第六十八話ークラスのメッセージを見忘れた
コツ…コツ…
慣れ親しんだ道の上、朝日がようやく顔を出した頃
街灯の明かりも、細い路地の奥へ溶けるように消えていく
あたり一面、見慣れた生徒たちの影
広く開かれた校門へと、みんな一緒に足を進めている
…
…
キョロ…キョロ…
「…」目を見開き、辺りを見回す
…
うーん…
「変だな」体を少し傾け、顔をわずかに伏せる
「みんな、こんな時間になってもまだ誰も来ないのか?」
「もしかして今日はみんな寝坊したのかな?」
…
フルフル…フルフル…
「そんなわけないだろ」首を何度も振る
「あれは初日で時間割がわからないときだけだ」
「それに寝坊なんて、だいたい自分だけだろ」
「きっと何か用事があるんだろう」
…………
トコトコ…
「早く行こうよ!」二人の影が突然横をすり抜けていく
「ずっと待ってたんだから!」
「昨日結果は出てるのに人が多くてまだ見てないんだ!」
…
「お前焦りすぎだって!」
「向こうもかなり混んでるしな!」
「今見なくても後で見ればいいだろ」
…………
にこっ
「そうだな」小さく微笑む
「俺もまだ結果見てないんだよな」
…
コツ…コツ…
「教室に行く前にちょっと寄って見ていこう」
…………………………………………….
ザワザワ…ザワザワ…
遠く、学校の大きな白い掲示板のところから
一人また一人と列をなして集まってくる
頭がびっしりと掲示板を覆い尽くしている
…
にこり…
口元を緩め、手で鞄の紐をそっと握る
視線を掲示板の文字にまっすぐ向け
唇をわずかに動かし言葉を紡ぐ
「みんな頑張ってよかったな」
…
…
ヒソヒソ…ヒソヒソ…
あちこちから話し声が響き始める
「何かの間違いじゃないのか?」
「採点ミスに決まってるだろ!」
「あのクラスはお坊ちゃまが多いし、金でも使ったんじゃないのか?」
「バカな、連中が特進クラスより高い点取れるわけない」
…
「どうせそのうち尻尾出すさ」
「せいぜい今回だけだ」
「次からのテストこそ地獄だ」
…
はぁ…
「でもその前にまだ一つあるな…」
「汗なんかかきたくないよ」
「あの日は欠席届出せばいいんじゃないか?」
「せいぜい人数合わせに来るだけだ」
…
…
コツ…コツ…
一歩また一歩、学校へと近づいていく
目を細め、顔をわずかに伏せる
「言い方がちょっとひどくないか?」
「うちのクラスだって精一杯頑張ったんだし」
「カンニングなんかしてないだろ」
…
ギュッ…
「でも…結局…」鞄の紐を軽く握りしめる
「さっき…あいつら、一体何の話をしてたんだ?」
「何の日をそんなに避けてるんだ?」
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ガラガラ…
「みんなに聞いてみるか」見慣れた教室の扉を軽く引く
「きっとクラスに誰か知ってる奴がいるはずだ…」
…
…
ワーッ!
教室中で高く掲げられた腕
見慣れた椅子から立ち上がる影たち
嬉しそうな顔を遠くの教壇の方へ向けている
…
ビシッ!
教壇のところから、シラカワさんが腕を高く上げる
目を見開き、体を下の群衆の方へ傾けて
「俺たちの時代が来たぞ!」
「今回はF組が何ができるか、あいつらに見せてやる!」
…
「へ?」顔が固まり、足が動こうとしない
...
「さてと…」シラカワさんの手が突然大きく広がる
「大変なテストも終わったしな…」
「これからはあの日々に全力を注ぐだけだ!」
「一日たりとも漏らさず全力で行け!」
…
ワーッ!
教室中の生徒たちがさらに高く跳ね上がる
…
…
スーッ…
「…」顔が凍りつき、手でゆっくりと教室の扉を引く
…
ガンッ!
「おい」足が扉の隙間に差し込まれる
「やっと…来たか…」
…
ガタガタ…ガタガタ…
「…」顔が徐々に青ざめ、手で必死に扉を引き続ける
…
グイッ…
「お前…俺たちどれだけ待ったか知ってるか…?」手が伸びて扉を掴む
「クラスのメッセージにも返信なし…」
「早めに来る約束なのに顔も出さず…」
…
ゴゴゴゴ…
「知ってるか…」ミズノさんの顔が扉の隙間から徐々に迫ってくる
「俺たちがどれだけ苦労したか」
…
ひっ!
「…」体が凍りついたように固まり、目が瞬きもしない
…
ジリ… ジリ…
「ねえ、ハッチ…」ミズノさんの顔が徐々に自分にじわじわ迫ってくる
「どうやって埋め合わせするつもり?」
「女の子ってね…」
…
「約束破りの奴は嫌いなんだよ!」ミズノさんの目が少し乱れた髪の下で見開かれる
「お前どうするつもりなんだ?」
「男のくせにそんな無責任でいいの?」
…
「…」顔を無理やり別の方向へ向ける
…
「ハッチねえ…」ミズノさんが体をわずかに傾け、顔をさらに近づけてくる
「ただの勘違いだよね?」
「今日は道でちょっとトラブルがあっただけだよね?」
「ハッチがクラスの連絡を読んでないなんてありえないでしょ」
「だってハッチはそんな無責任な男じゃないでしょ?」
...
「ねえねえ…」ミズノさんの唇が耳元でそっと囁く
「何か言いなさいよ!」
「私たちはずっとハッチを信じてるんだから」
「ハッチは私たちを放っておいて遊びに行くような奴じゃないよね?」
...
...
「ごめん!」顔をうなだれ、目を閉じる
「俺が悪かった!」
…
なでなで…なでなで…
「いい子ね」ミズノさんの手が頭を優しく撫でる
「散々心配させたんだから…」
「これからは責任取るよね?」
…
「はい…」唇をわずかに動かす
「俺…ちゃんと埋め合わせする…」
…
ふっ~
「みんな聞いたね!」ミズノさんの唇が明るく微笑み、目を部屋の中の集団に向ける
「ハッチは宝探し競争に参加するよ!」
…
「了解!」親指がミズノさんの方へ高く上げられる
「これでこのゲームは人数揃ったな」
「ついでにあいつにバドミントンできるか聞いてみろよ」
…
…
「ハッチ?」ミズノさんの目がふと柔らかくなり、頭を少し傾げる
「バドミントンできる?」
…
「へ?」目が固まり、喉から無理やり声を絞り出す
「それは…えっと…」
「少しは…」
…
バッ!
「男子のみんな!」ミズノさんの腕が群衆の方へ伸びる
…
グッ!
「さすがトガミさん!」シラカワさんが力強く親指を立てた
「いつでも頼りになる!」
…
「当然でしょ!」ミズノさんが顔を上げ、両腕を組む
「ハッチだもの!」
…
「あの…」辺りを見回し、背中をわずかに丸める
「これ…結局…」
…
クルッ…
「わかりきってるでしょ?」ミズノさんが自分の方へ体を傾ける
「昨日のクラスグループの件だよ!」
「もうすぐの体育祭の参加登録ね!」
…
トサッ…
顔がわずかに引きつり、手が鞄を床に落とす
「体育祭…」




