第七十四話 ― 同じ人間、でも誰もが同じように見えるわけじゃない(一)
わいわい...わいわい...
日差しが今や色を変えて、競技も一時中断した。
クラスメイトたちが列をなし、自分たちの荷物を片付けていく。
今日あったことを話しながら、みんなで帰っていく。
そうして、体育祭初日は終わった。
でも、
...
とこ...とこ...
結局、あの子はどこにいるの?
どの方向を探しても、ここにどれだけ立って待っても、
あの子は現れない。
今ならクラスのエリアに戻って鞄を取りに来るはずなのに!
また追加の仕事に引きずられてるの?
...
すっ……
そして気づく前に、
他の人たちがあの子の鞄を持って目の前から去っていった。
「先に待ち合わせ場所に行ってて!」
「俺たちがハルを見つけて連れて行くから、そこで一緒に食べよう!」
「先に宴会始めるなよ!」
...
そしてクラスの他の人たちも徐々に彼らを視界から隠していった。
「わかってるよ!」
「宴会なんかしないし!」
「初日の試合だけだぞ、優勝したわけじゃないのに宴会なんて!」
「でも遅れないでよ!」
「早めに帰らなきゃいけない人もいるし。」
...
なぜ...なぜなの...
なぜあの時...私はただ立って彼らを見てたの?
私もあの子に会いたかったのに!
一緒に行かせてよ!
なぜ...なぜ...
手を伸ばそうとして、足は少しずつ動いているのに、
どうして、声が出てこないの?
足が彼らを追って走ろうとしないの?
ただそこに立って、コバヤシさんとヤマザキさんを見送るだけ。
まるで...
...
ぽんっ.
「今そこに行っても何も解決しないよ。」
「とりあえず、あの二人にハックンと話してもらおう。」
「なぜ急にハックンがそうしてるのかわからないと...」
「クラス全員が行っても何もできない。」
すぐ隣に、いつの間にか、
ミズノさんが立っていて、二人の方向を見つめている。
そして、その手は私の肩をぎゅっと掴んでいた。
...
「安心して!」
「二人には注意して話してくるよう頼んだから。」
「今はクラスと一緒に食べに行こうよ?」
「何かあったら連絡してくるはず。」
ミズノさんはいつものように明るい笑顔を浮かべている。
でも、それが余計に何を言えばいいかわからなくさせる。
ミズノさんなら、今すぐハックンを連れ戻しに行くはずなのに。
...
...
「うん。」
そしてまた、私は何もしない選択をした。
ただ頷いてクラスについていくだけ。
.........................................................................
その日、みんなが小さな家族経営のレストランに着いた時、
みんな、水やちょっとした食べ物を頼んだだけだった。
今日の出来事を何度も話して、もう全部覚えてしまうくらいだった。、
明日もっとうまく戦うための小さな計画も出た。
でも、
...
あの子はそこにいなかった。
あの子だけじゃない、今回は、
コバヤシさんもヤマザキさんもいなかった。
誰も詳しい連絡をしてこなくて、
ただ一本のメッセージだけが届いた。
...
「大丈夫。」
...
今何を聞けばいいかわからない。
大丈夫ってどういうこと?
大丈夫なら三人でここに来ないの?
結局何かあったんじゃないの?
...
でも、私の指は、
そのメッセージを送れなかった。
打っては消し、打っては消し、
画面から目を離せなくて、
周りが盛り上がって話していても、
耳元で声がかかっても、
...
結局、私……どうしちゃったんだろう?
たった数週間、彼がクラスの輪から離れていただけなのに。
勉強を手伝ってくれるクラスメートで、
階段下でいつも一緒に昼飯を食べる友達で、
私の絵を待って座ってくれる人で、
それがどれだけ下手でも意味がなくても、
...
ぐすっ……
ただの...クラスメートなのに...
なぜ...
あの子に会うだけなのに...こんなに難しいの...
.........................................................................
たったっ...たったっ...
今日、二日目が始まる前に、
クラスのみんなが集まる前に、
昨日みたいに準備が忙しくなる前に、
今日は絶対に...
...
...
ぴたっ……
今日の校庭は、昨日とは違う。
テントももう建て終わっていて、
だから、こんな時間に来る人もいない。
たぶん...あの子もそう...
まさか...また...
...
「アマミヤさん」
「ここで何してるの?」
そしてまた諦める直前に、
その声が聞こえた。間違いない声。
でもそれだけに、
お願い、これが夢じゃないって言って。
怖い...振り返りたくない...
もし今度またあの子が行っちゃったら...
...
ずしっ......ずしっ……
「アマミヤさん?」
「どうしたの?」
「体の具合でも悪い?」
今、これが夢じゃないって言ってほしい。
大きな箱いっぱいに水のペットボトルを詰めて持っていても、
たとえ顔が汗でびしょびしょでも、
言ってほしい、
目の前に立ってるのは...
...
そっ……
「熱はなさそうだね。」
「寝不足?それとも今日早起きしすぎてまだ何も食べてない?」
いつものように、あの子は何も言わずに、
箱を横に置いて、
手を私の額に当てて、ゆっくり顔を近づけてくる。
もっと近くに...そして...
もっと近く?
...
はっ……!
「ハックン!!!」
「いつからそこに立ってたの?」
もう自分が何を言ってるかわからない。
ただ必死に後ずさりしてあの子の目から逃れようとするだけ。
でも、それは私が望んでたことじゃない。
急に...私はどうかしてるの?
どうして両頬がこんなに赤いの?
...
ふぅ……
「よかった!」
「急に何かあったのかと思ってた!」
あの子はいつものように、私が知っている笑顔を浮かべていた。
...
ひょいっ.
