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栄護士りぼん 異世界大豆生活  作者: 多胡真白
第13話 滋味深き街の食卓
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尾行を中止しました

しかし…わたしの格好、目立ち過ぎて尾行に向かないのでは?なんたって、メイド服を着た新参者の平たい顔族です。せめて何か荷物でも抱えて、外に用事のあるメイドを演出できれば…あ、ウエンツにきなこの風呂敷包みを忘れた!取りに戻らなきゃだけど、戻ったらオリバーくんを見失っちゃう…!とまごまごしていたら、

「よう、何かしてんだい?」

「わひゃあ!」

うしろから肩をごつい手で叩かれ、あまりに驚いて変な声が出ました。恐る恐る振り返ると、驚いた顔のルカさんがいました。

「す、すまねえ。驚かすつもりはなかったんだが」

「あ、いえ、あの、その」

ルカさんに何て言い訳しようと考えながらも、わたしの視線はついオリバーくんの背中に戻りました。わたしの視線の先を追って、 ルカさんもオリバーくんに気づいたようです。

「オリバーがどうかしたのか?声をかければいいじゃないか」

「えーと、あの…」

「あ?」

(こ、怖い…!)

眼前の強面のしかめっ面の迫力に屈して、わたしはうしろめたい企みを告白してしまいました。

「…というわけです」

「なんだ、そんなことか。あいつはな、…おっと、今のは忘れてくれ」

「何か知ってるんですか?」

「知らん知らん。だけど、今は詮索しないでやってくれ。いずれわかるから」

「はあ、ルカさんがそこまで言うなら…」

「ところで、あんた暇そうだが、暇ならちょっくらうちに来てくれないか?」

「えっ、ナンパのお誘いですか?それはちょっと…。マッチョはタイプじゃないですし、中年男性は年上過ぎるというか、中年特有の粘着質な欲望がキモ…生理的に無理というか…」

「なんで俺が振られたみたいになってんだよ。俺のほうこそ金床は願い下げだ」

「顔面にパフェ投げんぞコラ」

「いいから来てくれ。調理器具について詳しく聞かせて欲しいんだよ」

「む」

調理器具と聞いては無碍にできません。なにせ包丁は切れない(からぶつ切りにするしかない)、まな板がないから不衛生、菜箸が欲しい、計量スプーンがないから粉や水の分量を正しく計れないなどなど、困り事は枚挙に暇がありません。計量スプーンはオリバーくんががんばって作ってくれているのですが、どうしても使い勝手が一本一本異なる一品ものになりがちです。

「でも、ウエンツに忘れ物をしてしまって、取りに行かないと」

「あとでいいだろ。そう長くは時間取らせないからよ」

「うーん…まあそれなら」

きなこはあとで取りに行くことにして、わたしはルカさんについて工房へ向かいました。


ルカさんは扉にかけられた大きな南京錠を開け、工房の内側に開いた扉を手で押さえてわたしを先に通しました。続いてわたしをカウンターに案内し、椅子を引いて着席を促します。レディーファーストとは、ルカさん意外と紳士です。対象外ですけど。

「気の利いた飲み物じゃなくて悪いが」

わたしの前に置かれた木のコップは、透き通る黒い液体が注がれていました。

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