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【最終章-2】師匠からの贈り物

ある日の夕方、リリィたちは寮の食堂で夕食を囲んでいた。


「リリィ、あんた宛に荷物が届いているよ」


寮母のゼシカが小さな包みを手に近づいてくる。


「ほよ?誰からだろう?」


宛名を見た瞬間、リリィの表情がぱっと輝いた。


「師匠からだ!」


ウキウキとした足取りで急いで食事を済ませるとリリィは自室に戻り、包みを開ける。中には一通の手紙と腕輪型の魔導具が入っていた。


「ほよ〜綺麗な魔導具・・・」


見とれてしまうほどに美しい細工が施されたその腕輪を眺めながら、リリィはふと違和感を覚えた。


「ほよ?魔導具なのに何の魔法が付与されてるのか分からない・・・?」


大抵の魔導具は視るだけでどんな術式が刻まれて、どんな効果を持つのかが分かる――それは、マリアンヌの修行によって培われたリリィの特技の一つだった。だが、目の前のこの魔導具は、まるで濃い霧に包まれているかのように、その中身を一切見通すことができなかった。


「きっと師匠からの挑戦状かな。この付与魔法を当てろ、的な」


小さく笑いながら、リリィは手紙を開いた。


――学院生活は楽しんでいるか。あと、リリィがいなくなってからお酒の消費が増えてしまったこと――なんともマリアンヌらしい、他愛のない近況が綴られている。


だが、二枚目の便箋に目を通した瞬間、リリィの表情が一変した。


「――!」


そこに記されていたのは、この魔導具に込められた本当の意味。さらに、これからマリアンヌが起こそうとしていることの全貌だった。


「師匠は・・・私を守る為に、こんなことを・・・」


その事実に、じわりと胸の奥が熱くなる。


「師匠、私・・・やるよ」


震える手で、リリィは腕輪をそっと手首にはめた。


「ちょっと怖いけど・・・皆とこれからも、楽しく過ごせるように・・・頑張る」


その瞳には、確かな決意が宿っていた。


――


オリビエは自室で父アークレイン公爵から届いた手紙を読んでいた。


国王の学院視察に付き添うこと、ブラックモア公爵も同行するということ。どうやら視察を提案したのがマリアンヌだと言うこと。


「まさかマリアンヌ様が学院視察を提案しただなんて」


オリビエはマリアンヌが何を思って提案したのか分かりかねていた。


「もしかしたら、ブラックモア公爵に一泡吹かせるつもりとかか?」


エリオットが口に手を当て言う。


「あぁ、可能性は無くはない。でも、どうやって・・・?」


「あの方の考えはマジで分からんからな。リリィが何も知らされてなかったら、俺たちじゃ何も分からん」


そう言いエリオットは紅茶を一口飲む。


「そうだね。それにブラックモア公爵も何か仕掛けて来るかもしれない。用心しないとね」


オリビエがそう言い窓の外を見る。リリィにもしもの事があったら、その時は自分が身を挺してでも助けよう。そう決意した。

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