↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
やり過ぎた!  作者: 涙目
第七章 未来構想編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
109/130

第九話 人の選び方も十人十色

この物語は全てフィクションであり、実在する人物、事件とは一切関係ありません。

 応募者事前質問票を配布してから、数日が経った。


 最初の二十人を面接したときとは違い、今度は随分と順調に進んでいた。


 事前に回答を確認できるおかげで、面接では気になった部分を詳しく尋ねるだけで済む。


 もちろん、質問票だけで全てが分かるわけではない。


 けれど、何を確認すればいいのか分かっているだけでも、負担は大きく違った。


「……素晴らしいですね」


 私は、机の上に並べられた書類を眺めながら呟いた。


「何がでしょう?」


 テオドールが、不思議そうに首を傾げた。


「仕事が減りました」


「……ああ」


「同じ人数を確認するのに、こんなに時間が違うなんて。もっと早く思いつけばよかったですね」


 エレオノーラお姉様が、小さく笑った。


「ふふっ。ですが、実際に面接をしてみたからこそ、気づけたことではありませんこと?」


「……それもそうですね」


 私は、素直に頷いた。


 失敗したから、改善できた。


 そう考えれば、最初の二十人との面接も無駄ではなかったのだろう。


 ……できれば、もう少し楽な方法で気づきたかったけど。


「では、最終確認を始めましょうか」


 エレオノーラお姉様が、候補者の書類を手に取った。


「はい。今日で終わらせましょう」


 私は、力強く頷いた。


 ここまで来たのだ。


 何としても、今日で終わらせたい。


     ◇


 まず確認したのは、記録調査担当の候補者だった。


「マルクさんは、採用でいいと思います」


 私が言うと、テオドールも頷いた。


「私も賛成です。記録に不一致があった場合の確認方法が、とても具体的でした」


「ええ。以前のお仕事でも、記録を丁寧に扱っていらしたようですわね」


 エレオノーラお姉様も、同意した。


 マルクさんは、ボーリング地方のストライク領で商人の帳簿を扱っていた人物だ。


 最初の面接でも、数字が合わない場合に勝手な推測をせず、関係する記録を確認するという回答をしていた。


 追加の質問でも、その考え方は変わらなかった。


「……では、マルクさんは採用ですね」


 私は、書類へ印をつけた。


 続いて確認したのは、正式な職歴のない女性だった。


 食料品店で十年以上にわたり、仕入れや在庫、売上の管理を手伝っていた人物だ。


「こちらの方も、採用したいと思っています」


「私も賛成ですわ」


 エレオノーラお姉様が頷いた。


「職歴という形では残っておりませんが、実際に行ってきたお仕事は、十分に評価できるものですもの」


「そうですね」


 私は、書類を確認した。


「それに、記録が合わないときの確認方法も、きちんと説明できていました」


 テオドールも頷いた。


「……肩書きだけでは分からないものですね」


「本当にね」


 私は、微笑んだ。


「だからこそ、実際に何ができるのか確認する必要があるんでしょうね」


 その後も、候補者の回答と面接記録を照らし合わせながら、採用する人材を決めていった。


 業務分析担当では、問題を見つけるだけでなく、原因を調べ、改善案を具体的に説明できる人物を選んだ。


 調整担当では、相手の話を正しく理解し、必要な情報を伝えられる人物を重視した。


「……こちらの方はいかがでしょう?」


 エレオノーラお姉様が、一枚の書類を差し出した。


 以前、貴族家で侍女を務めていた女性だった。


「ああ、あの方ですね」


 私は、書類へ目を落とした。


「対応は丁寧でしたし、相手の話を聞くのも上手でしたね」


「ええ。ただ、ご自身で判断することには、あまり慣れていらっしゃらないようでしたわ」


「そうですね」


