干し鱈のタルタルサンド(前編)
そんなことをつらつら考えながら、来た道を戻ってウエンツに向かいました。ランチタイムに近づき、通りを歩く人が増えてきました。のんびり歩いているのはわたしくらいのものですが、あのお店のことですし余裕で座れるでしょう(失礼)。
ところが、お店の玄関をくぐってみると、今日に限って(失礼)お客さんでいっぱいでした。
「いらっしゃいませ、りぼんさん。いつもの席が空いてますよ」
カマーベストをばっちり着こなしたいつもの店員さんで、フランツさんが信頼するソフィーさんが出迎えてくれました。
いつもの席とは、お店の奥の壁を背にしたおひとりさまテーブルの席です。他の席と比べてひっそりとしていて、小心者のわたしは地味な地味な方向に流れちゃいました。
でも、いつもの席と言っていただけるとテンション上がりますね。ついにわたしも見知らぬ土地でなじみのお店ができたかと思うと、ちょっと感慨深いものがあります。
「本日のおすすめは『干し鱈のタルタルサンド』です。干し鱈のフライに特製のタルタルソースをかけた当店自慢のサンドイッチです」
干し鱈…ごくり。干し鱈は生の鱈をガチガチの塩漬けにして乾燥させた食品で、塩抜きに相当な時間がかかります。塩分がきついものは1日以上水に浸けないと塩辛くて食べられません。鱈と言えば、豆腐と鱈の鱈ちりなべが食べたいなあ…。ああ、早めに豆腐を検討せねばなりませんね。
ちなみに干し鱈は高たんぱく低カロリーな食品です。ざっくばらんに比べますと、生の真鱈の切り身のだいたい1/3から1/4の量(25g)で、鶏のささみ2本とほぼ同量のたんぱく質18gを含んでいます。生の真鱈なら100gで同量ですが、生だと他の魚とそう変わりません。
もちろん塩漬けですから、塩抜きしても塩分に気をつけて。…と言ってもですね、意外に思われるかもしれませんが、80kcalあたりで比べますと、伊達巻とかはんぺんとか、他の魚介の加工品のほうがはるかに塩分が多かったりします。普段の食事のほうに落とし穴があったりするものです(結局干し鱈は健康にいいのかよくないのかって?んもーそう聞かれたら『食べ過ぎダメ絶対』という無難かつ曖昧な回答しかできないじゃないですかーやだー)。
脂質過多、塩分過多の不摂生な生活で怒られたわたしも気をつけなければいけません。んな、干し鱈とタルタルソースなんて塩分が多いメニューなんか…
「それとコーヒーをお願いします」
これは調査です。お店にヘルシーなメニューを提案するためには、まず既存のメニューから知らないといけません。いけないのです。
「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」




