第三十八頁ー二人の静電気(二)
「リーン♪」
陽射しは今、あらゆる場所をまっすぐに照らしている
一つの教室の中で、たくさんの背中が机に突っ伏している
まぶたを半分閉じた目が、なんとか黒板の方を見ようとしている
…
コツン…
教室の反対側、遠い黒板の方から
白い文字の列はもうこれ以上増えなくなった
先生の背中がゆっくりクラス全体に向きを変え、顔には明るい笑顔が浮かんでいる
「今日の授業は、思ったよりちゃんとできてるみたいだね?」
「今日勉強した内容は、次の時間の小テストに出るからね。」
「家に帰ったらちゃんと復習しておいて!」
…
「-----はーい---------」小さな声があちこちから響く
………………………
ざわざわ…ざわざわ…
背中が次々と机から離れていく
教科書は今、きれいにカバンにしまわれている
みんなが遠い扉の方へ向かっていく
……
のびーっ~
僕の後ろから、レンが椅子から体を起こす
まだ少し目が閉じかけたまま、髪の毛も少し乱れている
体を思いっきり後ろに反らし、両手を組んでいる
「やっと…終わった…」
「一日中続くかと思ったよ!」
…
ガサゴソ…
僕の手が、小さな道具に伸びる
何度も頭を回して、周りを確認する
…
ジーッ!
「ねえ。」レンが僕の肩に腕を回し、ぐっと近づいてくる
「今、なんか予定ある?」
「一緒に食堂行こうぜ!」
「今日どんなメニューか見てみよう。」
…
カチッ
「今日はちょっと無理だ。」僕はカバンのファスナーを閉めながら、軽く首を振る
「ツメコさんと先に約束があるんだ。」
…
「いいじゃんいいじゃん。」レンが明るく笑い、目を閉じる
「ちょっと一緒に買いに行くだけだよ。」
「もしかしたら何か美味しいもの見つかるかもよ。」
…
「…」僕は体を傾け、指を口に当てる
…
「別にそこでずっと食べなきゃいけないわけじゃないだろ。」レンが体をまっすぐにし、両手を腰に当てる
「気に入ったら、あいつらにも持ってって一緒に食べさせればいいじゃん。」
…
コツ…コツ…
「そうだな。」僕は机から立ち上がり、出口の方へ歩き出す
「どうせ約束までまだ時間あるし。」
「少し行くくらいなら大丈夫だろ。」
…
「そういうことだよ!」レンが腕を出口の方に真っ直ぐ伸ばす
…………………………….
遠くから、一人の女の子が目を丸くしてこちらを見ている
手に携帯電話を持ち、視線がずっとこちらを追っている
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そよそよ…そよそよ…
階段の踊り場、日陰に覆われた場所
そよ風が髪の隙間を優しく通り抜ける
…
そして下の方を真っ直ぐ見下ろす視線
人がぎっしり集まっている場所
陽射しが校庭全体を照らしている
……
「ただー!」
笑顔が大きく広がり、視線がまっすぐに僕に向けられる
ツメコさんが背筋を伸ばし、両腕を大きく広げている
大きな四角い箱がいくつも並び、床には何枚かの布が敷かれている
「どう?印象いいでしょ?」
「今日うちでちょっとした準備してたの。」
「だからついでにみんなに分けてあげようと思って持ってきた!」
…
「うわ…」
アマミヤさんの体が少し縮こまり、頭がスケッチブックに隠れる
目を丸くして見つめ、口が少し開いたまま
…
「そんな…わざわざしなくてもいいのに…」僕はツメコさんの方に体を傾け、唇を歪めて笑う
「ただの…昼ご飯なのに…」
…
フッ…
「印象的でしょ?」ツメコさんが手を腰に当て、目を閉じる
「これだけ準備するの、結構時間かかったんだから!」
「でもなんとか全部やりきったよ!」
…
「でも…なんで…こんなにたくさん…」僕の片方の頰が少し引きつる
「どうせ…うちのちょっとした用なのに…」
「費用も…手間も…」
…
えっと…
「それは…」ツメコさんが顔を別の方向に向け、唇を歪める
「心配しなくていいよ…」
「うちは…全然気にしないから…」
…
「ツメコちゃん…実はお金持ち……」アマミヤさんがスケッチブックの後ろから目を覗かせる
……
バタバタ…
「もうそんな話はどうでもいいよ!」ツメコさんが手を激しく振る
「早く食べないと、美味しくなくなっちゃうよ。」
…
「こんなの…僕、受け取れないよ…」僕は敷物から少し後ずさる
「どう考えても…これ全部…」
…
スッ
「もう言い訳しない。」ツメコさんが片方の頰を膨らませ、顔を逸らし、お弁当箱を差し出す
「ハルくん。」
「受け取って、座って、食べて。」
「そうしないとこれから…」
「これからは、そっちから何ももらわないからね!」
…
すっ…
「じゃあ…」僕は両手でお弁当箱を受け取る
「いただきます。」
…
「そうこなくちゃ!」ツメコさんが微笑み、周りを見回す
「ミヤキちゃんも遠慮しないで。」
「そのまま座って食べちゃって!」
…
「…」アマミヤさんが小さく頷き、体を近づける
………………………………..