 私は、少し考えた。


「でも、それなら最初から大きな判断を任せなければいいだけですよね」


 テオドールが顔を上げた。


「……仕事を覚えてから、少しずつ任せるということでしょうか?」


「そうです」


 私は、頷いた。


「誰だって、最初から何でもできるわけじゃありませんから」


「……なるほど」


「それに、何を自分で判断していいのか、きちんと教えてもらわないと困りますよね」


 エレオノーラお姉様が、微笑んだ。


「ええ。採用する側にも、必要なことを伝える責任がありますものね」


「そういうことです」


 私は、書類に注意事項を書き添えた。


 採用後の教育については、担当者へ引き継いでおけばいい。


 私たちが、そこまで面倒を見る必要はない。


 ……というか、見たくない。


 そして、最後に残ったのは、最初の面接で貴族派に近い考え方を示した男性だった。


「……この方ですね」


 テオドールが、少し慎重な声で言った。


「ええ」


 私は、書類を手に取った。


 以前、伯爵家の領地行政に携わっていた人物。


 業務分析担当を希望しており、実務経験も十分にある。


 ただし、国家運営に関する考え方には、私たちと異なる部分があった。


「……追加の質問には、きちんと回答していますね」


 私は、権限と責任についての項目を確認した。


 与えられた権限の範囲で判断し、その結果については担当者として説明する責任を負う。


 問題が生じた場合は、原因を確認し、必要な報告と改善を行う。


 少なくとも、書かれている内容に問題はない。


「……どうなさいますの?」


 エレオノーラお姉様が、静かに尋ねた。


 私は、書類を見つめた。


 正直に言えば、少し怖い。


 けれど、それと採用するかどうかは別の話だ。


「……採用候補に残しましょう」


 私は、答えた。


「実務能力はありますし、仕事に対する回答にも問題はありませんから」


「……そうですわね」


「ただ、権限の範囲と責任については、採用後に明確にしてもらいましょう」


 私は、引き継ぎ事項へ書き込んだ。


「もし、実際の行動が回答と違うなら、そのとき対処すればいいんです」


 エレオノーラお姉様は、静かに頷いた。


「ええ。それでよろしいと思いますわ」


 テオドールも、頷いた。


「私も賛成です」


 私は、小さく息を吐いた。


 ……よし。


 これで、最後の候補者まで確認できた。


     ◇


「……終わった」


 私は、机に突っ伏した。


「ふふっ。お疲れ様でしたわ」


 エレオノーラお姉様が、楽しそうに微笑んだ。


「リリアーナ姉上、本当にお疲れ様でした」


 テオドールも、嬉しそうに声をかけてくれた。


「……二人も、お疲れ様でした」


 私は、顔を上げた。


 採用する人材は決まった。


 あとは、選考結果と引き継ぎ事項を王宮の担当者へ渡せばいい。


 もちろん、正式な採用手続きは残っている。


 けれど、それは私たちの仕事ではない。


「……これで、ようやく休めますね」


「ええ。そうですわね」


「僕も、少し安心しました」


 私は、満足して頷いた。


 人材登用。


 最初は、ただ優秀な人を選べばいいだけだと思っていた。


 けれど、実際にはそう簡単ではなかった。


 同じ能力を持っていても、得意な仕事は違う。


 立派な経歴があっても、任せたい仕事に向いているとは限らない。


 逆に、正式な職歴がなくても、十分な能力を持っている人もいる。


 そして、採用した人が力を発揮できるかどうかは、仕事を任せる側にも関係する。


 ……なかなか勉強になった。


 もう一度やりたいかと聞かれたら、絶対に断るけど。


     ◇


 それから、十日ほどが過ぎた。


 私たちが選んだ人材の採用手続きは無事に完了し、新たに設立される王宮業務改善局へ配属されることが決まった。


 その間、レオナルドお兄様たちとヴィクトリアお姉様たちも、それぞれの採用を終えたらしい。


 そして今日。


 七人の王位継承者が揃って、お父様へ採用結果を報告することになった。


