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真っ白なページに綴る、僕の青春  作者: Minateru


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第四十一頁 ― 分かれ道が交わる場所

ウィーン

ガラスドアの向こう、白い照明が店内に広がっている

レジに向かう長い行列

店員たちがカゴを抱えて慌ただしく走り回っている

いくつかの棚はすでに空っぽ

そして……

……

ガヤガヤ…ガチャガチャ…

巨大な商品棚を回り、値下げの看板が高く突き出ている場所

八方から人が群がり押し寄せる

腕を伸ばしてパンを奪い合う

店内に響き渡る声

「早くどけよ!」

「先に見つけたのはこっちだよ!」

「俺が先に触った、これは俺のものだ!」

「自分のものから手を離せよ!」

……

「えっと……」僕は指をそっとその群衆に向け、片目がピクピク痙攣する

「本当に……」

「僕たち……突っ込まなきゃ……」

「こんなところに……?」

……

ふふん……

「甘いわね、ハッチ」ミズノさんが腕を組んで目を細める

「親御さんたちに勝てるわけないじゃない」

「それに、そんな必要もないし」

……

「え?」体が固まる、目が大きく見開かれる

「じゃあなんで……」

「僕たちここに来たの……何のため?」

……

コツ…コツ…

「ハッチ」ミズノさんが後ろで手を組みながら遠い棚の方へ歩き出す

「値下げ品のために親御さんたちと力比べして何になるの?」

「結局買っても使わないでしょ」

「でももし彼らのゴールデンタイムを先に知ってたら……」

「話は別よ」

……

「ゴールデンタイム?」僕は天井を見上げ、足を止める

……

コツ…

「そうよ!」ミズノさんが振り向いて両手を広げる

「ゴールデンタイム」

「つまり、店が一気に値下げ品を出す時間帯」

「その時間帯を全部把握してれば……」

「親御さんたちより先に行くなんて簡単よ」

「例えば後ろのこのパンコーナー」

「もうすぐ大量のパンが値下げされるわ」

「誰かが来る前に先取りするだけ」

……

「うーん……」僕は目を細め、後ろを指差す

「ミズノさん……」

「その計画……本当に大丈夫……?」

……

スタ…スタ…

「ハチ!」ミズノさんが身をかがめて顔を近づける

「約束したでしょ?」

「それともまだ私の特別な呼び名、考えてないの?」

「もう一日が終わりに近いのに!」

……

「わかってるけど……」僕は両手を前に出して顔を背ける

「それは……後でいいかな……」

「今大事なのは……君の後ろ……」

……

「私の後ろに何があるの?」ミズノさんが目を丸くして振り向く

……

……

「げ~」ミズノさんの体が凍りつき、瞬きすらできない

……

ガヤガヤ…ガヤガヤ…

パンコーナーの周りはどこもかしこも人で埋まっている

空のカゴがあちこちの腕にぶら下がっている

小さな声が群衆の中で漏れる

「まだ出ないのかな?」

「今日は何が出るんだろう?」

「人多すぎだろ!」

……

「ハッチ……見ての通り……」ミズノさんが指を上に向け、顔を少し震わせる

「時には……思った通りにならないものよ……」

「特に……主婦層が絡むと……」

「だから……」

……

ピンポンパンポーン!

