第四十五頁 ― 距離なんて相対的なもの
コツ…コツ…
本棚の間、白い照明が店内を満たす中
出口の外側では、人の列がどんどん中へ入ってきている
空いていた場所にも、少しずつ人影が増えていく
…
まだ綺麗に並べられた白いノートがある場所で
一冊の妙な本がその真ん中に置かれていた
二つの手が同時にその本へ伸びる
二つの視線が、動きを止めて互いを見つめ合う
……
サッ!
「ごめんなさい!」副委員長は慌てて手を引っ込め、胸を強く抱きしめた
「取ろうとしてる人がいるなんて知らなかった!」
…
パッ!
「僕もだよ!」私は慌てて手を後ろに回し、目を逸らした
「その本にすでに人がいたなんて知らなかった!」
「全部僕のせいだ!」
…
「違うよ!」副委員長は何度も首を振り、髪を軽く揺らした
「私のせいよ!」
「それが君のだなんて知らなくて…」
「つい手が…」
…
「へっ?」私たち二人は同時に固まり、体をゆっくりと本の方へ向けた
…
「でも僕は…」私たち二人は同時にその本を指差し、体ごと向き直った
「が…」
「その本を…」
…
…
アハハ…
「僕はそう思ってたんだよ!」私は額に手を当て、顔を後ろに仰け反らせた
「結局ただそういうことだったのか!」
…
ハハ…
「……」副委員長は手を口元に当て、唇を小さく微笑ませた
…
コツ…コツ…ゴツッ!
「すみません!」一人の女の子がうっかり副委員長の背中にぶつかった
…
「い…いいえ、大丈夫です…」副委員長は体を起こし、目を細めながら言った
「気にしないで…ください…」
………
ザワ…ザワ… ザワザワ…
周囲の空間が、今や少しずつ狭まっていくように感じられた
本棚の間を歩く足音
あちこちに散らばる人影
…
スッ…スッ…
副委員長の両手が小さな買い物かごを強く握りしめる
一歩、また一歩と、私に近づいてくる
視線をあちこちに素早く走らせながら
…
ポリ…ポリ…
「どれどれ」私は頰に手を当て、本棚の方へ目を向けた
「まだ何が必要だったっけ?」
「理系は全部揃ったし、語学も大丈夫だな」
…
コツ…コツ…
「そうだ!」私は遠くの棚へ進み始めた
「まだ社会科の何科目か揃ってない!」
「急がないと!」
……
スッ…
副委員長の足がぴたりと止まった
視線を忙しく動かし、体を小さく縮こまらせる
頭を何度もきょろきょろと回しながら
唇が小さく一つの名前を呼んだ
「戸上さん…戸上さん…」
…
キョロ…キョロ…
床の上を不規則な足取りで歩く
人混みの中で体をくるくる回す
目を大きく見開いて一人の姿を探す
周りの人を避けながら頭を忙しく動かす
…
ザッザッ…ザッザッ…
「見つけた」副委員長の唇が小さく動いた、体が春の方へ飛び出した
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スッ…
「やっと見つけた!」私の顔に明るい笑みが広がり、大きな地理の本を両手に持っていた
「何軒も本屋を回って…」
「まさかあそこにあったなんて…」
…
ビクッ!