「……久しぶりですね」


 私は、王宮の廊下を歩きながら呟いた。


「何がでしょう?」


 テオドールが尋ねた。


「七人揃って、お父様に報告することですよ」


「……確かに、そうですね」


 エレオノーラお姉様が、微笑んだ。


「皆、それぞれの仕事をしておりましたものね」


「ええ」


 私は、頷いた。


「……それにしても、他の二組はどうだったんでしょうね」


「気になりますの?」


「はい。質問票を渡したので、少しは役に立ったのかなと思いまして」


 お姉様が、小さく笑った。


「ふふっ。それなら、今日のお話で分かるかもしれませんわね」


「そうですね」


 私は、頷いた。


 ……できれば、みんな無事に終わっていてほしい。


 誰かの採用が終わっていなかったら、手伝うことになるかもしれないから。


 そんなことを考えているうちに、国王の執務室へ到着した。


     ◇


 室内には、すでに他の四人が揃っていた。


 第一位のレオナルドお兄様。


 第二位のヴィクトリアお姉様。


 第三位のユリウスお兄様。


 そして、第六位のシャルロッテ。


 私たちが入室すると、レオナルドお兄様が微笑んだ。


「やあ、リリアーナ。久しぶりだね」


「お久しぶりです、お兄様」


「質問票、助かったよ」


「……本当ですか?」


「ああ。最初に必要な情報を集められたおかげで、面接の時間を随分と減らせた」


「それはよかったです」


 私は、ほっとした。


 どうやら、役に立ったらしい。


「私たちも、参考にさせていただきましたわ」


 シャルロッテが、にこやかに微笑んだ。


「特に、権限と責任についての質問は、企画局でも重要だと感じました」


「そうですか」


「ええ。新しい企画を提案する以上、その結果についても考えられる方でなければ困りますもの」


 私は、頷いた。


 ……なるほど。


 確かに、企画だけ考えて、後は知らないという人では困る。


「危機管理局でも活用しました」


 ヴィクトリアお姉様が、淡々とした口調で言った。


「ただし、私たちは緊急時の判断について、より詳しく確認する質問を追加しています」


「そうなんですね」


「ええ。平時の判断と緊急時の判断は、必ずしも同じではありませんから」


 ユリウスお兄様も、頷いた。


「危機管理局では、判断をためらうことが被害につながる場合もある。そこは重点的に確認した」


「……なるほど」


 私は、感心した。


 同じ質問票を使っても、重視する部分は違う。


 やはり、それぞれに任せて正解だったらしい。


「……さて」


 そのとき、お父様が口を開いた。


「全員揃ったようだな」


 私たちは、姿勢を正した。


「では、始めよう。まずは、それぞれの採用結果を聞かせてもらおうか」


     ◇


 最初に報告したのは、レオナルドお兄様とシャルロッテだった。


「企画局では、新しい発想を持つ人材だけでなく、それを実現するための計画を立てられる人材を重視しました」


 レオナルドお兄様が、書類を差し出した。


「発想力だけでは、企画は形になりません。必要な費用や人員、実現までの手順を考えられることも重要だと判断しました」


「なるほど」


 お父様が頷いた。


「シャルロッテは、どう考えた?」


「はい、お父様」


 シャルロッテは、丁寧に頭を下げた。


「私は、他の方々と協力できるかどうかも重視いたしました」


「ほう」


「どれほど素晴らしい企画でも、一人では実現できないことがございます。ですから、ご自身の考えを説明し、周囲の意見も受け入れられる方を選びました」


「そうか」


 お父様は、満足そうに頷いた。


 ……なるほど。


 企画局は、考えるだけでは駄目なのか。


 確かに、実現できない企画ばかり出されても困る。


 続いて報告したのは、ヴィクトリアお姉様とユリウスお兄様だった。


「危機管理局では、情報の確認と伝達、緊急時の判断能力を重視しました」


 ヴィクトリアお姉様が、落ち着いた声で説明した。


