↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/79

【最終章-6】暴かれる本性

「フン」


ブラックモア公爵は、鼻先で笑うようにリリィを見下した。


「私が襲撃を指示した証拠は、あるのか?」


「――陛下」


その時、入口から声が響いた。


「私はブラックモア公爵に命じられ、この学院に潜入し――リリィ・クローデルの殺害を命じられました」


「――!」


現れたのは、ヘクターだった。リリィに向け、申し訳なさそうな表情を浮かべながらも、真っ直ぐにその場へと進み出る。


「私の師、ベアトリクスが死んだのはリリィ・クローデルの仕業だと吹き込まれ――殺害を命じられました」


その言葉と共に、ヘクターは公爵を鋭く睨みつけた。


「――!」


ブラックモア公爵の顔から、明らかに血の気が引いていく。


「グレン」


ルドルフの声が、一段と冷たくなった。


「申し開きをする事はあるか?」


「陛下!これは罠です!この娘が、私を貶めるために――」


「――罠だと?」


その瞬間、それまで静かに沈黙を保っていたアークレイン公爵が、静かに口を開いた。


「――!」


ブラックモア公爵の肩が、ぴくりと震える。


アークレイン公爵は、冷たい視線でブラックモア公爵を射抜いた。


「では、問おう」


低く、しかし確かな声だった。


「なぜ我が息子オリビエと、エゼルロンド侯爵の娘サゴット嬢の縁談を貴殿が持ち掛けて来た?」


「――!」


リリィの心臓が、大きく跳ねた。


(ほよ・・・?お見合いって・・・罠・・・?)


「貴殿は、『家同士の結びつきが必要だ』と、強引に話を進めた」


アークレイン公爵は、静かに続けた。


「だが、今確信した。あれは――クローデル嬢を孤立させる為の罠だったと」


「――!」


リリィの胸が、ぎゅっと締め付けられる。


(あの時・・・お見合いも、仕組まれていたんだ・・・)


視界が滲み、涙がこぼれそうになる。あの日、悲しみを堪えながら「お似合いだと思うよ」と言った自分。何も知らなかった自分の姿が、脳裏をよぎる。


だが、リリィは震える声を、確かな意志で抑え込んだ。


「私・・・あの時、公爵邸に攫われ、捕らえられました」


まっすぐに、ルドルフを見据える。


「ですが、シーナさんとヘクターさんが助けてくれたお蔭で、ここに居ます・・・」


そう言うと、リリィは懐から一冊の手記を取り出し、静かに差し出した。


「陛下、この手記もご覧ください」


そこに綴られていたのは、ベアトリクスが生前に残した、最後の言葉たちだった。


公爵に仕えたことへの後悔。弟子を妾に差し出し、死なせてしまったことへの深い悔恨。憎き公爵の命令で、罪なき少女を殺めよと命じられた葛藤。そして――自身すらも殺すと予言された少女への、複雑な想いと、心からの謝罪。


「――何と」


ルドルフは、深く頭を抱えた。


「儂は・・・彼女に、とんでもない汚名を着せてしまっていたのか」


その声には、抑えきれない後悔が滲んでいた。


「陛下」


リリィは、静かに、しかし強い意志を込めて告げる。


「私は、ベアトリクスさんの名誉回復を進言します」


「――黙れ」


震える声で、公爵が叫んだ。


「黙れ、小娘!!貴様さえいなければ・・・!!」


その醜態を、ルドルフは冷ややかに見下ろした。


「公爵よ」


鋭い声が、辺りに響く。


「貴殿の言葉が――貴殿の罪を証明しておる」


「――」


追い打ちをかけるように、アークレイン公爵が続けた。


「息子を利用し、少女を捕らえる為に”縁談”を使うとは……貴族の風上にも置けぬ」


その声は、氷のように冷たかった。


「もはや、弁明の余地はない」


その一言が決定打となった。


「――ふ」


ブラックモア公爵の口から、乾いた笑いが漏れる。


「小娘め・・・やってくれたな」


その表情から、取り繕っていた仮面が、完全に剥がれ落ちた。


「来い」


低く、しかし確かな声で、公爵が呼びかける。次の瞬間、周囲の物陰から、次々と刺客たちが姿を現した。その数、およそ十人。


「ここに居る者達を、始末しろ」


冷酷な命令と共に、公爵は懐から魔導具を取り出し――雷の矢を、静かに展開し始めた。

ここまで読んでいただきありがとうございます! もし『続きも気になる!』と思っていただけましたら、下のほうにある【ブックマーク登録】や、☆☆☆☆☆から【評価(5段階)】をポチッと押していただけると、執筆の激しい励みになります! よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。