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14 握手

天顕魔法の概要は『都市ネルト強襲 一』に書いています。

 強大な魔法を放ったルルヴァは微動だにしない。

 

 一流の攻性魔法を専門とする魔法士が千人いても、ルルヴァと同じ【天顕魔法】を放つ事はでいないだろう。

 故に凡百の余人には想像すらできない。

 この魔法を放ち、なお己の魔力の十分の一も消費していない存在を。

 

 魔力切れの症状には個人差がある。

 だから凡人ならば考えるであろう。

 ルルヴァが魔力が尽きてしまった、と。


 * * *


 

「いやぁさすが俺達開拓者の頂点なだけあるぜ」


 ルルヴァ達の後ろに控えていた開拓者達がルルヴァ達へと歩み寄って来た。

 軽く笑いながら声を掛けてきた剣士や、その仲間達。

 緊張し、張り詰めた空気を纏うのは、ルルヴァの力に当てられたからか。

 ジルルクが彼らへと向き直り、いつもの軽薄な笑みを浮かべる。

 

「まあな。でもあれは青騎士の奥義の一つでな、あいつ今魔力切れ起こしてるんだわ」


 オーバーアクション気味にジルククは肩をすくめた。

 

「ほう、それはそれは」


 横のジュウゴは眼を瞑り腕を組んでいる。

 

「俺も長く開拓者やっているが青騎士みたいな奴は初めてだ。これでもA級なんだが、自信無くなるぜ」


 凍り付き、いまだに細氷(ダイアモンドダスト)の舞う峡谷の景色を見やる。

 

「星の聖女の部隊がヤバイって話は知ってたが……お前もこうなんか?」


「いやいや、まさか。俺はコネで入った数合わせだ。しかし一応騎士なんで戦場にも出なけりゃならん。だから【城斬り】に御守して貰って、こんなモンを持ち出して来てるんだよ」


 コンコンと傍らの球体を叩く。

 

「魔導球、ということはあんた魔法士か」


 剣士はじっと四つの魔導球を見る。

 高位魔法士が好んで使う魔導球は待機状態でも強力な魔力の波動を放つが、ジルルクの魔導球からはそれを感じられなかった。

 

「虚仮威しさ。俺は剣よりも魔法が使えるだけって話」


 ふむふむと剣士の男が頷く。

 所作に粗野な所があるが、しかし強面ながらも愛嬌のある男だった。

 

「聖女さんや他の奴らは? 姿が見えないが……」

「ここの司令官さんと話があるって。管理職は楽でいいね、ホント」

「そいつは同意するぜ。お偉いさんも下っ端の苦労を少しは知れってな」


 ハハハ、とお互いに笑い合う。

 

「そういや騎士さんに名前を言ってなかったな。開拓者のアジスだ。A級で【双連剣】って呼ばれてる」


 右手をジルルクへと差し出してくる。

 

「ジルルクだ。特に何か呼ばれる程の者じゃない」


 その手を握ろうとジルルクが手を伸ばす。

 

「そうか、じゃあな」


 アジスの左手が動き、瞬時に右に吊るされた剣を抜く。

 

「え?」


 白刃が弧を描き、ジルルクの首へと突き出された。

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