99 その会議、神の地で
船が着いた場所は、何もない大地だった。
見渡す限りの白い大地には何も存在していなかった。住民の姿どころか草木の一本も生えていない。殺風景な土地だ。
一方で、空はこの大地だけ暗雲に覆われているかのようだった。それでも大地にある白い砂がぼんやりと発光しているので、視界に不自由はない。
発光する白い砂と真っ暗な空は幻想的で、その場に万物が存在しないという寂寥感はない。むしろ汚れを許さない聖域めいた印象を受ける。
ドラコーンが主催した会議と聞いていたのでドラコーンの大陸で行われるものかと思っていたが、どうやらそうではないようだ。ヒトが一人もいないのに種族の大陸のはずがない。
この世界では七つの種族がそれぞれの大陸で生活している。それなら、大陸も七つのはずだが、ここは種族どころか生物がいない八番目の大陸になる。
「ライザー、ここは……?」
白い大地を歩きながら隣にいる聖騎士に訊ねる。
「神の跡地と呼ばれる場所だよ。神の大陸で、堕ちてきた大陸だ。」
「堕ちてきた? どこから?」
「空からだよ。他にないだろう」
視線が流れるように真っ暗な空に移る。
星の光も月の明かりもないので、夜空というわけではないらしい。単に墨で塗りつぶしたような空模様だ。
「何で堕ちてきたんだ?」
「さあね。未だに分かっていないんだ。まあ、神がいなくなった今では知りようがないけどね」
ライザーがお手上げというように肩をすくめる。
「二人とも、私語はそこまでに。そろそろ着きます」
前を歩くセレアが唐突に口を開く。
前を見ると、離れたところに建物があることが目視できた。近くに行くとその全貌が明らかになる。
建物はドームのような形状だった。下からの淡い光がライトアップのように建物を照らしている。ここの大地と同じ色の建物だが、同化することなく目立っていた。
建物の中に入って、幅の広い一本道の通路を渡る。
大きな部屋にでる。ここが会議の部屋だ。そして、俺が全種族の長の前で裁かれる場所となる。
「…………っ」
緊張から口が乾く。もちろん、今回のことは濡れ衣だと分かっているが、それでも大人数の前というのはどうしても緊張がが身体中を走る。
その部屋は簡素な空間だった。七つの席が輪の形で内向きに設置されている。部屋自体が広いこともあって開放感があった。まだこの島に到着していない種族が大半のようだ。
俺たちリグルートを除いて、一種族しかその部屋にはいなかった。
部屋にはひとつの椅子を挟むように立っている二人の男性がいた。先にこちらに気付いた男がこちらにゆっくりと近づいてくる。
その男は浅黒い肌に屈強な体格の持ち主だった。その姿は戦士と形容するにふさわしい。しかし反転して、その言葉は落ち着きを備えた紳士のそれだった。
「遠路はるばる、お疲れ様でした。リグルートの長、セレア・ヴィクトリア・スカーレット女王、並びにライザー・ロード・アザレッド殿。そして……」
男は俺の方を見る。
「君が件の女神の加護者か……。わざわざ呼び出して済まないな」
その言葉で、彼らがどこの種族か分かった。