「特に、情報が不足している状況で、どのように判断するかを確認しています」


「なるほど」


「また、判断に迷った場合、どの時点で上位の責任者へ報告するかについても質問しました」


 お父様が頷いた。


「ユリウスは?」


「現場での対応能力を重視した」


 ユリウスお兄様が、はっきりと答えた。


「緊急時には、全ての情報が揃うまで待てない場合もある。限られた情報で判断し、必要なら即座に方針を修正できる人材を選んだ」


「そうか」


「ただし、独断で動くことと、自ら判断することは違う。命令系統を理解しているかも確認した」


 私は、思わず頷いた。


 ……確かに。


 危機管理局で好き勝手に動かれたら、かえって被害が大きくなるかもしれない。


 そして、最後は私たちの番だった。


「王宮業務改善局では、記録調査、業務分析、調整の三分野に必要な人材を選びました」


 私は、書類を差し出した。


「経歴だけではなく、実際に何ができるかを確認しています」


「ほう」


「例えば、正式な職歴がなくても、十年以上にわたって在庫や売上を管理していた方がいました。その方は、記録調査担当として採用しています」


 お父様が、興味深そうに頷いた。


「なるほど。エレオノーラは?」


「私は、採用した方々が、どのような環境で力を発揮できるかを考えましたわ」


 エレオノーラお姉様が、微笑んだ。


「優秀な方であっても、任される仕事が合っていなければ、その能力を十分に生かせないかもしれませんもの」


「そうか」


「ですから、採用後に注意していただきたいことも、引き継ぎ事項としてまとめました」


 お父様は、頷いた。


「テオドールは?」


「はい」


 テオドールが、少し緊張した様子で答えた。


「私は、分からないことを、そのままにしないよう心がけました」


「ほう」


「応募者の方が立派なことをおっしゃっていても、私には意味が分からないことがありました。ですから、具体的にどういうことなのか、質問するようにしたんです」


「なるほどな」


「そうすると、最初に思っていたことと違う答えが返ってくることもありました。きちんと確認することが大切だと分かりました」


 お父様は、満足そうに頷いた。


「……よく分かった。三組とも、それぞれの役割を果たしたようだな」


 私は、ほっと息を吐いた。


 ……よかった。


 これで、報告は終わりかな。


     ◇


「では、最後に一つ聞こう」


 お父様が、私たち七人を見渡した。


「今回、お前たちは人材を選ぶ立場だった」


 私たちは、静かに耳を傾けた。


「人には、それぞれ得意なことがある。任せる仕事によって、その能力を生かせるかどうかも変わる」


 お父様は、少し間を置いた。


「では、お前たち自身はどうだ?」


「……私たち自身、ですか?」


 レオナルドお兄様が尋ねた。


「ああ」


 お父様は、頷いた。


「自分が得意とすることは何か。そして、誰に何を任せれば、国はより良く動くと思う?」


 室内が、静かになった。


 私は、少し考えた。


 ……得意なこと、か。


 エレオノーラお姉様は、人と話すことが得意だ。


 相手の気持ちを考えながら、交渉や調整を進められる。


 テオドールは、人の話を丁寧に聞き、分からないことを確認できる。


 レオナルドお兄様は、物事を計画的に進めるのが得意だろう。


 ヴィクトリアお姉様は、冷静に状況を分析できる。


 ユリウスお兄様は、緊急時の判断や指揮が得意だ。


 シャルロッテは……。


 ……うん。


 人と話すのは、とても上手だと思う。


 そして、私は。


「……みんなで分担すればいいんじゃないですか?」


 思わず、口にしていた。


 お父様が、こちらを見た。


「ほう。どういうことだ?」


「だって、得意なことが違うんですから」


 私は、兄姉弟たちを見渡した。


「お姉様には交渉をお願いして、テオドールには情報収集をお願いして。レオナルドお兄様には計画を立ててもらって、ヴィクトリアお姉様には問題がないか確認してもらう」


