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真っ白なページに綴る、僕の青春  作者: Minateru


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39/50

第三十八頁ー二人の静電気(三)

カリカリ…カリカリ…

黒板の真ん中に、白い文字の列がゆっくり現れる

軽いチョークの粉が、空中に舞っている

先生の影が片手に教科書を持ち、黒板から目を離さない

そよそよ…そよそよ…

窓のカーテンが軽く揺れている

教室の中では、それぞれが思い思いに過ごしている

授業に集中する者もいれば、

ペンを走らせ続ける者、

机に突っ伏して眠る者もいる

そして照明の光が机の上に落ちている

……

うーん…

コハリはメモ用紙をじっと見つめ、机に顔を伏せている

指が紙の上の二つの番号をなぞる

唇が小さく動き、視線が携帯電話に流れる

「やった方がいいのかな…?」

「こんなの、変じゃない?」

「やっぱりやめとこうか…?」

「もしかしてこれ、誰か他の人の番号かも…?」

ぐしゃぐしゃ…

両手が頭を何度も掻きむしる

コハリの髪が徐々に乱れ、目がきつく閉じられる

「わからない…あいつ…」コハリがハルの方をチラリと見る

「…どう思うだろう…」

タップ…タップ…

コハリの指がゆっくり動く

紙の上の番号が、今、画面の上にある

……………………………………………………………………………………….

