ジェシーズ
パンの評価は微妙だったけど、一つ行動出来た事は、ユーリのやる気を十分引き出してくれた。
次は何をしようか考えていたけれど、前世の知識チートとかで目立ってしまっては、学園に目をつけられるかもしれない。
考えあぐねていたら、ママがアドバイスをくれた。
「やるべき事と、ダメな事のルールを仮に作ってみたら。例えば、勉強はやるべき事だけど、試験は受けに行かない。王都と繋がりがある人とは交流をもたない。とか
あと、気をつけないといけないのは急に先進的な事をし過ぎると、良い行いでも反発を買うかもしれないし目立ってしまうから、ゆっくり浸透させるとか」
なるほど…とりあえず思いついた事を書きだしてみる。
【村の為になる事】
識学率をあげる
村の生産能力をあげる
健康増進に役立つ事をする
【追放ルート回避】
試験は受けない
王都と交流を持たない
恋愛の煩悩を捨てる
ママがメモを覗き込んで、
「ユーリ、煩悩ってあなた、好きな子でも出来たの?」
呑気に質問してくる。
「いや、いないんだけど、どーも王子と会ったらあたし恋愛狂いになって人様に迷惑かけちゃうみたいだから、早いうちに煩悩消しとかないと」
深い考えがあって言ったわけではない。
「それは免疫が無くて、初めて都会に出て洗練された王子に出会って恋してしまったんじゃないの?
抑圧されるとタガが外れた時怖いわよ。
逆に今から沢山の素敵な男の子を見ておく事で、王子への恋心が抑えれるか、もしかすると興味を抱かない事もあるんじゃない?
そもそも、若い女の子が恋愛の煩悩を捨てるだなんて!あり得ないわ!!」
何故かママの方がショックを受けていた。
恋愛って言っても、まだ今世では12歳だしあんまりピンとこないんだけど…
「若くて素敵な男の子達にときめいたりした事くらい、ユーリにもあるでしょう?!」
「いや、そう言われても…若い男の子ってあたしの生活圏内にいるの子供と幼児だし」
「王都に行った事もあるでしょう?」
いやー…食べ物とかオモチャとか見るのに必死だったからな…
ピンときていないあたしの顔を察したママは、
「ジェシーズの観劇見に行ったじゃない!若くてキラキラしている男の子達が、踊ったり歌ったりして、すごく素敵だったでしよう?!」
何だかすごく必死で言い募る。
ちなみに、ジェシーズは王都の人気の劇場で、若くて見栄えのよい年頃の男の子達にギラギラの衣装を着せて、演劇やコンサートを開いてくれる団体だ。
子供の頃ママに連れられて言った。
「ママは、やっぱり安定の『ストーム』とかがハマりやすいんじゃないかと思うのよ。メンバーそれぞれの個性があって、活躍の場も幅広いし。
ちなみに支援会に入ると会報や観劇の優先権も得られるわ」
メンバーの名前の入った、派手に装飾された扇子を持ちながら力説された。
「ママ…支援会入ってたんだね…」
「もう!『ストーム』の良さは見てみないとわからないのよ!ああ、でも王都にはいけないし…
ユンちゃんに『テレビ』作ってもらってくるわ!」
この間のあたしの前世の話で、すごく興味を持っていたらしいテレビを思い出したママは、引き止める間もなく家を飛び出して行った。
「ちょっ…ママ!ユンちゃんにムチャぶりし過ぎだよ」
慌てて連れ戻しにあたしも家を飛び出す。
あたしが無理に気持ちを押し込めたりする事の無いよう、気遣ってくれるのは嬉しいんだけど…
絶対自分が見たいだけでしょ!!




