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天尊降臨 ~神々の子は諸天万界を旅する~  作者: ポンタ
第一章 玉修門の使用人・凡吉
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玉修門は、やるときゃ、やる

「私は玉修門の外門堂・堂主、王(おう)曼玲(まんれい)である! 至急、支部長殿に面会したい!」


 凡吉がその声に反応して飄雲派の支部に目を向けると、そこには王曼玲を筆頭に外門堂の護法や師範代、果てには執法堂の護法や執法までいるではないか。しかも、全員馬に乗って。まるで戦争でも始めそうな勢いだ。

 支部からは飄雲派の弟子達がぞろぞろ集まってきて、何やら騒ぎ立て始める。その人ごみの中には、雷震(らいしん)の姿もあった。衣服が乱れているのと表情から察するに、未だに恐慌状態の様子だ。


「ぎょ、玉修門が何の用だ!?」


 雷震が威嚇するように問うと、曼玲は落ち着いた様子で、しかし怒りを露わにしながら、静かに言った。


「とぼけないで。あなた達、中原帝国の公主様とその侍従達を襲撃でしょ?」

「な、なんのことだ⁉」


 雷震は明らかに狼狽した。それを聞いた周囲の人々も、同様に騒ぎ始める。


(結局、こうなるのか……)


 凡吉はため息をつきながら、雷震を見る。

 雷震が狼狽しているのを見て、曼玲は冷たい笑みを浮かべて剣を抜き、雷震の首筋に刃を当てる。


「とぼけても無駄よ。既に調べはついているんだから」

「や、やめろ!」

「あなたがすべきことはたった一つ。凡吉という使用人を解放することよ」

「そ、そんな名前の者はいない……!」

「……そう?」


 曼玲が氷のような表情を浮かべると、それに恐怖を感じた雷震は反射的に叫んだ。


「どうせあの根暗な小僧だろうっ!? あいつのせいで、俺様も、俺様の子分達もやられたんだ! お互い様じゃねぇかっ!!」

「ふざけないでっ!」


――曼玲は一喝する。


「街道には凡吉どころか、あなた達の弟子達も見当たらなかった……おおかた、公主様を身を挺して庇った凡吉を捕らえたのでしょう? さっさと解放しなさいっ!」

「だからっ! 知らねぇって言ってんだろ!?

 あんたら、由緒正しい門派だろうがっ!? あんたらこそ、あんな怪物放っておいていいのか、あぁん!!?」


 雷震が悲哀を漂わせるほどの虚勢を張っていると、通りからまた一人、馬に乗った女性が現れた。しかし、彼女のいで立ちを見るに、どうやら玉修門の者ではないようだ。

 彼女は玉修門の者達の間を丁寧に礼を言いながらすり抜け、曼玲の横に並ぶ。


「あなたは?」


 曼玲が尋ねると、少し日焼けしているその女性は答えた。


「『大山(たいざん)緑龍(りょくりゅう)』の配下の者です。そちらは、玉修門の方々ですね?」


『大山緑龍』……その単語が聞こえた瞬間、周囲のざわめきはさらに激しくなった。女性は雷震に視線を向けて言った。


「『大山緑龍』からの伝言です。凡吉を解放して生き永らえるか、北山城ごと消滅するか、選べと……」

「だから……」


 雷震はもはや精魂尽き果てた様子で言った。


「あいつのことなんて知らねぇって言ってんだろ!!? 俺様達はっ、俺様はっ! あいつのせいで人生めちゃくちゃだっ!!」


 その様子を見て、曼玲とその女性は目を合わせる。


「どう思います?」

「……嘘じゃなさそうね」曼玲はそう言って馬の方向を変える。

「今から班に分ける。

 まずは、凡吉の捜索を担う班。

 次に北山城城主に今回の事を知らせる班。

 さらに、玉修門に現在の状況を伝える班よ」


 曼玲は続けて名前を呼んで三つの班を編成した後、彼女自身は城主に会いに行く班の班長となってその場を後にした。

 女性はその光景を目撃した後、雷震に向かって冷徹な声色で言った。


「嘘をついているようには見えませんが……あなたが凡吉を襲ったのは事実です。

 もし、『大山緑龍』の縄張りに入ることがあれば、そのことを思い出してください」

「っ!」


 脅迫が効いたのか、何も言えずにいる雷震と飄雲派の弟子達をしり目に、女性も馬の手綱を器用に操ってその場を後にした。

 雷震達は、今日は厄日だとかなんとか言いながら、支部の中に戻っていく……その光景を見ていると、凡吉は後ろから声を掛けられた。


「とんでもないことになったのぅ……」

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