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栄護士りぼん 異世界大豆生活  作者: 多胡真白
第12話 不思議の芋の錬金術士
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じゃがいも一本釣り

「たかが食材に何をそんなに興奮してるのよ。わたしは耳にしたこともないわ」

「何を言いますか!じゃがいもはカロリーが高くて体力がつくし、ビタミンCやミネラルが豊富に含まれてる優秀な食材なのだよ!」

「ビタミンC…ああ、免疫力がどうのってやつね」

「ビタミンCは野菜かいもか果物からしか摂れないんだ。でも野菜を大量に食べるのは難しい。四群点数法だと野菜といもと果物はまとめて第3群で、それぞれを毎日1点食べられたら理想的なの。ここらにじゃがいもはないみたいだから、栽培できれば健康増進待ったなし!」

「確かビタミンCは水や加熱に弱いんじゃなかった?じゃがいもは生で食べられるの?」

「よく覚えてるね。その通りです」

じゃがいも1点=110g(1個と考えてください)に含まれるビタミンCの量は39mg、結構な量です。蒸すなどして加熱調理後は15mlから20mlに減ります。ビタミンCの一日の推奨摂取量は成人女性・成人男性共に100mgなので、調理したじゃがいも一つで1/5をまかなえます。と言っても野菜と同じく、一日にじゃがいもを1つ食べるのは簡単ではないでしょう。じゃがいもほどではないですが、さつまいももビタミンCがそこそこあるので参考にどうぞ。

ただし、じゃがいももさつまいもも、乾燥させるとビタミンCがほとんど消えてしまいます。乾燥マッシュポテトや干しいもはビタミンやミネラルの供給源になりません。

「一応じゃがいもは毒のある芽を除いて生食できるけど、普通は加熱調理して食べます。だがしかし!じゃがいものビタミンCはでんぷんで覆われてるので、加熱してもビタミンCは壊れにくいのだよ。しかも長期保存ができて、何より美味しい!焼いても炒めても煮ても蒸しても揚げても美味しい!これ大事。絶対アンジェリカも気に入るって」

「ふうん…。まあ、りぼんもランクを上げないといけないし、そこまで重要なら、次の依頼を引き受けてもいいわ」

クラリッサさんは柔和に微笑みました。

「ありがとうございます。それではさっそくですが、わたしのアトリエにご足労願えますか?そこで具体的な仕事内容をお話しします」


クラリッサさんがアトリエを営むリディス通りは、わたしの勝手な予想に反して、素朴な造りの家とお店が立ち並ぶ住宅街でした。地に足をつけた生活感があふれ、歩いていると自然と心の緊張が解けてきます。

「おっと」

角から飛び出してきた子供がわたしの傍を駆け抜けました。数人の子供がそれに続き、みんなキャッキャと笑ってその子を追いかけていきました。

「こら、危ないわよー!」

クラリッサさんが注意すると、ごめんなさーい、と遠くから軽い返事がありました。こちらが叱り慣れていれば、あちらも謝り慣れているようです。

「ごめんなさいね、あの子達いつもこうなの」

「いえいえ、元気で結構ですよ」

ふと、宿のオリバーくんを思い浮かべました。あの子たちみたいに、オリバーくんが同世代の子と走りまわる様子をまだ見ていません。大豆料理で少しでも元気になってくれるといいな。幸い、豆乳以外はよく食べてくれているし、石臼もいただいたので、新しいレパートリーを増やしていきましょう。


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