一つの教室の中で、人それぞれの様子

先生はまだ黒板の文字に夢中だ

僕の頰に汗が伝う

ブルッ

ズボンのポケットの中から、奇妙な振動が来る

画面の光が、黒いズボンのポケットを照らす

「今日も何かセールでもあるのか?」僕は唇を小さく動かし、携帯電話を取り出す

僕の体が突然固まる

白い通知画面だが、いつもと違う

ほとんど出てこないアプリのアイコン

トントン…

指がゆっくり画面をロック解除する

体を低くかがめ、目を大きく見開く

口から思わず言葉が漏れる

「何だこれ?」

「クラスにまた連絡か?」

「それとも親父から何か…?」

………

会話画面に、奇妙なアバター

ハムスターが種を齧っている絵

下に「見知らぬアカウント」と表示されている

メッセージはただ「.」という一点だけ

見たこともない不思議な名前

「ミズリ。」

「誰だよ?」僕は唇を小さく動かす

「人違いじゃないか…?」

ポンッ

「読んでる?」突然メッセージが来る

ポンポン…ポンポン…

メッセージが次々と続く

「今見てるの、わかってるよ。」

「君の生活、楽しそうじゃない。」

「でも君は、とても大事なことを忘れてる…」

「君が僕と約束したこと。」

「早く返事して!」

タップタップ…タップタップ…

僕の両手が必死に文字を打つ

顔がしかめ、汗が顔中に流れる

「ごめん。」

「でも、君は人違いじゃない?」

「誰なのかもわからない」

「約束した覚えもない。」

ポンポン…

メッセージがまた次々と来る

「最低。」

「つまりお前にとって…」

「あの約束は何でもなかったってこと?」

「僕がそんなに重要じゃないって?」

タップタップ…

僕の指が乱れて打つ

「そういう意味じゃない…」

「たぶん僕は無意識に君を傷つけたと思う。」

「でもそれはわざとじゃないし、嫌いなわけでもない。」

「せめて時間をくれ、ちゃんと直すから。」

「まずは…君が誰か教えてくれ。」

ポンッ

それ以降、メッセージは来ない

代わりに一枚の写真だけ

見覚えのある教室の風景

そして携帯を見ている一人の男の子

キョロキョロ…

「何これ!?」僕は画面から顔を上げ、首を激しく回す

「あいつ、ここにいるのか?」

「結局…」

くすくす…くすくす…

教室のどこかから、小さな笑い声がする

一人の女の子が机に顔を伏せ

携帯電話を僕の方に向け

口を手で必死に押さえている

ポンッ

「バカ」メッセージが僕に届く

すうっ…

僕はゆっくり椅子に体を沈める

肩が落ち、顔のしかめが少し解ける

…………

ポンッ

「誰かと思ったら…」僕はゆっくり文字を打つ

ポンッ

「びっくりしたでしょ!」ハムスターのアバターからメッセージ

ポンッ

「どう思うよ!?」僕の方からも文字が飛ぶ

「急に授業中に…」

「それにどうやって僕の番号知ったの?」

「僕、誰にも教えた覚えないんだけど。」

ポンッ…ポンッ…

「女の子の秘密!」口を押さえるスタンプが飛んでくる

「で、約束の返事はもう考えた?」

「私のこと呼ぶ名前についてだよ!」

ポンッ

「それは…」僕は周りを見回す

「まだ…」

………

コツン

教壇の方から音が響き渡る

白い文字が止まる

でも先生の背中はまだこちらを向かない

「昔々…」教壇から声が響く

「一羽の雀の夫婦がいて…」

「二羽は一日中くっついていた。」

「食べる時も、寝る時も、巣を作る時も、餌を探す時も。」

「飛ぶ時でさえ、くっついたまま…」

トン…

先生がクラスに向き直り、目を閉じる

教科書を机に置き、笑顔を浮かべる

「いつの間にか…」

「二羽は羽ばたくことを忘れてしまった。」

「そのまま、まっすぐ地面に落ちていった。」

「先生。」シラカワさんが突然手を挙げる

「この話、今日の授業と何の関係があるんですか?」

….

「さあね。」先生が目を細めて僕たちを見る

「ただ、急に話したくなっただけ。」

「雛鳥がどんな夢を見ようと…」

「まずはちゃんと飛べるようにならないとね。」

コトッ

「さて、本題に戻ろうか。」先生がチョークを拾い、黒板に向き直る

………………………….

ポンッ

「今はまた後で話そう!」僕は携帯をチラリと見る

「今、授業中だよ。」

ポンッ

「ダメ。」向こうから文字が来る

「普段全然暇ないくせに。」

「学校じゃいつも何かしら用事あるし。」

ポンッ

「でも今は授業中なんだよ。」僕はそっと携帯を引く

「こんなことしてられない。」

ポンッ

突然、会話に一枚の写真が送られてくる

ある店の50%オフポスター

「じゃあ後で一緒に来ない?」

「セール今日で終わりなんだよ。」

ポンッ

「わかったよ。」僕は指を素早く動かす

「後でまた話そう。」

ぱさっ

突然、一枚の紙が僕の机に飛んでくる

ミズノさんがじっとこちらを見て

明るい笑顔を向けてくる

「約束、忘れないでよね、バカ!」紙の真ん中に文字

…………………………………………………………………………………………………………..

「リーン♪」

夕方の光の中、教室が徐々に人が減っていく

すべての机といすがきれいに片付けられる

ガヤガヤ…ガヤガヤ…

校庭では生徒たちが列を作り

カバンを持って正門に向かう

……

「つまんねー!」レンが体を低くし、目を細めて僕を見る

「なんで毎日お前は予定いっぱいなんだよ?」

はは…

「どう言えばいいか…」僕は視線を逸らし、頰を掻く

「うっかり約束しちゃったんだ。」

...

コツ…コツ…

「じゃあ俺、先に行くわ!」僕はみんなに手を振り、反対方向へ歩き出す

………………………………………………….

「普段、放課後って…」ツメコはハルから目を離さない

「ハルくんは何してるんだろう?」

「あいつはいつもそうだよ。」レンが肩を落とし、目を細めて見送る

「人の心配ばっかりして…」

一瞬、全員が固まる

目を見開き、喉が凍りつく

彼らの目の前、見慣れた人影

普通の男子生徒が、今は別の女の子と並んで歩いている

……

「何…これ…」ツメコの目が大きく見開き、唇が小さく動く

「ハルくん…君…」

「あの女の子…結局…」

スタスタ…

「なるほどな、ハル。」レンが唇を歪め、目を細める

「忙しかった理由はこれか?」

「なかなか面白いじゃないか。」


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