第六十四頁ー中間試験
コツ…コツ…コツ…
朝の光が差し込む、誰もいない廊下の真ん中で
教室は今、どこも人で溢れている
ただ一人、そこに残っているのは、白い髭の長い男性
茶色の封筒を大事そうに手にしている
………
ワイワイ…ワイワイ…
1-Fの教室では、人影があちこちに散らばって座っている
小さなグループがあちこちの隅に集まり
教科書が開かれたまま机の上に置かれ
あちこちから声が響いている
「この調子で続けていけば、テストなんて余裕だろ!」
「幸いマークシートだから全部暗記しなくていいよな!」
「今日はまた何の復習やるんだろう?」
.........
コツ…コツ…
男性は一つ一つの窓へ視線を向ける
………
パンッ!
「みんな、そろそろ!」シラカワが強く手を叩く
「早く自分の席に戻りなさい!」
「今日は近現代史の部分を徹底的に復習するぞ!」
………
ピタッ.
男性の足が突然止まる
視線は教室の扉へ向けられる
………
へへっ…
「なあハル!」レンが目を細め、腕を俺の方に伸ばす
「さっさと始めようぜ!」
「早く終わらせて休憩だ!」
…
スッ
「わかったよ。」俺は軽くチョークを拾い、黒板に向かって背を向ける
「じゃあ始めるか?」
…
…
ガラァッ!!
教室の扉が突然大きく開かれる
白髭の男性が、教室全体を見回す
…
「…」全員の視線が一斉に扉に集中する
…
「自主学習週間なのに、ちゃんと全員出席している。」白髭の男性が目を細める
「大変立派だ!」
「では、すぐに始められそうだな!」
…
「申し訳ありませんが…」シラカワさんが目を丸くして男性を見る
…
ほう…
「実に感心だ。」男性が私たちの方を向く
「本来は必要のないことだが。」
「時折、こうして一生懸命取り組む生徒がいるものだ。」
…
コツ…コツ…
「しかし今はもう、その必要はない!」男性が教壇の方へゆっくり歩み寄る
「全員、自分の席に着きなさい。」
「携帯電話はすべて電源を切り、カバンに入れてここへ提出。」
「机の上には歴史に関する資料だけ残しておきなさい。」
…
トン
「中間試験が、もうすぐ始まる!」男性が軽く腰を曲げ、私たちに向かって両手を机に置く
………………………………………………………………
今や、すべての鞄が教壇の上に置かれ
周囲のすべての視線が教壇に向けられ
その横には、歴史の教科書の山
…
スッ
「先生!」シラカワさんが突然手を高く挙げる
「質問があります!」
…
「まだ何も始めていないのに、もう質問か?」男性が軽く振り向く
「構わん、言ってみなさい!」
…
ギッ…
「学校の全体スケジュールによると…」シラカワさんが体を真っ直ぐ伸ばす
「中間テストは来週のはずではなかったですか?」
「急にこんなことになると、準備が間に合わない人がたくさん出ます!」
…
サッ…
「君の気持ちはよくわかる。」男性がシラカワさんの方へ手を挙げる
「今、すべて説明しよう。」
「だからまずは座りなさい!」
…
「はい!」シラカワさんが軽く頭を下げる
……………….