「ふむ」


「ユリウスお兄様には、緊急時の対応をお願いできますし、シャルロッテには人との交渉や意見の取りまとめをお願いできますよね」


 私は、頷いた。


「だったら、それぞれ得意なことを担当すればいいと思います」


 お父様は、静かに私を見つめた。


「……では、お前は何をする?」


「……私ですか?」


「ああ」


 私は、少し考えた。


 そして、正直に答えた。


「……みんなが集めてくれた情報をもとに、どうすれば仕事が減るか考えます」


「…………」


 室内が、静かになった。


 レオナルドお兄様が、口元を押さえた。


 エレオノーラお姉様は、楽しそうに微笑んでいる。


 テオドールも、笑いをこらえていた。


「……何ですか?」


 私が尋ねると、お父様が、大きな声で笑い始めた。


「ははははは!」


「……お父様?」


「いや、すまん。実にお前らしい答えだと思ってな」


「……そうですか?」


「ああ」


 お父様は、笑いながら頷いた。


「だが、それでよい」


「……え?」


「全てを一人で抱え込む必要はない。人には、それぞれ得意なことがある」


 お父様は、私たち七人を見渡した。


「それを理解し、適切に役割を分担することも、大切な能力だ」


 私は、少し驚いた。


 ……あれ?


 褒められている?


「……ありがとうございます」


 私は、素直に頭を下げた。


 お父様は、満足そうに頷いた。


「今回の人材登用については、よくやった。三組とも、ご苦労だった」


 ……終わった!


 本当に、終わった!


 私は、思わず顔を上げた。


「では、これで失礼します!」


「……待て、リリアーナ」


「…………」


 私は、動きを止めた。


 ……何でしょう。


 まだ何かあるんですか?


「お前は、本当に仕事を減らすことしか考えておらんのだな」


「……そんなことありませんよ?」


「ほう?」


「……休むことも考えています」


「…………」


 お父様が、額に手を当てた。


 エレオノーラお姉様が、とうとう声を上げて笑い始めた。


 レオナルドお兄様も、肩を震わせている。


 ……何がおかしいんだろう。


 私は、首を傾げた。


「……まあ、よい。今日はもう下がれ」


「はい!」


 私は、元気よく返事をした。


 そして、兄姉弟たちと揃って頭を下げ、執務室を後にした。


     ◇


 廊下へ出ると、私は大きく息を吐いた。


「……ようやく終わりましたね」


「ええ。お疲れ様でしたわ」


 エレオノーラお姉様が、微笑んだ。


「僕も、ほっとしました」


 テオドールも、嬉しそうに頷いた。


 私は、二人を見た。


「……今回は、本当に助かりました」


「まあ。どうなさいましたの、急に?」


「いえ。お二人がいなかったら、もっと大変だったと思うので」


 私は、素直に答えた。


「お姉様は、私が気づかないことにも気づいてくださいますし、テオドールも、分からないことをそのままにせず確認してくれますから」


 エレオノーラお姉様が、優しく微笑んだ。


「こちらこそ、リリアーナのおかげで、随分と勉強になりましたわ」


「僕もです!」


 テオドールが、元気よく頷いた。


 私は、少し照れくさくなった。


「……そうですか」


 そして、ふと思った。


 人には、それぞれ得意なことがある。


 だから、一人で全部やる必要はない。


 今回の仕事で、それを改めて実感した。


「……では」


 私は、二人へ微笑んだ。


「今度、何か仕事を頼まれたら、また一緒にやりましょうね」


「ええ。もちろんですわ」


「はい!」


 二人が、嬉しそうに頷いた。


 私は、満足した。


 うん。


 これで、次に仕事を頼まれても安心だ。


 ……何しろ、道連れが二人もいるんだから。


 そう考えながら、私は軽い足取りで廊下を歩き始めた。



お読み頂き、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。