「ここで話してると変だし!」
「ついてきてくれる?」
「先輩たちが体育館に集まってるから。」
「ついでに朝食も食べて体力つけよう!」
「アマミヤさんは朝食食べた?」
「まだなら先輩に頼んでみるよ。」
「どうせ追加でもらえるし!」
あの子は水のボトルがいっぱい入った箱を持ち上げて歩き出す。
でも今回は、前回みたいじゃない。
...
「うん!」
もちろん、私はついていく!
....................
「ねえ後輩くん、彼女か?」
「見た目によらずちゃっかりしてるな?」
「まあ、俺たちがこいつをこのごたごたに引きずり込んだせいだし...」
「貴重なロマンチックな時間を邪魔してごめんね!」
...
「二人ともそんな関係じゃないです!」
「ただのクラスメートで、早く来ただけです!」
...
「へえ〜」
「本当に?」
...
...
ドアの外から、私はただあの子を見つめるだけ。
あの子が立ってるところには他の人もたくさんいて、
クラスでよくやる話し合いみたいに。
ただ、私は...
今あの子の隣に立つ方法がわからない。
...
...
「待たせちゃってごめん!」
なのに、あの子は外のこの席に戻ってきた。
両手におにぎりを一つずつ持って、
一つをまっすぐ私に差し出して、いつもの一緒に食べる時と同じ笑顔で。
...
「ありがとう。」
...
時間が急に遅くなって、周りの音がぼんやりしていく。
朝霧がすべてを飲み込んだみたいに。
残されたのはただ一つ。
手の中の握り飯を、できるだけゆっくり食べて、
私の目は、なぜか、
あの子から離れられない。
...
「俺の顔に何かある?」
あの子は絵を見るときみたいな丸い目で私を見ながら、
手で頬を何度も触って、そこにないものを探してる。
...
ふふ……
どうしてこの感覚をこんなに覚えてるの?
周りに誰もいなくなって、音もただの背景になって、
残ってるのは私とあの子だけ。
...
ふっ……
「...」急に、あの子が変な笑顔を浮かべる。
...
「ハックン?」
「どうしたの?」
「私の顔に何か付いてる?」
私は目を丸くしてあの子を見て、少し戸惑う。
...
「ごめんね。」
「ただ...」
「体育祭が始まってから、」
「いや、正確にはその前から、」
「こうやって座ってなかったよね?」
あの子は手を床に置いて、いつもの階段の方を見る。
...
「うん。」
「でもこのイベントが終わったら...」
「全部また普通に戻るんじゃない?」
無意識に私もあの子を真似して、
手を床に置いて、見慣れた階段を見つめる。
...
「そうだね。」
「でもこの数日忙しくてわからなかったんだけど、」
「クラスはこの数日どうだった?」
あの子の目が時々私の方をちらっと見る。
...
「みんな全力で頑張ってるよ!」
「うちのクラス、今トップみたい。」
「ツメコちゃんは予選を勝ったし。」
「コバヤシさんはコバヤシさんは一人で二勝もしてるし。」
「チーム競技は一等は取れなかったけど二等だったよ。」
「今日もこうならクラスの勝ちになる。」
私の指が少しずつあの子の手に近づいていく。
...
「そうか。」
「なら俺もっと頑張らないと!」
もうちらっと見ないで、あの子はまっすぐ校庭の方を見る。
...
「でも...この数日...」
「どこに行ってたの?」
「みんな...君を心配してるよ...」
やっと、聞けた。
...
「ただ生徒会のちょっとした雑用だけ。」
「でも登録した種目にはちゃんと参加させてくれてるよ。」
「今日も試合の予定がある。」
今度はあの子が急に私の方を向く。
あの子の目が、今回は、
何か今まで見たことのない感じ。
...
「見たかったら来ていいよ。」
「でも、バドミントンなんて見てもそんなに面白くないよ。」
「観客も少ないし。」
あの子のその笑顔が、変な感覚をくれる。
...
「絶対行く!」
「今日がどれだけ忙しくても、」
「たとえ一人でも、私は行く!」
私...何をしてるの?
気づけば、私はあの子に近づき、両手でその袖を強く握りしめていた。
...
「ありがとう!」
「でも無理しすぎないでね!」
「来れたら来て、忙しかったら大丈夫だから!」
急に少し安心した。
あの子の変な笑顔が、今は少しずつ消えていく。
...
「うん!」
.........................................................................
ごめんなさい。
ごめんなさい。
...
約束したのに、
あの子の試合を見に行きたかったのに、
でも、
...
今日の試合、なぜか、
男子たちが私たちをクラスのテントエリアに留めようとして、
応援の演技のために体力を温存しろって言う。
なぜなの?
午後になってから試合なのに、
せめて私じゃなくても、
誰かがハックンのところに行かなきゃ!
...
...
ぞろぞろ...ぞろぞろ...
「ヤマザキさん。」
「待って。」
「ゆっくり話して!」
「急に試合を棄権するなんて?」
「応援までやめるの?」
「クラスで一生懸命練習したのに!」
私の目はツメコちゃんを囲む男子たちのグループから離れない。
棄権...何を言ってるの?
みんなどうして引き留めようとしてるの?
そしてツメコちゃんのその顔は、
結局どうしたの?
...
(#`皿´)
ぶんっ!
「もういい!」
「試合したいなら自分で行けばいい!」
「私は棄権する!」
「期待に応えられなくて、」
「でももう楽しくない。」
ツメコちゃんの顔がしかめっ面になって、歯を強く食いしばって、
応援用のポンポンを机にぶんっと投げつけて、
それからどこか遠くへ去っていく。
...
...
でも、なぜ急に、
あの子はここにいないはずなのに、
「トガミのせいで全部こうなっちゃったんだ。」