パタ...パタ…
私の体が突然後ろへ飛び退いた
地理の本が両手の中で跳ねるように揺れる
顔が強張り、目がその本から離れられない
そして見慣れた影が、すぐ隣に立っていた
…
ふぅ…
「危なかった…」私は頭を下げ、目を閉じ、本を強く抱きしめた
…
「いきなり何してんだよ?」私の顔が次第に歪み、その影に向かって目を細めた
「あんなことしたら危ないだろ」
「もしこの本が何かあったら…」
…
ひくっ…ひくっ…
目尻に小さな水滴が浮かび始める
体が小さく何度も震える
両手を強く握りしめ
唇を震わせながら、なんとか言葉を絞り出す
「私…私…私…」
「私…知らなくて…私…」
…
トサッ…
地理の本が床に落ちた
「副委員長!」私は慌てて立ち上がり、両手を慌ただしく振った
「そういう意味じゃないよ!」
「誤解だよ!」
「僕が口が悪かっただけだ!」
…
タッ…タッ…
「う…ううん、大丈夫…」副委員長はゆっくり後ずさり、目を逸らしながら言った
「の…せいじゃない…」
「私が…突然…」
…
「ちょっと待って…話を聞いて…」私は手を副委員長の方へ伸ばし、目を離さなかった
…
…
ピタッ…
髪が空中で乱れ、体が一瞬止まった
目を見開き、言葉が出なくなった
副委員長の目の前には今…
…
ガヤガヤ…ガヤガヤ…
あらゆる隙間、あらゆる通路が人で埋め尽くされていた
……………………………………………………………………………………………………………………………
ガヤガヤ…ガヤガヤ…
下の階、人々が押し合いへし合いしている中で
棚は満杯になったり空になったりを繰り返し
青い制服の店員たちがあちこちを走り回っている
…
二つの影が、上の階から
視線を周囲に走らせていた
両手で手すりを強く握りしめながら
……
ふむ…
「さっきから知った顔、見なかったか?天宮さん」白川は額に手を当て、首をぐるぐる回した
「制服だけでもいいよ!」
「もしかしたらあの人たちかもしれないだろ?」
…
「……」天宮は小さく首を振り、手すりに額を乗せ、腕を長く伸ばした
…
「最悪だな!」白川は体を起こし、顔を少し歪め、両手を腰に当てた
「この調子じゃ二人が見つかるわけないだろ」
「戸上さんはまだいいとして…」
「でも黒見は…」
…
チッ…
「何考えてんだよあいつ!」白川は唇を軽く噛み、周囲を振り返った
「急にこんな人混みのところに一人で来て…」
「今まで人混みなんて苦手だったくせに」
......
白川の体が突然止まった
目を見開いて一つの影を見つめる
すぐ近く、壁の柱に体を預けるように長く横たわっている人影
二つの手が手すりの外側へ軽く伸びていた
…
ギュッ…
「まだ諦めるなよ、天宮さん!」白川は拳を強く握り、目を細めた
「遅かれ早かれ…」
「絶対にあいつらを見つけるから!」
…
「……」天宮の目が次第に虚ろになり、一度も瞬きしなくなった
…
「……」白川はゆっくり手を引き、下の階へ視線を移した
…
…
「天宮さん…天宮さん…」白川は目を見開き、手を軽く振った
「ほら、あの光景見てみろよ!」
「絶対面白いって!」
…
「……」天宮はゆっくり顔を上げ、前方を見た
彼女の目の前では、今、一人のおじいさんが大きなベッドを抱えて立っていた
口元に笑みを浮かべ、体をまっすぐに伸ばして
その隣に、一人の若い男の子
顔をしかめ、背中を徐々に丸め
両手に小さな白い袋を提げて
…
「……」天宮の目に次第に光が戻り、二人の姿から目を離せなくなった
…
スッ…
「あっちにもいるぞ、天宮さん!」白川は指を別の影たちに向け、唇に笑みを浮かべた
「こんな時に…」
「なんであの人たちだけ客がいないんだ?」
…
フッ…
「……」天宮の唇が小さく微笑み、体をゆっくり起こした
…
スッ…
「それからあれ!」白川は手をまっすぐに、小さな売り場を囲む人々の群れに向けた
「あれ…」天宮は手を伸ばし、人々が必死に手を伸ばして奪い合っている売り場を指した
…
…
二つの手が、同時に一つの売り場を指す
視線がゆっくりと互いに向かう
体が無意識に少しずつ近づいていく
…
フフッ… フフッ…
二つの笑みが、唇に浮かんでいた




