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栄護士りぼん 異世界大豆生活  作者: 多胡真白
第13話 滋味深き街の食卓
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思い出して腹が減る

しかし、オリバーくんは管理人室にもどこにもいませんでした。ブラウンさんも出かけているらしく、管理人室をノックしても反応がありません。

今日はアンジェリカもいません。アンジェリカは朝早くからりんごの収穫のお手伝いのバイトに行っています。冒険者ってなんだろう。

「あ〜、お腹減った…」

誰も見ていないのをいいことに、管理人室のドアに背を持たれて座り込みました。冷凍食品をレンジでチンすればプロの味に引けをとらないお昼が食べられる現代に慣れたもやしっ子にとって、ここはとかく面倒です。水は井戸から汲まないとだし、オーブンは薪から火を起こさなきゃだし、包丁は全然切れない。野菜がくたくたになるまで煮込むスープやシチューが主流なので、きめ細かな包丁さばきは不要なのです。

はじめてスープを食べたとき(ここではスープを『食べる』と言うようです)、噛みごたえのない野菜に違和感がありました。が、じっくりコトコト煮込んだスープは、滋味深く優しい味で、一口啜るたびに凝り固まった体の疲れが消えるようでした。

というか、こちらの野菜は全体的に水分が少なくて生食に向いていません。加熱して旨味を引き出すのが最も手軽で美味しい調理法なんでしょう。

昨日の夕食で初披露したクラリッサさんのじゃがいもは、満場一致で大好評でした。調理方法はいたってシンプルで、皮つきで塩でゆで、発酵バターを添えて各自お好きに召し上がれ。久々のホクホク感と食感が身に沁みました。あのじゃがいももやはり、極限まで改良された現代の品種にはない野性味があります。なんというか、じゃがいもが育った畑が思い浮かぶような、いい意味で土を食べている、そんな感じがするのです。でもま、きたあかり100%のコロッケが恋しいですが…。

俄然、煮込みハンバーグへの期待が高まります。ただし、きっちりエプロンをつけさせて、ここのキッチンで調理させないと衛生的にやばいです。なにせ、棚の下に紛れ込んでいた紅茶の葉が腐っていたような汚部屋ですから(『死にはしませんよ』と平然と言い放つのでお茶会は全力で辞退させていただきました)。信じられるのは未開封の瓶詰めのコンフィだけです。…信じられるよね?


腹が減ってはなんとやら。結局、いつものようにウエンツで昼食をいただくことにしました。

きなこを小さな木箱に入れ、アンジェリカ御用達の綺麗な布で包んで、ミニ風呂敷包みの完成です。ロングスカートのクラシカルメイド服の着替えにもすっかり慣れました。…こうしてわたしの一使用人としての階層意識が養われていくのでしょう。

メイドはつらいよ。


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