棚の方から店内に響くアナウンス

パン満載の台車が中から現れる

後ろに立つ店員がマイクを手に持つ

「お客様にご案内いたします!」

「本日のパンの在庫は残りわずかです」

「安全と秩序を守るため」

「押し合いへし合いをなさらないようお願いします」

「全力で対応させていただきます」

……

バサッ…バサッ…

トレイが次々と並べられ、パンが山のように積まれていく

さっきまで空だった大きな台は

今やもう置く隙間もないほど

「では……」店員がマイクを向けながら群衆を見る

「最初のお客様、どうぞ」

……

ドドド…ドドド…

四方から人が殺到する

手が台に向かって伸びる

空のカゴが次々と埋まっていく

何個かのパンが不自然に潰れていく

……

よろよろ…よろよろ…

「これは……計画に……」ミズノさんがふらつきながら言う

「……全く入ってなかった……」

……

「あの子、どう思うかな……」ミズノさんが棚に寄りかかり、顔をうつむかせる

「急に彼を連れてきて」

「こんな状況になって……」

「この後……彼が……」

……

そっと…そっと…

「ほら、戻った」僕はミズノさんに近づき、満面の笑みを浮かべる

……

「うわっ!」ミズノさんが飛び上がって僕を見る

「ハッチ」

「今日のこと……」

「本当は……」

……

スッ

「結構楽しかったよ!」僕はパンパンの袋を軽く持ち上げ、目を細める

「ちょっと押し合いが疲れたけど……」

「何人かに無意識に殴られたけど……」

「でも欲しいものは買えたし」

「見て、これ全部150円だよ」

……

「え?」ミズノさんがもう一度飛び上がり、袋に顔を近づける

「これだけ!?」

……

じーっ

「どっちがすごいかわからなくなった」ミズノさんが目を細め、口を少し動かして頭を下げる

「このパンの山……」

「それとも君がこれを買えたこと……」

……

パシッ!

「でも」ミズノさんがにやりと笑い、僕の腕を掴んで別の棚の方へ体を向ける

「こうなったら……」

「もう何も私たちを止められないわ!」

………………………………………………………………………………………………………………

ウィーン

再びガラスドアが開く

行き交う人の波の中で

カバンを持った三つの影が店内を見回す

……

「アサギリさん」ツメコが額に手を当てながら何度も振り向く

「本当にここで合ってる?」

……

「ここ以外に目立つイベントはほとんどないわ」アサギリが目を細めて顔を少し下げる

「目立つイベントならここだけ」

「二人がもうそういうイベント必要ないって場合以外は」

「もしかしたら彼らは……」

……

バタバタ…バタバタ…

「ハックン…まさかあいつが……」アマミヤが手を激しく振り、顔をしかめる

……

「冗談よ」アサギリが小さく笑い、群衆の方を見る

「もしあいつにそんな度胸があったら、とっくに……」

……

ツメコの視界を横切るように

見慣れた影が群衆を突っ切って走る

両手にいっぱいの袋を抱えて

……

「あ!」ツメコさんが明るい笑顔になり、目が輝く

「見つけた!」

「しかもかなりたくさん持ってる!」

……

「ほらね?」アサギリが軽く頷く

「あいつにそんなこと、できるとは思えないけどね」

「ただ値下げ品を買いに行ってるだけ」

……

「ちょっと待って!」ツメコが唇を強く噛む

「あの女の子、誰よ?」

「なんでハルくんにくっついてるの?」

……

「さっきも見たでしょ?」アサギリがハルの方を見る

「きっとミズノさんよ」

「じゃあ私たちは……」

……

ビュン!

何も言わずツメコが群衆に向かって突進する

足跡に薄い煙が残る

……

「ツメコさん!?」アサギリが手を伸ばし、目を見開く

「今そんなに突っ込んでも意味ないでしょ!」

……

……

タッタッタッ…

「もういい!」アサギリがカバンを地面に置き、群衆に向かって走り出す

「アマミヤさん、そこにいて荷物見てて」

「すぐ戻るから」

……

「……」アマミヤの目が細くなり、手を少し伸ばす

……

コツッ…コツッ…

突然後ろから男のグループが現れる

全員が口の端を歪めて笑う

視線はアマミヤから離れない

「ほら、見てみろよ、ここに何がある」

「迷子ちゃんか?」

「さっきの群衆で入れなかったんだろ?」

……

すっ…すっ…

「……」アマミヤがカバンを引き寄せ、体を壁の角に後退させる

……

ぬっ…

「そんなに怖がらなくてもいいよ」一つの手がアマミヤに向かって伸びる

「僕たち悪いことする気はないから」

「ちょっと手伝ってあげようと思って」

……

パシッ!

「すみません!」もう一つの手がその男の手首を強く掴む

「彼女はただ僕たちが戻るのを待ってるだけです」

「親切はありがたいですが……」

「もう必要ありません」

……

「ほら、委員長」後ろからもう一人の影が近づき、残りの男の首に腕を回す

「そんなに顔をしかめなくても」

「どうせ彼らも善意で手伝おうとしてるだけだろ」

「な?」

……

「ねえ、君」男たちがアマミヤを見る

「このガキども知ってるのか?」

「そんな馬鹿げた話あるかよ!」

……

「彼ら……」アマミヤが両手で口を覆いながら二人をチラ見する

「同じクラスの人です」

「委員長……と……コバヤシさん」


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