さぁーっ
木の葉が、今、絶え間なく揺れている
風に乗り、僕たちの髪を軽く揺らす
…
コトッ
「ところで…」ツメコさんが箸を置き、僕たちを見る
「さっきの授業、ちゃんとノート取れた?」
「先生の説明、難しくて声も優しいし。」
「結局私、ずっと寝てた。」
…
トン
「それなら…」僕はお弁当箱をそっと置く
「後で僕が教えてあげるよ。」
「僕、全部ノート取ってるから。」
…
「さすがハルくん!」ツメコさんが僕の方に体を寄せ、笑顔を浮かべる
「いつでも頼りになるよね。」
…
じーっ
「…」アマミヤさんがスケッチブックの後ろに隠れ、僕から目を離さない
…
「まさか…」僕は目を閉じ、体をアマミヤさんの方に向ける
…
「違うよ。」アマミヤさんが何度も首を振り、唇を小さく動かす
「でも…」
…
ぺらっ
「ハックン、ダメ…」アマミヤさんがスケッチブックを僕の方に向ける
「あの道に行っちゃダメだよ…」
…...
スケッチブックの上に、一枚の絵が現れる
一人の男の子が背筋を伸ばして座り、後ろの方に優しく微笑んでいる
もう一人の男の子は机に突っ伏しているのに、
手は相手の背中から離れていない
…
クイッ!
「これどういうこと、ハルくん?」ツメコさんが僕の襟首を掴み、顔をぐっと近づける
「なんでそんな道に行っちゃうのよ!?」
「何かあったら、ちゃんと私たちに言ってよ!」
…
「あ…そういう意味じゃなくて…」僕は周りを見回し、額に小さな汗が流れる
「実は…あの時…」
「レンが…僕の背中を借りただけで…」
…
ゆさゆさ…ゆさゆさ…
「どうしてあいつをかばうの…」ツメコさんが僕の体を何度も揺らす
「どうして私の前に来て、私をかばってくれないの!」
…
…
…………………………………………………..
タップ…タップ…
すぐ上の階段のところ
一人の人影、横に紙袋に入ったパン
指が携帯電話の上を滑っている
視線が時々、別の場所に流れる
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カリカリ…カリカリ…
教室の後ろの時計が、今、二時を打っている
教室のカーテンはほとんど動かない
白い文字がまだ黒板に現れ続けている
生徒たちの体が机に長く突っ伏している
何人かの視線は、まだ先生を追いかけている
……
「何も起きてない…よね。」コハリが机に顔を伏せ、目を大きく見開く
………
はぁ…
コハリの頭の中で、いろんな考えが巡る
「まあ、そうだよね。」コハリが顔を上げ、背中を少し丸め、ハルの方をチラリと見る
「どうせ昨日話したばかりなんだし。」
「他にもいろいろあったし。」
…
ガサゴソ…ガサゴソ…
「もう…」コハリがカバンの中に手を入れ、すべてのポケットを見回す
「…私、何考えてたんだろう?」
……
カバンの横の部分に、きれいに折りたたまれた一枚の紙が出てくる
「うわ?」コハリの目が大きく見開き、唇が小さく動く
「これって…何…」
…
さっ
「また誰かが適当に置いたのか。」コハリの目が細くなり、手が紙を引き出す
「本当に無神経だよね。」
……
パサッ
紙の内側に、文字の列が現れる
下の方に不思議な番号の列もある
「ハルが絶対忘れると思ってさ。」
「だからもし後でうちのガキが何か手伝ってほしいことがあったら…」
「下の番号で連絡して。」
…
「これ…」コハリの唇が小さく動き、頭を少し傾ける
「私、どうすればいいの…」
…
「…」コハリの目が携帯電話に向かって大きく見開かれる




