやろ。」
パソコンをタイピングする手を止めないままチョコレイト色の目をちょっと私に合わせてきます。
そんなに考えてることが分かりやすいですかね、私。
「ちゃうわ、ブラックな環境に慣れ過ぎてる、ってこと。・・・定時のことは部長にでも聞き。」
なるほど。
部長・・・は無理ですね!
しかも運が悪いことに、私の机は誰よりも部長の席に近いのです。
新入社員なので部長の目が届く範囲に置く・・・ということらしいですが、全く嬉しくない気遣いです。
無表情で、淡々と電話に応答する部長。
白い肌に、髪の影が映えて美しいです。
こんな会社に就職していなければ、モデルや俳優でもいけるかもしれません。
あ、でも表情がなさ過ぎて駄目かもしれませんね。
ぼんやりそんなことを考えていると、受話器から漏れた怒鳴り声が聞こえました。
慣れたものですが、私は直接受けたことはないので、やはりびくびくとしてしまいます。
電話は基本的に部長に回すことになっています。
なんでも、対応が神という事ですが・・・先ほどの話し方は傲岸不遜でとてもお客様に対して使えるような言葉ではありません。
今までそこまで注意して聞いたことはなかったのですが、特別です。
仕方がないので、下調べのために聞くことにしました・・・仕方がないので!!
『あんたに紹介された会社、ガチでヤバいんだけど!あんたらちゃんと調べたの!?俺に適当に勧め
たんじゃねえの?』
紹介した会社がお客様の希望に沿わなくて、クレームが入ってくる。そんなことは日常茶飯事です。
こっちも一生懸命に探した会社ですが、欠点をすべて見つけられるわけではありません。
私であれば「申し訳ございません」で切ってしまうような電話です。
しかし、部長はそれで終わらせませんでした。
「お客様、ご期待に沿えなかったようで申し訳ございません。弊社の責任です。しかし誠心誠意努めさせていただきました。」
無表情なのに、声だけは震え気味で本当に申し訳ないと思う気持ちがひしひしと伝わる声でした。
いや、演技なのは見ればわかりますが。
その上、自分の主張もする技術・・・さすがです。
『はぁ?その結果がこれな訳?マジかよ、こんなところ頼むんじゃなかったわ。』
「お客様のおっしゃる通りです。弊社の力不足でした。わたくし、弊社の営業部部長の氷室悠貴と申します。」
お客様の前での一人称は「わたくし」ですか。
なるほど、情報ゲットです。
部長がネクタイを少し緩めました。
同時に先程よりも目線が鋭くなります。
『だから何だよ!切るぞ?』
「お代金は頂きませんので、もう一度紹介させていただけませんでしょうか。必ずお客様にぴったりの会社をご紹介いたします。」
『・・・どうせ、また変な会社紹介すんだろ?』
「いえ、そのようなことはないと心からお誓いいたします。まずはお会いしたいと思いますが・・・。」
部長に押されたのか、お客様がううっと呻き声をあげました。
『分かったよ、最後だからな!これでまた変な会社だったら噂流すからな!いいな!?』
脅しではないですか。
これは会社の経営に関わります。
さすがに部長もこの賭けにはのらないのでは・・・と耳を澄ますと・・・。
「ありがとうございます。全身全霊を傾け、お客様に対応させていただきます。では、予定のあいている日をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
『あー、そうだな・・・。』
うわ、お客様が完全に乗り気にさせられています。
部長、恐るべしです・・・!
え、本当に5徹してますか?
私は2徹で随分テンションがバグっていますが・・・自覚はありましたよ、はい。
5徹しているとは思えない神対応・・・何が違うのでしょうか。
全てですよね・・・きっと。
羨望の目で部長の顔を見た瞬間、電話を切った部長が顔をあげました。
ぎゃあっ!また注意されてしまいます!
・・・ぎゅっと目をつぶって聞こえるであろう氷点下の声に備えます。
・・・が、あれ?聞こえませんね。
ゆるゆると視線をあげると、部長の前に物体が見えます。
お化け!?ついに私、見えないものが見えるようになってしまった・・・?
「悠貴部長、この書類の確認をお願いします。」
・・・人でした、先輩です。
絶対にお客様と面会させられない、ド派手な金髪。
ピアスの穴、あけるの痛いのに5個も6個も開けています。
よくこれで採用されたな・・・と思いますが、仕事の腕は確かなので文句は言えません。
3徹のあとしっかり家で寝たらしい彼は、余裕綽々の顔で分厚い書類の束を差し出しています。
うわぁ、あれが今日中に仕上げた分ですか・・・。
私、あれの3分の2もいっていません・・・頑張らねば・・・!
さぁ仕事だ、とデスクに全集中しようとした瞬間です。
バサバサッ
「っ・・・悪い、俺が片付ける。
・・・部長?
思わず体ごと部長の方を向いてしまいました。
彼の机周りには大量の紙が広がっています。
片付けると言って立ち上がった部長。
その体が、ふらりと揺れました。
そんな彼の体を先輩がアニメのような慌てっぷりで支えて、椅子に座らせました。
「ちょっ、大丈夫かよ・・・大丈夫ですか、部長?」
あまりのことに先輩も口調が崩れてしまったようですが、言いなおしています。
さすが先輩、カバーが見事。
部長は視線をゆらゆらと彷徨わせた後、ふっと先輩の顔にピントを合わせました。
「あぁ、悪い。大丈夫だ。」
・・・あ。
黒い影・・・部長の後ろに見えたのは初めてです。
ユイカは裏表のない友達で大好きですが、部長も嘘をつかない人間だと思っていました。
でもまさか、ここで嘘ですか。
随分、強がりなのでしょうか?
俯き気味の上司様、珍しい光景です。
完璧な部長の仮面の下が少し見えたような気がします。
・・部長だって人間、5徹は限界ですよね。
ただの、「早希の部長観察日記」になっていますが、定時で上がったら展開変わるので!!
多分次回です!




