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【第3章-7】危険な魔法

オリビエが目を開くと、リリィが前に立ち防御魔法を展開していた。


「リ、リリィ・・・」

「大丈夫?オリビエ」

「あぁ、でもどうして?」

「大きな音が聞こえたから飛んで来たの」


飛んで来た

浮遊魔法で来たと言う事だろうか、そもそも浮遊魔法は1年は習わない筈。そんな事がよぎったオリビエだが、今はそれどころではないとリリィに手短に説明をする。


「エリオットが不審な影を見つけて現場に言ったんだ。それで、戻ってきたら急に襲って・・・」


苦虫を嚙み潰したようにオリビエが言う。やはり共に行くべきだったと今更ながら後悔する。リリィは驚くが、エリオットの纏う魔力に異質なものを感じる。森に現れた毒尾蠍と同じ異質な魔力を。


「えっと・・・毒尾蠍の時と同じ、変な魔力を感じる・・・」

「変な魔力・・・?」

「うん、あの時も変な魔力を感じたの」

「まさか、毒尾蠍もエリオットもその魔力の影響で襲った?」

「多分、この魔力が無くなれば元に戻ると思うんだけど・・・」


リリィにもこの異質な魔力の正体が掴めずにいた。いや、思い出せずにいた。


(師匠が持ってた本にあったような・・・)


果たして何の本だったか、リリィが考えている間もエリオットは雷魔法を連発するもリリィの防御魔法に阻まれていた。その状況に業を煮やしたのかエリオットは腰に携えた剣を抜き斬り掛かる。元々はオリビエの護衛として魔法だけでなく剣も多少は扱える為に、そして何時でもオリビエを守れる様に学院側も承知して許可を出している剣をオリビエに向かい振るう。


リリィが展開している防御魔法はあくまで魔法を防御する物で、物理的な防御では無かった。それが災いしたのか剣はオリビエの目の前に迫っていた。


のだが・・・


「危ないっ!!」


咄嗟にリリィが物理防御の魔法を展開しオリビエを守る。


「あ、ありがとう・・・リリィ」

「気にしないで、それより思い出したの」

「思い出した?」

「うん、前に師匠が持ってる禁書の中に似た禁術があったと思う」


さらっと禁書やら禁術とか出て来るのは何なんだとツッコみたくなったが、今はそれどころではない。オリビエは普段の爽やかさが無く縋る様にリリィに問う。


「それはどんな魔法!?エリオットは元に戻るの!?」

「この魔法は精神支配の禁術だと思う」


その一言にオリビエは息をのむ。精神支配は対象を意のままに操る魔法として、倫理に反するとして禁術指定にされた魔法。そんな恐ろしい魔法があるなんて。


「多分、毒尾蠍もエリオットも誰かに精神支配を掛けられたから襲ってる」

「それは、元に戻せるの?」


オリビエが恐る恐る聞くが、リリィは少し考えて首を縦に振る。


「やった事はないけど、必ず助けるからね」

「あぁ、頼む。私にとってエリオットは・・・大切な幼馴染なんだ・・・」


エリオットは護衛として常に傍に居てくれるが、オリビエとしては幼馴染として共にこの学院生活を送りたい。そういう関係で居たい、そう願っていた。


「大丈夫だよ」


リリィは穏やかな笑顔で言う。この人は公爵の子息だけど、幼馴染を大切にする人なんだなとリリィはオリビエの本心が見えた事を嬉しく思う。


「じゃあ、やるね」


そう言いリリィはエリオットに拘束魔法を掛け跪かせ頭に手を乗せる。苦しそうな声を上げるエリオットをオリビエはただ見守ることしか出来なかった。


(やっぱり、精神支配を受けてる・・・)


リリィに緊張が走る。精神支配の解除なんてやった事がない・・・だが、やらねば・・・

エリオットの頭に魔力を流す。ゆっくり、エリオットが壊れない様に。


(精神支配の術式を解けば・・・)


必至に抵抗するエリオットだが、拘束されて動けずにただ獣の様に叫んでいた。


やがて、エリオットは落ち着き操り人形の糸が切れた様にぷつりと倒れる。


「ほよ~出来た~」


先ほどまでのキリっとした口調から普段の口調に戻ったリリィは座り込む。相当集中したのか額には汗が滲み出ている。


「エリオット!!」


オリビエが駆け寄り倒れたエリオットを抱えようとする。


「オ、オーリ・・・」

「エリオット!!無事で良かった・・・」

「俺・・・は・・・?」


目を覚ましたエリオットはゆっくりと起き上がり周囲を見回すが酷い頭痛に見舞われ頭を押さえる。


「無理しないで、精神支配を受けたから少し安静にして」

「精神・・・支配・・・?」


精神支配を受けていた事を覚えていないのかエリオットは何が起きたのか分かっていない様子だった。


「君たち、大丈夫かい?」


騒ぎを聞きつけたのかケビンが駆け付けてきた。オリビエが状況を説明しているとロナ達がリーシャと共に走って来た。


「リリィ!大丈夫?」

「ほよ?私は大丈夫だよ?」

「もう、窓から急に飛んで行くんだもの心配したわよ」

「でも、この状況は・・・?」


その後に駆け付けたガルシアとジョシュアにも状況を説明し、エリオットは念の為医務室へ運ばれた。友達を助けられた事にリリィは安堵し、オリビエも幼馴染が無事な事に安堵した。

ここまでお読みいただきありがとうございます!面白いと思っていただけたら、ぜひ『ブックマーク』や『評価(☆☆☆☆☆)』をよろしくお願いします!

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