第七十二頁―僕と君、近いようで遠い
体育祭が近づくにつれ、最近の授業も少しずつ穏やかになってきた。
教師たちも最近は教室に姿を見せることが少なくなり、
時々数人の教師が様子を見に回ってくるだけだ。
…
その代わりに、
どの教室も今や装飾用の横断幕や道具の入った箱で溢れている。
ほとんどの生徒が、教室で使う道具や装飾の準備に集中している。
最近は練習場の需要も異常に高まっていて、
どのクラスも、使いたければ順番を待って予約を取らなければならない。
時々、五つ星レストランの予約をしているような気分になる。
…
そしてついに、僕のクラスも数日連続で練習場を使える番が来た。
みんなが一分一秒でも練習しようと張り切って駆けつける中、
練習が終わったらすぐ帰れるように鞄まで持っていくほどなのに、
僕はここ、見慣れた教室に残り、装飾の続きを黙々と仕上げている。
…
本当はみんなについていきたい気持ちもあった。でもよく考えると、
僕が参加する種目はほんの少しだけで、しかもサポートが必要な練習が多い。
練習場の使用時間も限られている中で、誰も僕と一緒に練習する余裕なんてないだろう。
だから今は、
僕ができる最善のことをしているだけだ。
チョキッ。
……………………………………………………………..
ガラッ…
またいつもの普通の朝で、見慣れた教室もいつものまま。
でも今週だけは少し違う。
今は僕のリュックと、昨日の残りの手作業の道具が入った箱以外に、
この部屋には他の鞄は一つもない。
…
それも当然だ。時間が限られているから。
クラス全体で練習場を借りられるのは一週間だけだから、みんな必死だ。
それに時間割通り学校には来なければならないから、練習時間もほとんど残っていない。
…
…
コンコン…
「失礼します!」
「確認のサインをもらいに来ました!」
そしていつものように、そんな人が現れる。
毎週チェックする人は変わるけれど、
誰が登校しているかを確認するためのサインをもらいに来るだけだ。
教師がほとんど来なくなって、特別な課題もないけれど、結局のところ、
今も登校時間だから、最低限校内にいなければならない。
…
スッ…
「はい、こちらです。」
「他のみんなは、下の練習場とグラウンドにいます。」
…
「わかりました。」
「じゃあ後でそちらに寄ります。」
そして簡単に、朝の手続きは終わる。
.........
ギコギコ…
トンッ…トンッ…トンッ…
こうして、その後の午前中はまた準備作業に戻る。
木を何枚か切り、釘を何本か打ち、途中まで描かれたポスターに色を塗り、
時々色紙の切れ端で応援用のポンポンを作ったり、
横断幕一本一本に「1-F」と書いたり。
…
本当に僕一人のアイデアとか、気まぐれとかじゃない。
数日前にみんなが提案したことだ。
節約できるものは節約して、どうしても必要なものだけ買う。
横断幕だけは、小さくてもクラスの印を残そう、と。
……….
もぐもぐ…もぐもぐ…
昼までずっと作業をして、周りの他のクラスも静かになった頃。
今ここでガチャガチャ準備を続けたら、他の人に迷惑をかけてしまう。
だから僕はただ、少し手を止める。
どこかをぶらつく代わりに、教室でそのまま昼飯を食べて昼寝すればいい。
…
普段なら、レンやシラカワさんと一緒に食堂に降りたり、
ツメコさんと道場で練習したり、
少なくとも外の階段でアマミヤさんと座ったりしていた。
でもみんなはもう練習場にいる。
今頃は体育館で昼飯を食べて休んでいる頃かもしれない。
…
だから、みんなの休憩を邪魔する代わりに、
僕は教室に残って食事をし、隅をきちんと片付けて、
午後まで短い昼寝をする。
.........
ズズッ…ズズッ…
午後になると、部屋の空気はかなり蒸し暑くなっていた。
窓を全開にしても、強い日差しが教室の中まで入り込んでくる。
それに少しの風も吹き込まない。
…
ズズッ…ズズッ…
だから作業を続けるのも気が重い。
汗で紙のポンポンや装飾を濡らしてしまったらどうしよう。
そう思って、今できる最善のことを決める。
自分が散らかした残骸を片付ける。
どうせ明日また全部引っ掻き回して直すかもしれないけれど、
少なくとも自分の教室を少しはきちんと整えておく。
………
「リーン♪」
そして日差しが遠くの建物の陰に沈み始めた頃。
今なら準備を続けられるはずだけれど、
もう遅いし、周りもだんだん暗くなってきている。
このまま続けたら、何か間違えてしまうかもしれない。
下の練習場にももう誰もいない。
みんなもう帰ったのかもしれない。
…
だから他のクラスの生徒と同じように、
僕もすべてをきちんと片付け、窓を全部閉め、
電灯と道具を最後に確認して、
鍵をかけて、静かに帰る。
カチャッ。
……………
毎日がこんな風に一週間続いた。
そして五日目には、すべての装飾を完成させていた。
後で使う道具は箱に入れて教室の隅に並べた、
後で使う道具は箱に入れて教室の隅に並べた。
僕は教壇に座って、部屋全体を見回す。
少し満足して、嬉しい気持ちも少しだけあった。
でも今、ここに何をしに来たのかわからなくなっている。
みんなと一緒に下に行けばいいかといえば、そうでもない。
みんなは熱く練習していて、僕は隅で遊んでいるだけだ。
だから、
後で早退を申し出るかもしれない。
…
ゴトッ!
