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【第5章-8】やっと言えた

学院長室を出たリリィ達はその足で医務室へ向かう。


「オリビエ、来てくれてありがとう」


少し申し訳なさそうにリリィは言う。友達を刺客の手から遠ざける為に距離を取ってしまった事をリリィは気にしていた。


「いや、気にしないで」


何時もの爽やかな笑顔で言うオリビエを見てリリィは安堵する。


「あと、この前は冷たく突き放してゴメンね」


俯き言うリリィにオリビエは頭を撫で優しく言う。


「私達が巻き込まない様にしたのだろう?気にしていないさ」


オリビエの優しさにリリィはもう友達を避けないと心に決めるのだった。


――


医務室には既にミリアムとティオが居てロナはベッドから起き上がり談笑していた。


「あらリリィ、それにオリビエ様とエリオット様も来てくれましたの? ありがとうございます」


ベッドに座ったロナが、少し照れくさそうに笑う。その顔を見た瞬間、リリィは思わず駆け寄り、勢いよく抱きついた。


「ロ〜ナ〜。無事で良かった〜」


涙目になりながら、ぎゅっとしがみつくリリィに、ロナはくすりと笑う。


「特に怪我とかしてないし、魔力を吸われたくらいだから大丈夫よ」


そう言って、優しくリリィの頭を撫でる。


「でも、魔力が枯渇寸前だったそうじゃない」


ミリアムが、真剣な表情で口を挟んだ。


「もう少しで、本当に死んじゃう所だったのよ」


その言葉に、ティオも神妙な顔で頷く。


「まあ、でも」


ロナは、ふと表情を緩めた。


「リリィが、助けてくれたからね。カッコよかったわよ。”私は私の手で、皆を守る”って言ったの」


「――!」


その瞬間、リリィの顔がみるみる赤くなる。


「え、いや、あれは、その・・・うん。ロナを守りたかったから・・・」


たじたじになりながら、リリィは照れくさそうに視線を泳がせた。


「改めて・・・皆、ごめんね」


一呼吸置いて、リリィは真剣な表情で切り出した。


「私、皆を危険にしたくなくて、距離を取ってた・・・。でも、ロナが危ない目にあって、分かったの」


そこで一度言葉を切り、リリィはまっすぐに五人を見つめる。


「私が、皆を守るんだって」


いつになく真面目な口調だった。


「ええ」


ミリアムが、そっとリリィの頭を撫でる。


「リリィが、そういう理由で距離を取ってたのは、分かってたわ。私も、貴女に何もしてあげられなくて――ごめんなさい」

「わ、私も・・・何も出来なくて・・・ただ、寂しがるだけで・・・」


ティオも、肩を落としながら小さく呟く。


「まあまあ」


ロナが、ぱんと手を叩いて場の空気を切り替えた。


「結果的に侵入者も倒せたし、リリィも炎魔法を克服出来たんだし。良かったんじゃない?」


その明るい声に、ようやく皆の顔にも笑みが戻る。


「ほよ、あの時は怖かったけど・・・ロナを助けなきゃって思ったら、必死だったから」


照れくさそうに言うリリィの頭を、ロナはもう一度優しく撫でた。


「何か、久しぶりにリリィの”ほよ”を聞いた気がするわ」


くすくすと笑いながら言うロナに、リリィはきょとんと首を傾げる。


「ほよ?そうだっけ?」

「「「――ふふっ」」」


その反応に、三人は思わず声を揃えて笑った。


オリビエとエリオットは4人のやり取りを暖かな眼差しで見つめていた。


穏やかな笑い声に包まれながら、四人は連れ立って、寮への帰路についた。

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