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栄護士りぼん 異世界大豆生活  作者: 多胡真白
第12話 不思議の芋の錬金術士
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ドカ食いの行方

「どうぞ、お召し上がりください」

病気でも中毒でもなくて一安心したわたしは、すぐに用意できる簡単な食事をお出ししました。

「こちら、おからのパウンドケーキと枝豆です。枝豆は殻から豆を取り出して食べてください。豆で盛り上がった部分を指ですぎゅっとつまむと飛び出ます」

パウンドケーキを三切れと皮つきの枝豆をひとつかみ、デザートにうさぎの飾り切りをしたりんごを乗せたワンプレートです。

プレートの隣に、きらりと光る、ずしりと重い本物の銀のフォークを添えました。お客様用だそうです。ブラウンさんはしばらく使ってないと言ってましたが、それでもきちんと手入れされているのが一目瞭然です。

「オカラ…?エダマメ…?失礼ながら、どういった食材なのでしょうか」

「おからは、大豆という豆を絞ったあとの残りかすで作った食品です。枝豆は、若い大豆をゆでたものです。大豆は肉や魚と並ぶくらい栄養たっぷりなんですよ。あっ、もしアレルギーや文化的な理由で口にできない食材がありましたらごめんなさい」

実は、大豆もアレルギーの原因となる食品の一つです。食品のパックに書かれているアレルギー物質に『大豆』が含まれているのを皆さんも見たことがあるでしょう(冷凍食品はアレルギー物質をわかりやすく表記してある製品が多いです。パックの裏を見てみてください)。大人になってからでもアレルギーを発症する可能性があるので、大豆が健康にいいと言えども、やっぱり食べ過ぎには気をつけましょう。

ちなみにアレルギー物質のうち、特に重大な症状を引き起こす&アレルギーの人が多い7品目に表示の義務があります。『卵』『乳』『小麦』『そば』『えび』『かに』『落花生』です。義務はありませんが、可能な限り表示すべき20品目のうちに大豆が含まれています。こちらも紹介しておきますと、『あわび』『いか』『いくら』『オレンジ』『キウイフルーツ』『牛肉』『くるみ』『さけ』『さば』『大豆』『鶏肉』『豚肉』『まつたけ』『もも』『やまいも』『りんご』『ゼラチン』『バナナ』『カシューナッツ』『ごま』です。

「特に口にできない食材はありませんのでご安心ください。それでは、ご厚意に感謝して…いただきます」

いざクラリッサさんが食べ始めると、お皿はあっという間に空になりました。本当にお腹が空いていたんでしょう。枝豆を恐る恐るつまんで、飛び出た豆に驚く様がかわいらしいです。

「ごちそうさまでした。大変美味しかったです。このりんごの飾りもかわいいですね」

「お粗末さまでした。お体は落ち着きましたか?」

「はい。ご迷惑をおかけしました」

クラリッサさんの食べっぷりを見ていたアンジェリカは、半ば呆れた様子で言いました。

「三日も食べてなかったなんて、錬金術士って相当忙しい仕事なんでしょうね」

「いえ…お恥ずかしい話ですが、わたしのアトリエはとても繁盛しているとは言えません。そのくせ、錬金術は設備の維持に大金がかかる金食い虫なんです。今回は次の仕事の材料がきれてしまって、仕方なく食費を削って報酬に上乗せして急ぎの依頼にするしかありませんでした。

ですが、植物の採取という地味な仕事はやりたがる人が少なくて、毎度なかなか引き受けてくれる人がいないんです。お二人がすぐに引き受けてくださったおかげで、何とか納期に間に合いそうです。足が出てしまいますけれど」

「食費を削って…?」

食費を削ってそのプロポーションは何よ?どっから栄養来てるのよ?水と酸素からイソフラボン摂ってんのか?という嫉妬じみた心の叫びをぐっと抑えました。

「お気になさらないでください。わたしは一旦作業を始めると寝食を忘れて没頭する癖がありまして、作業中は空腹が気にならないのです。気になってきたら手の届く範囲にあるものを一気に食べられるだけ食べて、また作業に戻ります」

「不規則な時間にドカ食いですか?ドカ食いは体に悪いですよ。端的に言うと行き着く先はデブです。どうあがいてもデブです。デブまっしぐらです」

空腹時に一気にものを食べると、血糖値が急激に上がります。すると、血糖値を下げるためのインスリンも大量に分泌されます。インスリンは糖質を脂肪に変えることで血糖値を下げるので、血糖値が上がると脂肪が増えて太ります(ドカ食いの代表は力士です。この意味わかりますね?)。

唐揚げとカップ焼きそばのドカ食いでこの世界に放り込まれたわたしが言っても説得力ないですよね。わかります。

「集中を途切れさせないためには食事を用意する時間も食べる時間も惜しくて…。簡単に用意できて、早く食べられて、しかも栄養のある食べ物はありませんか?」

「クラリッサさんの場合、栄養を気にする前に規則正しい時間に食事を摂るのが先かと思いますが…。『これだけ食べておけばいい』という食品はないんです。」

「盛り上がっているところ悪いけど、ちょっといいかしら?」

アンジェリカがティーカップを置き、クラリッサさんを見据えて言いました。

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