その時、目が教室の外に引き寄せられた。
他のクラスの男子グループが、大きな箱をいくつか持っている。
僕の教室の前で止まって、みんな箱を見下ろしている。
顔は真っ赤で、汗がシャツをびしょびしょに濡らしている。
…
ハァ…ハァ…
「おい…頑張れ…」
「まだ…何往復かあるぞ…」
「終わったら…まだ片付けもあるし…」
彼らの手が何度も汗を拭い、
もう体をまっすぐ起こすのも難しそうだ。
…
ちょうど手も空いていたので、
コツッ。
「どうしたの?」
「何か手伝おうか?」
…
…
そして残りの週の日々、
こうして僕は他のクラスの教室を回るようになった。
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今週に入って、またみんながワクワクし始めている。
待っていた練習場がやっと自分たちの番になったみたい。
嬉しい気持ちもあるけれど…でも…
応援用の衣装を着て人混みの真ん中に立たなきゃいけない場面を考えると、
そんなこと、私にできるの!?
…
でも、なぜ?
なぜこんなに寂しい感じがするの?
クラスのみんなが練習場で時間を過ごしていて、
みんなで努力して、教え合って、隣で昼飯を食べて、
休憩時間の小さな冗談を交わして、
男女で分かれて昼寝をして。
本当はクラスにとって最高の時間のはずなのに!?
…
たぶんずっと前からわかっていた。
友達と一緒の昼飯は本当に楽しい。
みんなが冗談を言って面白い話を聞かせ合って、
それぞれの大切な場所の話を少しずつして、、時々男子が茶目っ気を出す。
でも、あなたはそこにいなかった。
…
なぜあなたはここにいないの?
いつも一緒に昼飯を食べていたのに。
みんなはあなたをグループの一員だと思っているのに。
あなたがここに来てもあまり練習できないかもしれないけれど、
少なくとも一緒にいてくれないの?
…
…
疲れた練習の合間に、
私はまた体育館の外に出て、
自分たちの教室の窓を見つめる。
でも、あなたはどこ?
…
時々あなたは窓の向こうにちらっと姿を見せる。
でも…すぐにまた消えてしまう。
…
こっちに降りてきてよ。
準備なんて後でできるでしょ。
せめてこっちを一度見てよ。
みんなが少し気まずく感じるかもしれないけれど、
ここにはあなたを歓迎する人がいるのに。
…
時々私はあの教室まで走って行って、
あなたがどう思おうと、無理やり引きずり下ろしたくなる。
でも…
…
「ミヤキちゃん。」
「休憩終わりだよ。」
「続けよう。」
たぶん、今はそれはできない。
…............
そして一週間にわたる休みなしの練習が終わった後、、
練習場は他のクラスの番になった。
もう一分一秒を争う必要はない。
普通に毎日学校に来られる。
…
そしてあなたはまた見慣れた教室にいて、
私たちはまたいつものように隣に座って昼飯を食べられる。
たくさん話す必要もなく、冗談や茶目っ気もいらない。
ただ二人がそこに座って、景色を眺めて、
私が絵を描いて、あなたがいつものように見せてとねだる。
すべてがまた元通りになるだけ。
…
…
「トガミさん。」
「私たち、ちょっとお願いしたいことがあるの。」
「クラスのために時間をくれない?」
知らない女の子が、大胆な応援団の衣装を着て、
見慣れた教室の前に立ち、きらきらした目をあなたに向けている。
…
コツッ... コツッ...
「少し待って。」
「鞄を片付けるから。」
彼は女の子に微笑みながら、少しずつ近づいていく。
…
ポンッ…
「ちょっと迷惑かな。」
「うちのクラスの男子がみんな練習場に行っちゃって。」
「教室には女子が数人残っているだけなの。」
「でもやることが多すぎて終わらないの。」
あの子は、なぜハックンにそんなに近づいているの?
…
スッ.
「それなら少し時間がかかりそうだね。」
「何日かかっても終わらないかもしれない。」
「とりあえず前の続きからやろうか?」
そして彼は自分の鞄を持ったまま、
見知らぬ女の子の後をついていく。
教卓の上には、ただ部屋の鍵が一つ残されている。
…
…
(・_・)
何が…今起きたの?




