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栄護士りぼん 異世界大豆生活  作者: 多胡真白
第12話 不思議の芋の錬金術士
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進撃の錬金術士

「クラリッサさん、今日のご用件は何でしょう?もし今回の仕事に何か問題があったなら、まずギルドに話を通してもらえないかしら。引き受けた依頼について、ギルドの許可なく依頼主と直接的な交渉をするのはあまり歓迎されないの。報酬を巡ってトラブルになるケースがあとを絶たないから」

「まあ、これは申し訳ありません。実は、次の仕事もぜひお二人に引き受けていただきたいのです」

「次の?なぜかしら」

「先程も申し上げた通り、地味な仕事にはなかなか応募が来ないんです。錬金術士という仕事を胡散臭く見る人も少なくありませんし、それに、この目でしょう?」

クラリッサさんは自分の目を指差します。

「中にはこの目を気味悪がって、受注した依頼を取り消される方もいます。この目に特別な力なんてないんですけどね。

わたしたち一族の特徴であるオッドアイは、錬金術の神秘性を高める特別な道具になる一方で、普通の人として日常に溶け込むのを阻む壁にもなっています。だからこそ生計を立てられる面がなきにしもあらずなのですが、このままだと新参者のわたしはアトリエを畳まざるを得ません。

お二人とは今日が初めてですが、実際にお会いして、偏見なくわたしとお付き合いくださる方だと確信しました。どうか、今後ともお付き合いいただけないでしょうか?」

偏見持ってたよ?錬金術士クソ怪しいと思ってたよ?

しかし、アンジェリカは動じません。

「悪いけど、あなたの依頼を優先するメリットはあるのかしら?同じ報酬額ならやりがいのあるほうを選ぶわ。正直言って、あなたの依頼はつまらなさそうだもの」

「もちろん、ただでとは申しません。お二方のCランクの昇格に必要な推薦状を一筆したためて差し上げます。わたしの依頼を今後も引き受けていただけたら、です」

先日、半分以上わたしたちのせいでランク昇格の条件が変更され、実績だけでなく三人以上の推薦が必要になりました。推薦人のあてがないわたしたちにとって渡りに船ですが…。

「あなたが?Cランク昇格の推薦人はBランク以上でなければならないのはご存知かしら。失礼ですけど、自分のお店が閉店の危機にあるあなたはとてもBランクには見え…」

「わたしはBランクですよ」

クラリッサさんが胸元から取り出した冒険者の身分証を見て、アンジェリカは目を丸くしました。

「半年前にここに越してくるまでは、花の都リオンで錬金術の修行を積んでおりました。自分で言うのもなんですが、知る人ぞ知るアトリエだったんですよ」

(リオンってどこ?)

(学者や芸術家が集まる都市よ。あそこでBランクを取ったなんて信じられない…!)

「どうですか?お二人にとって悪くない申し出だと思うのですが」

「う…そ、そうね…」

「ところで、りぼんさん」

クラリッサさんは標的をわたしに変えました。

「は、はい?」

「納品していただいた玉ぼこの使い道が気になりませんか?」

「わたし、薬のことはわからないので、特には…」

「気になるでしょう?」

「いえ、別に…」

「気になりますよね?」

「…気になります」

クラリッサさんの微笑みが怖いです。

「玉ぼこはすり潰して漉すと、でんぷんを抽出できます。でんぷんで粉薬を包んで固めると、飲みやすい錠剤を作れるんです。非常に好評で、わたしのアトリエの目玉商品なんですよ」

「へえ…でんぷんを…」

「はい。りぼんさんなら『じゃがいも』と言えばおわかりになるのではありませんか?いつかアオイさんとお話したときに、あなたの国では玉ぼこがそう呼ばれていると知りました」

「なん…ですと?」

クラリッサさんの目が勝ち誇ったような気がしました。

「はい。残念ながら玉ぼこは毒性が強くて食用には向きませんが、わたしの故郷では食用に改良した玉ぼこ、つまりじゃがいもを錬金術に使っています。持参したじゃがいもが残り少なくなり、取り寄せると時間もお金わかかるので、しばらくは玉ぼこで代用するつもりです」

そう言うと、クラリッサさんはバッグから布にくるんだじゃがいもを取り出し、わたしに差し出しました。

「どうぞ、これがわたしどものじゃがいもです。一族以外の方への譲渡を禁止されている門外不出の一品なのですが、お二人の協力で街の発展に貢献できるのなら、父も母も例外を認めてくれるでしょう。お食事のお礼に、のちほど一箱まるまるお譲りします。お返事次第では、栽培方法もお教えいたします」

「アンジェリカ!クラリッサさんの依頼を引き受けよう、そうしよう」

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