「まずは自己紹介をさせてもらおう。」男性が教室中を見回し、手を軽く胸に当てる
「私は中村 茂という。」
「本日、君たちの中間試験の結果を直接評価する者だ。」
…
「君たちにはきっと多くの疑問があるだろう。」中村先生が軽く目を細める
「しかし…」
「その疑問については、担任の教師が後で説明する。」
「今は…」
…
…
カリカリ…カリカリ…
「君たちが聞いた通り…」中村先生が黒板に向かって背を向ける
「本日は中間試験を実施する。」
「全員、黒板の方に目を向けなさい。」
…
コン…
「ここに書いてある通りだ!」中村先生がチョークで各行を軽く叩く
「試験中は教室から出ることは一切禁止…」
「外部と繋がる可能性のあるすべての物品の使用を禁じる。」
「試験中の私語も禁止。」
「答案が完成したら、即座に退出すること。」
…
「へっ?」レンが軽く首を傾ける
「終わったらすぐ追い出されるのかよ?」
…
「そういう言い方は少し言い過ぎだな。」男性が両手を後ろに回す
「単に、他クラスへ問題内容を漏らさないための措置だ。」
…
…
コツ…
「では、試験の内容について。」中村先生が私たちの方へゆっくり歩み寄り、両手を後ろに回す
「試験時間は、今の時点から昼休みのチャイムが鳴るまで。」
「全員、自由に話し合い・議論をしてもよい。」
「机の上にあるすべての資料を使用してもよい。」
「自分の席から移動してもよい。」
「答案が完全に一致していても、一切問題ない。」
…
「へっ!!!」教室中に声が響き渡る
「そんなの簡単すぎるだろ?」
「何か勘違いしてないか?」
「俺たち…本当にやっていいのか?」
…
コクッ…コクッ…
「すべて試験のルールだ。」中村先生が軽く頷く
「ルールに違反しなければ…」
「君たちは何をしても構わない。」
...
「やった!!!」あちこちで腕が勢いよく挙がる
「今回は心配いらないぞ!」
「頑張ればなんとかなる!」
…
パンッ
「落ち着きなさい!」中村先生が軽く手を叩く
「まだいくつか覚えておくべきことがある…」
…
スッ…
「このルールにより、」中村先生が指を高く掲げる
「学校側は各クラスからただ一つの答案のみを提出するよう求めている。」
「その答案がクラス全員の成績として扱われる。」
…
サッ…
「問題については…」中村先生が体を軽く横にずらす
「すべて黒板に書いてある通りだ。」
…
「一つの国を…」俺の唇が小さく囁く
「……一文で歴史をまとめよ…」教室中に声が反響する
…
「簡単だろう?」中村先生が軽く微笑み、両手を後ろに回す
…
…
ガラリ…
「おや。」ハヤマ先生が教室の扉を軽く引く
「中村先生。」
「今日は随分早いですね?」
…
「たまたま通りかかっただけだ。」中村先生がゆっくり振り向く
「他のクラスはまだ人数が揃っていない。」
「人数が揃っているクラスを優先するのは…」
「当然のことだろう?」
…
コツ…コツ…
「しかしちょうど良いタイミングで来てくれた。」中村先生が教卓の方へ向きを変える
「試験会場に監督官が一人だけではいかん。」
…
カツ…カツ…
「了解しました。」ハヤマ先生が後頭部に手を当て、教室に入ってくる
「その大きな封筒を見る限り…」
「他のクラスはもうすべて採点が終わったということですか?」
…
はぁ…
「もちろんだ!」中村先生が軽く肩を落とす
「今年はこれほど多くの答案になるとは、私も予想していなかったよ!」
「そして、少し残念に思っている。」
…
「残念…」ハヤマ先生が軽く首を傾ける
「どういう意味ですか?」
…
ドサッ
「理解できない…」中村先生が椅子に背中を預け、軽く顎を支える
「この学校に入る機会を得ながら…」
「どうして君たちはあのような基本的なミスを犯すことができるのか!」
...
「…」教室全体が凍りつく
…
トン…トン…
「何クラスかは努力も議論もしない…」中村先生が指で机を叩く
「何クラスかは時間終了まで議論しても答案が出せない…」
「少数だが、内容があまりにも薄っぺらい答案もあった…」
「ギリシャは人類の揺りかご…」
「本当に残念だ!」
...
「同感です!」ハヤマ先生が軽く頷く
「どの科目であろうと…」
「一語でも間違えれば…」
「基礎となる土台すべてを、自分で書き直さなければならない。」
…
「…」一人一人の顔が次第に青ざめていく
誰もが瞬きすらしない
…
「少し話題が逸れすぎたようだな!」中村先生が私たちの方へ体を伸ばし、軽く顎を支える
「私たちのことは気にしなくていい。」
「早く議論して答案をまとめなさい!」




